HRD株式会社 - Human Resource Development

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2021.3.26 EVENT

DXにおける組織と人材を問い直す ~先進事例から考えるDXに必要な人材の特質と組織戦略~

ReThink Day5 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。 

ReThink第5回目は、「DXにおける組織と人材を問い直す」というテーマで、株式会社ブレインパッドの関口朋宏さんにお話をうかがいます。ナビゲーターはHRDグループの韮原祐介が務めます。

 
☆ゲストスピーカーのご紹介☆

関口 朋宏  
株式会社ブレインパッド 取締役 ビジネス統括本部長
大手外資系コンサルティングファームに新卒で入社。戦略グループのシニアマネジャー等を経て、株式会社ブレインパッドに入社。データ分析を起点とした事業展開に経営陣として携わる傍ら、DX推進のアドバイザーとして、業界を問わずさまざまな企業を支援。

【株式会社ブレインパッド社】
ブレインパッド社は、2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきたリーディングカンパニーです。これらに関してお困りの際には、気軽にご相談ください。
ホームページ:https://www.brainpad.co.jp/

技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解した人材を登用

韮原それでは、私から現状についてお話をしたいと思います。コンサルティング会社のマッキンゼーが、世界でデジタル化がどれだけ進んでいるかについて出した「デジタル革命の本質: 日本のリーダーへのメッセージ」(2020年9月)というレポートがあります。各国でコロナ感染が拡がった後にどれだけデジタル化が進んだのかについての調べによると、オンラインストリーミングなどエンターテイメント、仕事のための会議などのコミュニケーションを中心にデジタル化が進んでいます。特にアメリカやインドにおけるデジタルサービス活用がコロナによって激変した様子が出ているのですが、日本はあまり進んでいない、という調査結果が出ています。

コロナ以後において、各国で一番利用が増したのは、オンラインストリーミングサービスの利用です。アメリカやインドで40%以上、イギリス、ドイツでも30%以上増加していますが、日本では20%未満。飲食店の宅配サービス、仕事のためのビデオ会議なども、日本以外の各国で20~40%ぐらいの増加が見て取れますが、日本ではなんと10%未満の増加です。

調査の母集団についての疑義を投げかけたくもなりますし、マッキンゼーがこれを使ってビジネスをやろうしている背景を差し引いても、各国比較で日本は遅れているということになっています。

そして、デジタル変革に関する調査もあます。デジタル変革は、通常の変革よりも難しく、成功したケースは16%しか存在しないと報告されています。特に製造やエネルギー、インフラ、や製薬などのトラディショナルな業界においては、成功率は4~11%に留まるそうです。残りの9割近くは、デジタル変革にトライしたけれども上手くいかなかったということになります。

グローバル企業の経営者にインタビューをしてみたところ、人材や組織面に問題意識を持っているということです。「シニアマネジメントのフォーカスと文化」「デジタル・テクノロジーへの理解不足」「人材の欠如」「組織」の問題と、失敗の要因が続いています。「ITインフラの欠如」や「デジタルと従来の対立」「データの欠如」という項目ではなく、やはり問題意識のトップに上がっているのは、人材や組織に関する部分です。本日は、この部分を問いて解いていきたいと考えています。

では関口さん、そもそもDXとは何かということから教えてください。また、進めていくうえで人材と組織の課題が大きいという声が挙がっていますが、実際に各企業で推進していくにあたりどのように感じていらっしゃるでしょうか。

関口改めまして、ブレインパッドの関口と申します。よろしくお願いいたします。先ほどのマッキンゼーのレポートは、結構悲しいですね。こんなにオンラインも使っていてスマートフォンも使っている、Amazonや楽天などを使う人もたくさんいるにも関わらず、レポートではあんなに低いというのはどういうことなのでしょうか。

また、先ほどありました人材の話も、経営陣の課題となることが多いですね。トップのコミットメントが不足していると言いますが、先ほどのレポート結果で面白いと思ったのは、「シニアマネジメントのサポートの欠如」ではないとありますがフォーカスはしていないという点です。

私たちはブレインパッドでデータ分析をテコにしていろいろとやっていますが、その現場で見ているものをお話ししたいと思います。

デジタルトランスフォーメーション=DXとなりますが、トランスフォーメーションだということが今回の大きなテーマだと思います。

私たちは半年前、300名以上の方々を対象に、「5つあるDXのうちどれを実施しているか。またそれは成功しているか」という調査をしました。3割以上の方が何かしら行っていて、オペレーションのデジタル化など足元から始めていくものは成功していますが、新規ビジネスを作ったり今のビジネスを変えていったりとなると、成功確率は低くなっているという結果がでています。この調査はコロナ前に行いましたが、コロナ後に聞くと「リモートワークの環境を導入している」という回答がほとんどでした。

出典:株式会社ブレインパッド

私はブレインパッドで全社の営業統括をしていますが、オンラインで何かをすることが当たり前になっている中で、オンライン営業で苦戦している営業パーソンがたくさん増えたという悩みがあります。みなさん難しいとおっしゃいますがそれはなぜかと今考えていまして、オンラインと対面にはメリットとデメリットがあるので、それをきちんと理解した方がいいと思っています。対面は、相手の表情なども含めて圧倒的に情報量が多いですよね。分からなかったときでもインタラクティブにいけるので、行間も埋まっていきます。しかし、オンラインはアポイントが取りやすく回数をこなせる反面、1回の密度がとても薄いのが難しいと感じます。オンラインは、手元にカンペを置いていても相手にはバレませんが、対面ではバレてしまうので手元には置けません。その辺りの違いは面白いと思います。

皆さんがご存知か分かりませんが、『チャレンジャー・セールス・モデル』という本があります。営業パフォーマーにはいろいろなタイプがあり、チャレンジャーセールスを目指そうという本です。その本の中に、営業ハイパフォーマーの構成比がでてきます。

5種類の定義がされていて、勤勉な“ハードワーカー”や関係性で戦っていく“リレーションシップビルダー”、一匹狼で動いていく“ローンウルフ”、お客さんから言われたことを愚直に答えていく“リアクティブ・プロブレムソルバー”、お客さんの気づいていない課題に対して自分の展開でどんどん仕込んでいき、とにかくお客さんのビジネスに対して課題提起をしていく“チャレンジャー”とあります。この本の中ではどんな環境でもチャレンジャーが強いと言われていますが、オンラインになって辛いのはリレーションシップビルダーで、ハイパフォーマーの20%がそういう人だとすると、確実に20%の人は苦戦しているということになります。

出典:株式会社ブレインパッド

これは海外の調査ですが、日本に置き換えると関係構築型が非常に多いと思います。

とくに日本は、あらゆる業界№1の人が「うちは営業力で勝っている」と言いますので、20%では済まないかもしれません。一方で、これからはリレーションシップ型の営業を採用するのはダメだとして、チャレンジャーなど攻めていくタイプの人を採用していきたいと考えましたが、どう見抜けばいいのかが分かりません。コロナ禍前の営業についてどうだったかを履歴書に書かれても、例えば、ウェットな営業をしていたら今の時代ではダメなので当てになりません。営業スタイルを見抜こうと思ったときに、ロールプレイをするわけにもいかないので、見抜くためには上級テクニックが必要です。そうすると、今後オンラインが主体となってくる中で、人材アセスメントの重要性はとても高まります。

韮原見えないものを測りたいときに、やはりアセスメントは重要だと思いますね。

関口次世代の営業マネージャーをどのように選べばいいのか?ですが、最初にPXTを紹介していただいたとき、確か事例が営業だったと思いますが、その時代、時代によってハイパフォーマーの定義とは変わるので、今までのハイパフォーマーと言われていた人とは違う人を選んで、新しいハイパフォーマーのモデルを作る必要があるということが説明されました。まさに今はそのハイパフォーマーをどうやって選ぶのかも悩みのひとつです。この悩みは日本中で起きていると思うので、パートナーの皆さんは攻めどころだと思います。

韮原先ほどのデータの話に戻りますが、デジタルトランスフォーメーションを進めるときの人材不足もあると思います。その点は、ブレインパッドとして外からサポートするときに、そもそも社内の人材で外部リソースを使いこなして旗を振る人は必要で、変化をイネーブルする人も必要だと思います。そういう人の選出も課題だと思いますが、いかがでしょうか。

関口確かに、誰がやるのかというのは大きな課題です。IT部門というのは、技術が分かっているのでデジタルに向いているというやり方で人を選んでいるところが多いですが、ビジネスを変えなければならないという話なので、技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解していて、また現場の苦労も理解している人を選ぶ方がいいです。しかし、経営陣は技術のことは分からないから分かる人に任せようとして、それで失敗していることがよくあります。

韮原なるほど。本日はDay5ですが、Day1でライズ・コンサルティング・グループの佐藤さんにお話を伺いました。withコロナ、afterコロナでどのような人材が必要かという話で、佐藤さんがおっしゃるには、社内のイノベーション人材と事業をまわすオペレーション人材、そして今は、たくさん起きている変化の中でみなさんに寄り添うメンテナンス人材というものが必要だというお話をされていました。

これから必要な人材はイノベーション人材、オペレーション人材、メンテナンス人材の3種類です。佐藤さんがおっしゃっていてごもっともだと思うのは、戦略は、デジタル戦略やコーポレートトランスフォーメーション戦略などいろいろとあり、そこから組織の機能設計に落としていき、人材要件をプロファイルのようなことをして見極めて、配置し育成して評価となります。この資料にあるように、上から下が断絶していて、中期計画でデジタルトランスフォーメーションと言っていても人材については相変わらず以前と同じ管理職研修を行っています。これは御覧になっている皆さんにもかなりのチャンスで、戦略を育成や評価制度まで落とし込むというのは重要なポイントです。これを佐藤さんからお話しいただいたときに、「昔この話をしていたな」と思い出しました。

これは、先ほど触れた2012年3月の公開セミナー資料で関口さんと2人で作ったものですが、当時の経営的な文脈で言いますと、グローバル化を進めていかなくてはならないときで、且つGoogleやFacebookなどのGAFAが台頭しはじめた頃です。グローバル化とアフターインターネットの時代で、AIはまだありませんでした。当時言っていたことは、高度成長してきたころの人材と、成熟期あるいは成熟停滞期の人材はやはり違っていて、オペレーション的に回す人と、会社を変革し新市場を作っていく、グローバルに打って出ていくという人は、違うタイプの人だということです。そのときに、イノベーション人材とオペレーション人材と資料に書くと、上司に「横文字は使うな」と言われ、開拓・変革人材と書き直しました。

出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

そして成果創出人材とあるのは、既存ビジネスの中で確実に成果を上げていく人で、先人たちが作り上げた勝ちパターンを維持・改善していくような、いわゆるビジネスを回していくオペレーション人材のことです。今ではそこにプラスしてメンテナンス人材が入ります。8年前も、変革人材、イノベーション人材は枯渇状態で、人材供給の仕組みが極めて脆弱なため仕組みを作っていく必要性を訴えていました。これは今も同じでしょうか。

関口:デジャヴでしょうか、ずっとこの話をしているな、となりますね。そういう意味では、今も同じだと思います。

このときに話したのは、日本企業がグローバルで地位があったということですよね。ある意味伸び切った状態でさらに上に行くにはどうすればいいのかという話で、さらなる成長をするためには伸びきった状態の人をハイパフォーマーと設定しても間違ってしまう、ということだったと記憶しています。

韮原そうですね。あとはリーマンショック後で回復しきっていないので、回復するためには何が必要かというときに、新規事業やグローバルの新市場が重要だという文脈もあったと記憶しています。例えば、アジアは工場だけだったけれども、そこが成長市場として重要度が増した、というような話でしたね。

関口当時のリーマンショックが今のコロナ、グローバリゼーションがデジタライゼーションに変わっているだけで、確かに同じことを言っていますね。

今は、イノベーション人材や新しいことを仕掛けて変えていく人がいないと言っていて、これについてはアベノミクスの影響が大きいと思っています。業界トップの人の中には、「15年以上良い時代を過ごしている」とおっしゃる方もいますが、15~20年ほど良い時代を過ごしてしまったので、変える必要性を感じなかったという点で同じですね。

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2021.3.15 EVENT

グローバル人事の現在(いま)と未来~海外人事調査に基づき、新たな潮流を読む~

ReThink Day4 イベントレポート
HRDグループが毎年開催しておりますAssessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。

ReThink第4回目は、「グローバル人事の現在と未来、海外人事調査に基づいた新たな潮流を読む」というテーマで、beyond globalグループの代表である森田英一様をシンガポールよりゲストでお招きしております。
ナビゲーターは、HRDグループ・プロファイルズ株式会社の水谷壽芳が務めます。

☆ゲストスピーカーのご紹介☆
オンライン化することで選択肢の幅が広がった

水谷この度は、Day4にご参加いただきましてありがとうございます。

私は、HRDグループ・プロファイルズ株式会社の水谷と申します。本日は、海外人事調査に基づいた新たな潮流を読むということで、専門家の森田様をお招きして対談形式で進めて参ります。

今回はグローバル人事がテーマです。パンデミックの影響で、様々な変化が地球規模で起きています。この変化に関して、海外人事のみなさまがどう捉えていらっしゃるのかについてプロファイルズ社で事前調査を行っております。この調査に基づいて論点がいくつか浮かび上がっています。森田様にその捉えどころについてのご見解をいただき、そして今後の潮流を読んでいただくというのがこの度の企画の流れになっています。

森田さんは、我々のビジネスパートナーとして取り組みをご一緒させていただいておりますが、現在はシンガポールに拠点を置かれており、日系企業を中心としたグローバル化やグローバル人材の育成、人事制度の変革などを進めていらっしゃいます。シンガポールから見てどのようなことが起きているのかをお話いただきたいと思います。

森田beyond globalの森田と申します。最初に自己紹介をさせていただきます。私は生まれも育ちも大阪で、大学院卒業後、人事コンサルティングの世界に入りました。20年前に、自律型人材育成にフォーカスを当てたシェイクという会社を立ち上げて10期まで社長を務めましたが、その後、2代目の社長にバトンタッチしました。私は現在、beyond globalという企業グループを作り、シンガポール、日本、タイの3拠点で日本企業のグローバル化支援を行っています。その他東南アジア全域やヨーロッパ、アメリカなどのエリアのサポートをしておりますが、中でも日本と東南アジアがプロジェクトとしては多いですね。

我々は、人材育成という側面と人事制度、評価、賃金などの仕組みの部分の両方をサポートしており、幅広い人事評価制度や駐在員の育成はもちろん、ナショナルスタッフの育成、サクセッションプランというローカル化を進めていく後継者の育成も行っています。

コロナ感染が広がる現在、海外の現地法人で多いと感じているのは、人事制度の変革です。ローカル化を進めていく流れですが、これには駐在員がなかなか現地に着任できなかったり、ビザの発行が難しくなってきた状況があります。例えばシンガポールでは、ビザの発行基準の給与水準がどんどん上がっています。過去に無いほどの上昇率で、今は駐在員がビザの更新ができずに止むを得ず日本に戻ったり、新しい駐在員を呼べなくなっています。これは、シンガポール人の給与がカットされ所得が少なくなっているので、シンガポール人の雇用を守りたいという政府の意向もあります。入国困難な中で、ローカルでも回せる人事制度、きちんと仕組み化されたものや成果が見えるものをどう構築していくのか、今までは海外現地法人も含めて仕組みはあったとしても、運用でつまずいているというケースも多かったので、その運用や制度の見直しが非常に増えています。

また、コロナ以前は、リージョンの研修なども東南アジア各国からシンガポールに集めて行うことが多くありましたが、最近ではこれをオンライン化しています。

さらには、これまでは日本の拠点から海外に派遣して日本人向けに海外派遣研修も行ってきました。例えば、ヨーロッパに派遣するビジネスや、経営者候補の方々を新興国に送り育成するようなことです。コロナになってからは、これをオンライン化し先月も大規模で行いました。オンラインで行う利点は、国境を超えて何度でも集まれる、そして費用も安いということです。このようなオンラインでのグローバル研修は、かなり引き合いが増えております。派遣は費用がかかるので、なかなか大人数を行かせることができませんでしたが、オンラインにすることで選択肢の幅が広がり、多くの方がオンラインでグローバルな環境にどっぷりと浸かることができるということが、最近感じている変化です。

水谷ありがとうございます。まさに新しい時代に先駆けて、森田さんは様々な取り組みを行っているという印象を持っております。本日もシンガポールと繋いでいますが、まさにオンライン化が進む中で森田さんをお招きできて、うれしくと思っております。昨年は我々がシンガポールに伺ってセミナーを行いましたが、今回はオンラインで挑戦していこうと思っています。

本日の進め方ですが、事前に我々で海外人事のこれからについて調査を行っています。その調査に基づいていくつか論点が出てきましたので、森田さんが直近で感じていることを惜しみなく皆さんに提供していただきたいと思っております。

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2021.2.2 EVENT

ポストコロナの組織・人材戦略を見通す

~戦略人事の新たな役割と経営戦略を組織・人材戦略に落とし込む方法~

 

ReThink Day1 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。

今回は、株式会社ライズ・コンサルティング・グループの取締役である佐藤司氏をお招きして開催された、「ポストコロナの組織、人材戦略を見通す。戦略人事の新たな役割と、経営戦略を組織、人材戦略に落とし込む方法」の模様を皆様にお届けします。HRDグループの韮原祐介がモデレーターを務めた対談形式によるイベントレポートです。

 

☆ゲストスピーカーのご紹介☆

佐藤 司 氏 

株式会社ライズ・コンサルティング・グループ 取締役パートナー

ローランドベルガー、コンサルティングベンチャーの立ち上げメンバーとして、戦略立案から実行まで一貫して支援。 小売業、製造業、エネルギー、金融等多くの業界・テーマでの知見を持つ。 ライズ・コンサルティング・グループ参画後は、新規事業戦略案件、海外進出戦略、ビジネスモデルの刷新、中期経営計画等の戦略コンサルティングを担当。

株式会社ライズ・コンサルティンググループ
ライズ・コンサルティング・グループ社では様々なクライアントや経営層に対して、デジタル・トランスフォーメーション(DX)やディスラプトの戦略立案から実行まで一気通貫のご支援をされています。
これらに関してお困りの際には、気軽にご相談ください。

https://www.rise-cg.co.jp/

また、ライズ・コンサルティング・グループ様のサイトにおいても、当イベントについての紹介をいただいておりますので、ぜひご覧ください。

https://note.com/rise_cg/n/nf093318ec2a2

佐藤様、この度のご登壇への協力、誠にありがとうございました!

コロナ禍における経営環境の変化をチャンスに変える

韮原早速ですが、ポストコロナ、あるいはデジタル化が進んでいく中、組織や人材に対する考え方にどのような変化が生じ、それを経営者や人事担当者がどのように捉えているのか、その現状から簡単にお話しいただけますでしょうか。

佐藤これをチャンスと捉えるのか、ピンチと捉えるのか、それは経営者次第だと思っています。僕はこのような変化はチャンスと捉える方が得だと思っています。世の中が、どのように変わっていくのかを見据え、先手を打った人が有利になっていくと考えています。ですから本日は、そのような観点からお話できたらと思います。


韮原企業の経営戦略は、withコロナやポストコロナでどのように変わっていくのでしょうか。コロナの有無に関わらず、デジタル化は急速に拡大しているので、その点も含めてお聞かせください。 

佐藤今回、COVID-19の感染が拡大した結果、感染予防のために、各国で移動が制限されました。移動が制限されたといっても生活はしなければなりませんし、少し落ち着いた頃には事業も回していかなければなりません。そのための手段として、デジタル化が進んでいます。
様々な領域でデジタル化が進んでいますが、その結果、閾値を超えて軸足が変わってくる領域が現れます。軸足が変わった世界を様々な角度から考えてみると、「こうすれば、もっとよくなる!」という変革や再構築のチャンスはたくさんあるように思います。

分かりやすい例では、営業シーンは大きく変わってきたと思います。従来は対面営業が中心で、例えばBtoBであれば、お客様にアポを取ったのちに訪問し、会議室で話すことが多かったと思います。しかし最近では、ZoomやTeamsなどのオンラインに変わってきています。これは、「営業チャネルがデジタルに変わったと」捉えるだけでは不十分ではないかと思います。

「営業シーンの変化」 出典:ライズ・コンサルティング・グループ

おそらく変化の本質は二つあり、一つは、「ブラックボックスの透明化」かと思います。つまり、リアル営業の頃は、上司である営業課長が部下の営業を同行して中身を把握できるのは、多くても10%程度だったかと思います。それがオンライン営業になると、仮に録画をしていればその録画データを解析できますし、例え録画をしなくても、最近はストリーミングで音声や表情を解析できるようになっています。したがって、全件モニタリングが可能になったわけですね。

もう一点の変化は、「地理的な制約からの解放」です。つまり、リアル営業の頃は、移動時間を計算して動いていたので、例えば都内であれば1時間のアポのために、最低でも2時間~3時間はブロックしていました。出張では1日、2日ブロックする必要がありました。しかし、それがZoomやTeamsを使用することで、東京にいながら、一瞬で沖縄の方とでも、北海道の方とでも会話をすることができます。したがって、移動時間や地理的な制約が無くなりました。

このような変化を捉えると、営業はどのように再構築できるのか?例えば、会議動画をストリーミングしていく中で、自然言語解析を使いテキスト化したり、サマリにしたりできれば、議事録もある程度は自動作成できます。そして、その議事録をSalesforceに自動的に登録したり、Salesforce上でステージ管理ができるようになります。例えば、初回の商談だったけれども見積依頼をもらったのでステージを進める、ということも自動的に管理できるように、営業の周辺業務も効率化できると考えています。

さらに次のステップになると、ストリーミングをしながら、営業マンと相手の表情や会話内容がどれだけシンクロしているのかを解析することができるようになります。心理学でいうミラーリングの度合いによって商談を評価したり、表情の作り方・話し方含め、「これを直せばもっと良くなる」という基本トレーニングも自動化できるようになります。
さらに言いますと、商談の進捗があるものと、進捗が無かったものを比較したときに、どのような話法の違いがあるのかといったことまで分析できるようになります。つまり、ベストプラクティスの抽出と展開ができるようになります。デジタルの世界でいうA/Bテストを、オンライン商談にも導入し、話法を進化させることができます。 

さらには金融や不動産では、重要事項説明をしっかりとする必要があったり、金融においては、「絶対に儲かる」といったようなNGワードがあるので、全件モニタリングができることによって、コンプライアンスも格段に改善することができます。

このように効率化が進んでいけば、人間は単純業務から解放され、より高付加価値業務に特化できるようになります。地理的な制約を外すことにより、全国に営業組織を持っている会社であれば、エリアごとに人を配置する必要もなくなり、商品やプロダクトごとに地理を問わず、例えば広島にいる人が日本全国のある特定のサービスについて常にバックアップできるような体制を持つことができるようになります。

「営業シーン再構築」 出典:ライズ・コンサルティング・グループ

しかし人間は変化を嫌う、恐れる動物なので、不安を感じる人や順応できない人も出てきます。したがって、その部分のケアはとても重要になってきます。特にデジタル化が進んでくると、例えば会食などで仲良くなるという機会がなくなるので、疎外感を感じたり、不安になる方も増えてきます。そこをどうするかは非常に重要ですね。
今は、営業職という分かりやすい例で説明しましたが、その他にも不動産や小売、医療など様々な分野でも様々な「再構築」は見られます。例えば、不動産の軸足がどのように変わるのかというと、これまでは住職近接が基本でしたが、それがテレワーク中心になってくると、住む場所=好きな場所になります。そうなると、まずはどのような建物を建てるのかというレベルで再構築が必要になっています。

また、テレワークに相応しい住居レイアウトについては最近、話題になっていると思います。例えば、夫婦共働きで1LDKに住んでおり、夫婦2人のオンラインミーティングの時間が重なったとします。2人ともリビングにいるとお互いの声が入ってしまうので、リビングと寝室に分かれるしかありませんが、寝室ではカメラをオンにしにくいという問題などがあると思います。また、小さなお子さんがいた場合は、その泣き声が入ってしまうという問題も出てきます。これらを、レイアウトの工夫でどう改善できるか?

さらに、住む場所を変えるとなった場合、その人にとってのコストパフォーマンスがいい場所を探すと思います。但し、職場のそばに住まなくてもよいとなると、検索が一気に難しくなります。そのあたりが改善されると、人の動きもダイナミックになってきます。例えばファミリー層で家賃を10万円支払って都内に住んでいる方が、都内を離れて同じ条件の月10万円で家を買おうとすると、石川県金沢市でも月10万円のローンで150平米の土地に100平米の建物がついた新築一戸建てが買えます。また近場では、横浜市の戸塚は同じくらいの値段で買えます。どんどんライフワークバランスを良くするための工夫ができます。このような再構築が至るところで出てくるというのが、コロナを見据えたときの戦略変化だと思います。

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