HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

" DX " に関する記事
2022.4.25 EVENT

AIアナリスト・エンジニアに求められるソーシャルスキル
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session3』

労働力不足のなかで、時代のニーズにマッチした特性を有する人材の確保は簡単ではありません。一方、ビジネス環境の変化に伴い、人材に求められるスキルにも変化が起こり、「リスキリング」が企業の重要な課題に。着目すべきことは、高度な技術スキルとともに、ソーシャル・エモーショナルと呼ばれる対人関係スキルの重要性が増していることです。 日本の労働力不足の中で今後人材が集積する領域として、介護・医療とAI・デジタル市場が挙げられます。
本セッションでは、データ解析の先進企業であり、時代を先取りするブレインパッド社AIアナリスト・エンジニアを統括する方々にご登壇いただきました。優秀なハイスキル人材を抱える組織におけるマネジメント課題と、その解決に向けた取り組みをご紹介し、必要なスキルを有する人材を集め、そのポテンシャルを活かして競争力を高めるために、これからの企業・組織はどのようなことに注力していけばよいか議論していきます。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 

 

◇ゲストスピーカー◇

株式会社ブレインパッド
プロダクトビジネス本部 本部長
東 一成
(Azuma Kazunari)
大学卒業後、鉄道系の情報システム会社に勤務の後、外資系のアナリティクスツール会社にてプリセールス、プロフェッショナルサービスの部隊でデータマイニング、BI、BSCなどの導入支援を担当。その後、海外から機械学習システム、MA、分析プラットフォームなどの日本市場への展開を支援し、ビジネス立ち上げ、プリセールス、トレーニング・導入支援、サポート、日本語化などを担当。現在もMA、拡張分析、ソーシャルメディアアナリティクス、分析プラットフォームに関する国内外のソフトウェアの展開や調査を行っている。
過去にテレコム通信、空港、百貨店、小売・流通、通販、カード、証券、商社、サービスなどの様々な業種への機械学習やMAなどの分析システム導入の経験・実績を持つ。

株式会社ブレインパッド
プロダクトビジネス本部 プロダクトデザイン部 エンジニアリングマネージャー
柳原 淳宏
(Yanagihara Atsuhiro)
自社プロダクトRtoaster、L2Mixerの開発を経て、現在はConomiのプロダクトマネージャー兼開発を担当。
レコメンド/マッチング技術を中心に企画、提案から開発、チューニングまで数多くの案件に従事。また新卒採用から研修までの人材育成業務を担当。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
執行役員 シニアコンサルタント
久保田 智行(Kubota Tomoyuki)

 
データ活用人材を育成する組織が抱える現在の課題
 

まず東氏が、ブレインパッド社の概況を説明。データ分析、システム開発、コンサルテーション、デジタルソリューションの販売・導入といったデータに関わる全方位的なビジネス展開を行っていること、各ビジネスを行ういくつかの本部はそれぞれが上場できるほどの規模があるといった組織の特徴、約150名という国内最大級のデータサイエンティストを擁するとともに、データ活用人材を育成講座で5万人以上育成・輩出していること、およびプロダクトビジネス本部として、多様なニーズに対応するための開発および海外ソリューションの国内展開といった組織の拡大・変更を実施中で、組織全体の底上げとマネジメント力強化が求められているという現状の課題を話しました。

次に東氏は、上記のプロダクトビジネス本部の課題への対応策に言及。このほどHRDとともに、特にスキルフルで多様な人材を活かすマネジメント力強化に向けた1stステップとして、グループマネージャーや部長層とメンバーとの関係構築力強化への取り組みに着手した経緯を次のように説明しました。

「多様な部門が統合されて一つの本部になったこともありますが、コロナ禍によるリモート環境下で、チャットやオンラインミーティング中心の非言語情報が不足するコミュニケーションの難しさの中、会社全体の価値観をいかに落とし込めるか価値観が違うメンバーの成長をいかに促進させるか他部署の思いを汲んでいかにスピーディーに連携を進めるかといった課題がありました。そうした中で、相手の志向や考え方を理解することで、より強固なコミュニケーションや組織構築が行えると判断し、1stステップの取り組みを行うこととしました」

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2022.4.14 EVENT

デジタル変革とピープルアナリティクスの未来
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session4』

多くの企業がデジタル変革に取り組み始める第一歩として、社内にデジタル推進組織を立ち上げています。DX推進では、新規サービス創出等の不確実性の高い取り組みにおいて、できるだけ多くのアイデアを出し、関連施策を走らせていくことが一つの成功要因。しかし、そうした取り組みにあたり、多くの企業でDX人材不足が報告されています。そのため、社内人材の能力開発だけでなく、外部人材確保に向けた経験者採用、また適正配置や処遇に関する人事制度の再設計と仕組み化が喫緊の課題となっています。 当セッションでは、デジタル変革に求められる新規事業創出を可能とする組織・人材をどのように生み出せばよいのかについて、NTTデータでの取り組みを元に考察。同社がデジタル変革に挑むために立ち上げた「出島」組織を切り口とした組織人事の取り組みや、組織のミッション・ビジョン・バリューを起点とし、ピープルアナリティクスを活用した組織風土形成、人材育成の現在進行形のプロセスを、事業トップとそれを支えるコンサルティング部門のリーダーからご紹介いただきます。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

目次

 ♢ゲストスピーカーの紹介♢

 <前編>
デジタル戦略室のTalent Transformation戦略
現場、DSO、人事の“三位一体”がポイント
SDDX事業部のミッション
SDDX事業部の組織課題と解決施策

 <後編>はこちら
PXTで人が変わり文化が変化する土台に
「PXT統括読み替え表」で到達度を深める
PXTの人財還流とジョブマッチへの活用
企業と社員のマッチング追求が大きな流れに

◇ゲストスピーカー◇


株式会社NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部長
内山 尚幸氏 
(Uchiyama Naoyuk)
1996年当社入社。カード&ペイメント事業部ビジネス企画統括部長、ITサービス・ペイメント事業本部サービスデザイン統括部長を経て、2019年4月より現職。ペイメント領域の新サービス企画、リテール・サービス業界をターゲットとしたソリューション企画などに従事。
グローバルブルー・ティエフエス・ジャパン株式会社 取締役。ネットイヤーグループ株式会社 取締役。

株式会社NTTデータ
コンサルティング事業部 部長
コーポレート統括本部 デジタル戦略室(Digital Strategy Office)兼務
東谷 昇平氏 
(Touya Shohei)
2002年にNTTデータに入社。セキュリティ、データセンタ、クラウドの事業に従事し、SI、ソリューションセールス、企画・マーケティング、アライアンス、ハイアリングなどの職務を経験。近年はコンサルティング事業部にてデジタルタレント・ピープルアナリティクス、マーケティング・ブランディングを手掛ける。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
ディレクター パフォーマンスコンサルタント 
水谷壽芳

 

<前編>

デジタル戦略室のTalent Transformation戦略

ゲストスピーカーの自己紹介トークの後、セッション開始。 まず、東谷氏が「デジタル変革の取り組みの背景」について説明を行いました。東谷氏が在籍しているデジタル戦略室(DSO)は2017年にスタート。まずは“デジタル”についての概念の社内共通化を図るべく、役員や事業部長を集めて丸一日議論したことが報告されました。その場では「顧客の期待する成果」「顧客にとってのデジタル化」「デジタル化を実現する6つの領域」を定義。その上で、DSOは同社のデジタルビジネス加速化のために、次の3つの戦略を導出しました。

 

            株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 東谷昇平氏

    ① Direct Investments受託から顧客との新ビジネス創出へのシフトへの投資
    ② Strategic Partnerships変化の激しいデジタルへの取り組みを行う仲間づくりへの投資
    ③ Talent Transformation自社のDXのためのデジタルネイティブ育成への投資

 
このセッションでは、③ Talent Transformation についての説明が行われました。

DSOは、Talent Transformationの目的を① 新規ビジネスアイデアを事業化に繋げる仕組みと文化・風土の醸成、② クライアントとアイデェーションから事業化までを推進できる人財の育成、の2点に設定。その背景として、クライアントからの「一緒にデジタル化を考えてほしい」との要請の高まりや、それに応える人材育成という課題があることを挙げました。

2点の施策の方向性としては、①に対しては「チャレンジする人が育つ場をつくる」「トップのコミットで熱意を挽き出し行動を促す」、②に対しては「クライアントと共に道を切り拓く人財を育てる」という“”“マインド”“スキル”の3要素を掲げるとともに、現場、DSO、人事が役割分担し、三位一体での推進がコミットされたことが説明されました。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

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現場、DSO、人事の“三位一体”がポイント
 

この“三位一体”がポイント」と東谷氏。同社には数多くの現場があり、人事は共通項を意識した施策を打ち出しがちとなる半面、各現場はそれぞれのニーズにより則したものを求めるからです。そこで、このギャップを埋めるべく両者の間にDSOが介入し、現場と人事を繋いで戦略的に施策を展開することを意図。DSOが現場の“”“マインド”“スキル”を整える処方箋をつくり、人事と共有し人事が全社に展開する仕組みを考えました。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

そこでポイントになったのは、どの現場をモデルにするか。同社は公共、金融、法人の3分野で約50の事業部があり、それぞれビジネスや課題が異なるからです。そこで、以前行った組織診断結果から、DXに対する課題観は共通しているものの、相対する業界の成熟度の違いから課題に対する温度差があることを分析。①ターゲット市場のDX成熟度が高い②組織が新規事業開発にコミットしている③組織長の覚悟、という3点で現場を選定し、処方箋をつくり全社展開することがベストと導き出しました。「これで選んだのが、最もデジタル化が進展し、新規オファリングをミッションに掲げ、“覚悟の男”の内山氏が率いるSDDX事業部でした」と東谷氏。

以上の説明に、水谷は「学びのポイントがたくさんありました」とコメントし、大企業における現場と人事とのギャップを埋める組織の意義に触れました。戦略をつくることはできても、その実践は難しいことを指摘した上で、交流のある東谷氏の組織人事に対する熱意を紹介。東谷氏は「関心のあることをやらせてもらえているからです」と回答しました。

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SDDX事業部のミッション
 

水谷は、内山氏にDSOの取り組みに対する見方を問うと「一事業部ではできない投資を割り振ってくれるチャレンジングな取り組みで、新たな気づきもありました」と評価。DSOの処方箋づくりに選定されたことに対しては、「目的に同意したので一緒にやってみようと思いました」と回答しました。

            株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 内山 尚幸氏

次に、内山氏がSDDX事業部を説明。SDDXとは“Service Design & Digital eXperience”の略で、顧客の新たな成長源泉づくりを目的としたDXと、ビジネスを加速させるマーケティングのデジタル改革の2点をミッションとして、2019年4月に設立されました。新規ビジネス創出事例として、レジがないウォークスルー店舗「Catch & Go」を例示。デジタルによるリテールビジネスのアップデート施策として、人手不足や販売機会創出、人件費削減という価値を提供するものです。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

ここで水谷は「『Catch & Go』のデモを見せてもらい、顧客体験を変えるソリューションと実感しました」とコメントし、社内外の反響を尋ねました。内山氏は「多くのメディアに取材してもらい、お客様にも体験してもらってこうした取り組みの意義が理解されました。非常に好評です」と回答。東谷氏は「内山氏と喫煙室でたまたま会った際に、元々あった『Catch &Go』のデモ機で実際の店舗を本社内につくってみたらいいのではと話したことが発端になっています」とのエピソードを披露。IT企業の同社が実店舗を運営してみることで、小売業や消費者の受け止め方が理解できるというわけです。そして、内山氏に「Catch & Go」を3か月ほど運営し、データを取ってわかったことなどの成果を尋ねました。内山氏は、最も売れているおにぎりの購入者特性や、時間帯別および顧客属性別の動線の違いなど「やってみてわかったことがもの凄くたくさんあり、データで次を考えられるようになりました。当社はシステムをつくることが得意ですが、そのシステムで得たデータをどう生かすかに気づけたことが大きな成果」と話しました。

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SDDX事業部の組織課題と解決施策
 

水谷は、そのようなSDDX事業部の活動の裏側にある組織人事に話を向けました。

内山氏は「足元でもがいている状況をお話しします」と、同事業部が抱えている課題を説明。「Catch & Go」のような世の中にない新しい事業やサービスを生み出そうとした時、事業部長の「顧客業界の最高の未来を創ろう!」と号令をかけても、メンバーの間には「本当にできるのか?」「どうやれば評価されるのか?」との疑問が生じたと言います。その要因として、事業部長の方針の抽象度の高さやメンバーにとっての優先順位の問題、既存事業とは異なるであろう方法論が見えないこと、そうした中でもメンバーが考え出したプランに対する事業部長のフィードバックが、結果的にメンバーが迷うようなものになったとの問題がありました。また、事業部の設立当初は社内から専門性が尖っている異能人材を集めたものの、その後一般的な人材も加わる中、高度な目標に対して個人戦から組織戦に変えていく必要性が浮上。「それまでの組織力を高める上で人材への取り組みが弱いと反省しました」と内山氏は打ち明けます。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

そして、①ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の定義・浸透、②事業戦略と実行プロセスの定義・発信
人財特性を加味した実務支援方法の整備という施策を打ち出したことに触れ、ここでは③について説明されました。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

組織として目指している、顧客価値創造型のアジャイルなスタイルにおいて必要な人材像(ロールモデル)の策定や、その育成支援を開始。具体的には、顧客価値を生み出す人材として“走者”と“伴走者”の2タイプが必要との仮説を出し、Profile XT(PXT)を用いてそれぞれのロールモデルを策定しました。走者とは、不確実性の高い世の中で0から1を生み出す者で、1のアイデアを10にビジネス化するのが伴走者という定義です。その上でメンバーの資質をPXTによって可視化し、ロールモデルとのギャップを数値化。そして、まずはギャップを解消するための各自の内省をコミュニケーションによって支援するところから育成体制の整備を始めました。

            出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

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2021.11.18 EVENT

経営の未来を創る人材データ活用
新しい時代における組織・人材戦略を先駆者と共に考える
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day2』

HRテクノロジーという言葉が市場に認知され始め、ピープルアナリティクスに取り組む企業が増えつつある中、経営/事業に役立つ真の意味でのデータドリブンHRを実践できている企業は極めて少ないのが実情です。そこで、本セッションでは事業構造の根本的な変化が到来する時代において、戦略を実行に繋げるデータドリブンな組織・人材戦略によって事業発展に貢献してきた先駆者とのディスカッションを通じ、新しい時代の組織・人事戦略を考察。経営者のためのデータドリブン人事の時代の到来を見通すセッションとして、ゲストスピーカーとして、株式会社ブレインパッドの東一成氏をお招きして実施されました。

セッション動画はこちら

 

★ゲストスピーカーの紹介★

株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス 本部 本部長
東 一成氏
Kazunari Azuma

大学卒業後、鉄道系の情報システム会社に勤務の後、外資系のアナリティクスツール会社にてプリセールス、プロフェッショナルサービスの部隊でデータマイニング、BI、BSCなどの導入支援を担当。
その後、海外から機械学習システム、MA、分析プラットフォームなどの日本市場への展開を支援し、ビジネス立ち上げ、プリセールス、トレーニング・導入支援、サポート、日本語化などを担当。
現在もMA、拡張分析、ソーシャルメディアアナリティクス、分析プラットフォームに関する国内外のソフトウェアの展開や調査を行っている。
過去にテレコム通信、空港、百貨店、小売・流通、通販、カード、証券、商社、サービスなどの様々な業種への機械学習やMAなどの分析システム導入の経験・実績を持つ。

株式会社ブレインパッド
https://www.brainpad.co.jp/

 

事業におけるデータ活用の広がり


データ活用を“DX”の話題の観点で考える

まず、水谷が「バリューチェーン」の図を用いて、購買、製造、出荷・物流、マーケティング・販売、サービスの各事業活動におけるデータ活用の広がりを説明。そこで、東氏に「企業における代表的なデータ活用事例はどんなものがありますか?」「その際に活用されている新しい技術は?」と質問。

これを受け、東氏はまず、データ活用について国のDXに関わるレポートなどを基に、まずはシステムの話から入りました。

出典:株式会社ブレインパッド

同レポートには、「企業のDXには、いろいろな形のシステムが必要」と記載されています。そのシステムとは、社内情報の記録・維持・管理が目的の「SoR」(System of Record)。人・企業・集団を繋げる仕組みの「SoE」(System of Engagement)。そして今言われているのは、「SoI」(System of Insight)。大量のデータが蓄積されているSoRとSoEから、AIの活用によって意思決定の“支援”のための新たな洞察を導出するシステムです。マーケティングにおいては自動化が進んでいますが、営業における優良顧客とのリレーション構築や、人材育成など人間の内面を理解しての意思決定は自動化が困難。そこで、意思決定に役立つ何らかの洞察を得るために必要とされているものです。

データ活用における機械学習のバランス

この流れで、東氏はデータ活用における機械学習のバランスに言及。データと機械学習の知識や精度が重要な「当たればよい」天気予報や顔認証から、「当てることへの比重が高い」レコメンドなどのリアルタイムパーソナライズ、「当てるだけでなく、その理由も重要」な広告などのターゲティング、そして、確率より「むしろ理由が重要」な退職など人事領域の分析まで、データ活用の目的はグラデーションになっています。「こうなると、AIも通用しない領域があることがわかるようになってきました。このように、広範な領域においてデータが活用されるようになった今、どういった目的でデータを活用するのかをより明確にしてツールを用いる必要があると言えます」と東氏は話しました。

出典:株式会社ブレインパッド

ここで水谷は、東氏の作成資料にある「実はこの(理由が重要な)分野に注目しています」とのコメントについて質問。東氏は「マーケッターや経営者に『このユーザーに来月DMを送信すると商品を買う確率が高い』と説明しても、『すぐやろう』という人はいません。『なぜなのかを知りたい』という人ばかり。そこをうまく説明できないと、社内にこの結果を展開し人を動かすことができないからです。広告でターゲティングされる“理由”がわからなければ人は納得できないのも同様です」と説明しました。水谷は、「そうした領域では、データに現場の業務知識や説明力がより色濃くブレンドされる必要があるのだと思います。そこでは、企業やマーケッターの経験や価値観がより重要になるということでしょうか?」と質問。「いきなり人事データを渡されて『いい社員を探して』と言われても、探せるものではありませんね。理想とされているハイパフォーマーは誰かを聞いてからでなければ、データ分析してもわけがわからないと思います」と東氏は回答しました。

HR領域におけるデータ活用の実態

次に、水谷はHR領域におけるデータ活用の実態を説明。まず、米国のHRテクノロジー市場の傾向を示し、「事業戦略の実現を担う人事戦略に活用されていくとの見通しがポイント」と話しました。日本では、2019年度で約1,119億円の市場があり、現段階で449種類のサービスを確認。2020~23年の年平均成長率は13.7%という成長市場であることが説明されました。

そこで、HRテクノロジー活用領域を整理。求人、採用、配置・登用、組織・人材開発、労務・評価に分類したところ、求人領域で最も適応が進み、配置・登用と組織・人材開発という高度な機能が必要な領域は、今後加速化すると分析しました。

また、現在の人材データ分析としては、管理職比率や労働時間などの単純集計や指標把握、属性ごとのグループ間比較や経年比較に留まるケースが大半であることを示しました。

ここで、水谷は東氏にHRテックついてどう捉えているかと質問。東氏は、HRテックベンチャーが伸びている現状認識や、自社の提供しているMAツールが人材紹介会社に活用されていることに触れ、「たくさんの企業とたくさんの人材のマッチングや、付随して日々発生する連絡業務を、データやツールを活用して効率化させたいとのニーズがあります」と話しました。

本対談の全内容をご覧いただきたい方はこちら

株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス本部 本部長 東 一成氏

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2021.3.26 EVENT

DXにおける組織と人材を問い直す ~先進事例から考えるDXに必要な人材の特質と組織戦略~

ReThink Day5 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。 

ReThink第5回目は、「DXにおける組織と人材を問い直す」というテーマで、株式会社ブレインパッドの関口朋宏さんにお話をうかがいます。ナビゲーターはHRDグループの韮原祐介が務めます。

 
☆ゲストスピーカーのご紹介☆

関口 朋宏  
株式会社ブレインパッド 取締役 ビジネス統括本部長
大手外資系コンサルティングファームに新卒で入社。戦略グループのシニアマネジャー等を経て、株式会社ブレインパッドに入社。データ分析を起点とした事業展開に経営陣として携わる傍ら、DX推進のアドバイザーとして、業界を問わずさまざまな企業を支援。

【株式会社ブレインパッド社】
ブレインパッド社は、2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきたリーディングカンパニーです。これらに関してお困りの際には、気軽にご相談ください。
ホームページ:https://www.brainpad.co.jp/

技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解した人材を登用

韮原それでは、私から現状についてお話をしたいと思います。コンサルティング会社のマッキンゼーが、世界でデジタル化がどれだけ進んでいるかについて出した「デジタル革命の本質: 日本のリーダーへのメッセージ」(2020年9月)というレポートがあります。各国でコロナ感染が拡がった後にどれだけデジタル化が進んだのかについての調べによると、オンラインストリーミングなどエンターテイメント、仕事のための会議などのコミュニケーションを中心にデジタル化が進んでいます。特にアメリカやインドにおけるデジタルサービス活用がコロナによって激変した様子が出ているのですが、日本はあまり進んでいない、という調査結果が出ています。

コロナ以後において、各国で一番利用が増したのは、オンラインストリーミングサービスの利用です。アメリカやインドで40%以上、イギリス、ドイツでも30%以上増加していますが、日本では20%未満。飲食店の宅配サービス、仕事のためのビデオ会議なども、日本以外の各国で20~40%ぐらいの増加が見て取れますが、日本ではなんと10%未満の増加です。

調査の母集団についての疑義を投げかけたくもなりますし、マッキンゼーがこれを使ってビジネスをやろうしている背景を差し引いても、各国比較で日本は遅れているということになっています。

そして、デジタル変革に関する調査もあます。デジタル変革は、通常の変革よりも難しく、成功したケースは16%しか存在しないと報告されています。特に製造やエネルギー、インフラ、や製薬などのトラディショナルな業界においては、成功率は4~11%に留まるそうです。残りの9割近くは、デジタル変革にトライしたけれども上手くいかなかったということになります。

グローバル企業の経営者にインタビューをしてみたところ、人材や組織面に問題意識を持っているということです。「シニアマネジメントのフォーカスと文化」「デジタル・テクノロジーへの理解不足」「人材の欠如」「組織」の問題と、失敗の要因が続いています。「ITインフラの欠如」や「デジタルと従来の対立」「データの欠如」という項目ではなく、やはり問題意識のトップに上がっているのは、人材や組織に関する部分です。本日は、この部分を問いて解いていきたいと考えています。

では関口さん、そもそもDXとは何かということから教えてください。また、進めていくうえで人材と組織の課題が大きいという声が挙がっていますが、実際に各企業で推進していくにあたりどのように感じていらっしゃるでしょうか。

関口改めまして、ブレインパッドの関口と申します。よろしくお願いいたします。先ほどのマッキンゼーのレポートは、結構悲しいですね。こんなにオンラインも使っていてスマートフォンも使っている、Amazonや楽天などを使う人もたくさんいるにも関わらず、レポートではあんなに低いというのはどういうことなのでしょうか。

また、先ほどありました人材の話も、経営陣の課題となることが多いですね。トップのコミットメントが不足していると言いますが、先ほどのレポート結果で面白いと思ったのは、「シニアマネジメントのサポートの欠如」ではないとありますがフォーカスはしていないという点です。

私たちはブレインパッドでデータ分析をテコにしていろいろとやっていますが、その現場で見ているものをお話ししたいと思います。

デジタルトランスフォーメーション=DXとなりますが、トランスフォーメーションだということが今回の大きなテーマだと思います。

私たちは半年前、300名以上の方々を対象に、「5つあるDXのうちどれを実施しているか。またそれは成功しているか」という調査をしました。3割以上の方が何かしら行っていて、オペレーションのデジタル化など足元から始めていくものは成功していますが、新規ビジネスを作ったり今のビジネスを変えていったりとなると、成功確率は低くなっているという結果がでています。この調査はコロナ前に行いましたが、コロナ後に聞くと「リモートワークの環境を導入している」という回答がほとんどでした。

出典:株式会社ブレインパッド

私はブレインパッドで全社の営業統括をしていますが、オンラインで何かをすることが当たり前になっている中で、オンライン営業で苦戦している営業パーソンがたくさん増えたという悩みがあります。みなさん難しいとおっしゃいますがそれはなぜかと今考えていまして、オンラインと対面にはメリットとデメリットがあるので、それをきちんと理解した方がいいと思っています。対面は、相手の表情なども含めて圧倒的に情報量が多いですよね。分からなかったときでもインタラクティブにいけるので、行間も埋まっていきます。しかし、オンラインはアポイントが取りやすく回数をこなせる反面、1回の密度がとても薄いのが難しいと感じます。オンラインは、手元にカンペを置いていても相手にはバレませんが、対面ではバレてしまうので手元には置けません。その辺りの違いは面白いと思います。

皆さんがご存知か分かりませんが、『チャレンジャー・セールス・モデル』という本があります。営業パフォーマーにはいろいろなタイプがあり、チャレンジャーセールスを目指そうという本です。その本の中に、営業ハイパフォーマーの構成比がでてきます。

5種類の定義がされていて、勤勉な“ハードワーカー”や関係性で戦っていく“リレーションシップビルダー”、一匹狼で動いていく“ローンウルフ”、お客さんから言われたことを愚直に答えていく“リアクティブ・プロブレムソルバー”、お客さんの気づいていない課題に対して自分の展開でどんどん仕込んでいき、とにかくお客さんのビジネスに対して課題提起をしていく“チャレンジャー”とあります。この本の中ではどんな環境でもチャレンジャーが強いと言われていますが、オンラインになって辛いのはリレーションシップビルダーで、ハイパフォーマーの20%がそういう人だとすると、確実に20%の人は苦戦しているということになります。

出典:株式会社ブレインパッド

これは海外の調査ですが、日本に置き換えると関係構築型が非常に多いと思います。

とくに日本は、あらゆる業界№1の人が「うちは営業力で勝っている」と言いますので、20%では済まないかもしれません。一方で、これからはリレーションシップ型の営業を採用するのはダメだとして、チャレンジャーなど攻めていくタイプの人を採用していきたいと考えましたが、どう見抜けばいいのかが分かりません。コロナ禍前の営業についてどうだったかを履歴書に書かれても、例えば、ウェットな営業をしていたら今の時代ではダメなので当てになりません。営業スタイルを見抜こうと思ったときに、ロールプレイをするわけにもいかないので、見抜くためには上級テクニックが必要です。そうすると、今後オンラインが主体となってくる中で、人材アセスメントの重要性はとても高まります。

韮原見えないものを測りたいときに、やはりアセスメントは重要だと思いますね。

関口次世代の営業マネージャーをどのように選べばいいのか?ですが、最初にPXTを紹介していただいたとき、確か事例が営業だったと思いますが、その時代、時代によってハイパフォーマーの定義とは変わるので、今までのハイパフォーマーと言われていた人とは違う人を選んで、新しいハイパフォーマーのモデルを作る必要があるということが説明されました。まさに今はそのハイパフォーマーをどうやって選ぶのかも悩みのひとつです。この悩みは日本中で起きていると思うので、パートナーの皆さんは攻めどころだと思います。

韮原先ほどのデータの話に戻りますが、デジタルトランスフォーメーションを進めるときの人材不足もあると思います。その点は、ブレインパッドとして外からサポートするときに、そもそも社内の人材で外部リソースを使いこなして旗を振る人は必要で、変化をイネーブルする人も必要だと思います。そういう人の選出も課題だと思いますが、いかがでしょうか。

関口確かに、誰がやるのかというのは大きな課題です。IT部門というのは、技術が分かっているのでデジタルに向いているというやり方で人を選んでいるところが多いですが、ビジネスを変えなければならないという話なので、技術を知っているかどうかよりも、ビジネスをきちんと理解していて、また現場の苦労も理解している人を選ぶ方がいいです。しかし、経営陣は技術のことは分からないから分かる人に任せようとして、それで失敗していることがよくあります。

韮原なるほど。本日はDay5ですが、Day1でライズ・コンサルティング・グループの佐藤さんにお話を伺いました。withコロナ、afterコロナでどのような人材が必要かという話で、佐藤さんがおっしゃるには、社内のイノベーション人材と事業をまわすオペレーション人材、そして今は、たくさん起きている変化の中でみなさんに寄り添うメンテナンス人材というものが必要だというお話をされていました。

これから必要な人材はイノベーション人材、オペレーション人材、メンテナンス人材の3種類です。佐藤さんがおっしゃっていてごもっともだと思うのは、戦略は、デジタル戦略やコーポレートトランスフォーメーション戦略などいろいろとあり、そこから組織の機能設計に落としていき、人材要件をプロファイルのようなことをして見極めて、配置し育成して評価となります。この資料にあるように、上から下が断絶していて、中期計画でデジタルトランスフォーメーションと言っていても人材については相変わらず以前と同じ管理職研修を行っています。これは御覧になっている皆さんにもかなりのチャンスで、戦略を育成や評価制度まで落とし込むというのは重要なポイントです。これを佐藤さんからお話しいただいたときに、「昔この話をしていたな」と思い出しました。

これは、先ほど触れた2012年3月の公開セミナー資料で関口さんと2人で作ったものですが、当時の経営的な文脈で言いますと、グローバル化を進めていかなくてはならないときで、且つGoogleやFacebookなどのGAFAが台頭しはじめた頃です。グローバル化とアフターインターネットの時代で、AIはまだありませんでした。当時言っていたことは、高度成長してきたころの人材と、成熟期あるいは成熟停滞期の人材はやはり違っていて、オペレーション的に回す人と、会社を変革し新市場を作っていく、グローバルに打って出ていくという人は、違うタイプの人だということです。そのときに、イノベーション人材とオペレーション人材と資料に書くと、上司に「横文字は使うな」と言われ、開拓・変革人材と書き直しました。

出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

そして成果創出人材とあるのは、既存ビジネスの中で確実に成果を上げていく人で、先人たちが作り上げた勝ちパターンを維持・改善していくような、いわゆるビジネスを回していくオペレーション人材のことです。今ではそこにプラスしてメンテナンス人材が入ります。8年前も、変革人材、イノベーション人材は枯渇状態で、人材供給の仕組みが極めて脆弱なため仕組みを作っていく必要性を訴えていました。これは今も同じでしょうか。

関口:デジャヴでしょうか、ずっとこの話をしているな、となりますね。そういう意味では、今も同じだと思います。

このときに話したのは、日本企業がグローバルで地位があったということですよね。ある意味伸び切った状態でさらに上に行くにはどうすればいいのかという話で、さらなる成長をするためには伸びきった状態の人をハイパフォーマーと設定しても間違ってしまう、ということだったと記憶しています。

韮原そうですね。あとはリーマンショック後で回復しきっていないので、回復するためには何が必要かというときに、新規事業やグローバルの新市場が重要だという文脈もあったと記憶しています。例えば、アジアは工場だけだったけれども、そこが成長市場として重要度が増した、というような話でしたね。

関口当時のリーマンショックが今のコロナ、グローバリゼーションがデジタライゼーションに変わっているだけで、確かに同じことを言っていますね。

今は、イノベーション人材や新しいことを仕掛けて変えていく人がいないと言っていて、これについてはアベノミクスの影響が大きいと思っています。業界トップの人の中には、「15年以上良い時代を過ごしている」とおっしゃる方もいますが、15~20年ほど良い時代を過ごしてしまったので、変える必要性を感じなかったという点で同じですね。

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