HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論

HRD株式会社 - Human Resource Development

" CP360 " に関する記事
2022.4.12 EVENT

企業変革を加速させる組織と人材の力
—事業成長に合わせて組織と人材像を再定義するための方法—
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session3』

消費者の価値観の変化、テクノロジーやデータ活用の進展、サスティナビリティに対する要望の高まりなど、事業戦略を描く上での前提条件が大きく変化しています。このような経営環境下において、経営リーダーは事業の方向性を見定め、その実行を支える組織や人材像を再定義していく必要があります。
このセッションでは、“事業構造の変化と人材需要のギャップにどう適応していくのか”という問いについて、事業トップマネジメントとビジネス現場に通じる組織・人事コンサルタントによる対談形式で議論を深化。組織ミッションを起点とした構造改革を進める中で、事業戦略の最上位概念に“人の価値の最大化”を据える事業トップの生の声をお届けします。
また、“企業変革を加速させるために、事業リーダーはどのように自らをアップデートさせるべきなのか?”というテーマにも触れるとともに、経営人材育成のプロフェッショナルが現在進行形で取り組んでいる“リーダー自らが進化していくプロセスや考え方”の実践的アプローチを共有します。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 

♢ゲストスピーカー♢
 

トランスコスモス株式会社 執行役員
デジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター統括
アカウントエグゼクティブ総括副責任者 兼 デジタルカスタマーコミュニケーション総括副責任者
田渕 和彦氏 (Tabuchi Kazuhiko)
1995年よりコールセンター事業に携わり、センター立ち上げや現場管理者、プロジェクトマネジメント、人事を歴任。
2005年 トランス・コスモス シー・アール・エム沖縄(株) 取締役、九州・沖縄エリアの責任者を経て、2010年 中国へ渡り EC事業運営に従事。 2012年からは日本に戻り、西日本エリアの責任者を担当。 2016年以降はアカウントマネジメント部門とデジタルコミュニケーションセンター部門を担当し、2019年4月に弊社 執行役員に就任。現場主義を貫き、企業のカスタマージャーニーに沿った顧客戦略全般を支援。

グロービス・コーポレート・エデュケーション
マネジング・ディレクター
顧彼思(上海)企業管理諮詢有限公司 董事
西 恵一郎氏 (Nishi Keiichiro)
早稲田大学卒業。INSEAD International Executive Program修了。三菱商事株式会社に入社し、不動産証券化、コンビニエンスストアの物流網構築、商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。B2C向けのサービス企業を立ち上げ共同責任者として会社を運営。グロービスの企業研修部門にて組織開発、人材育成を担当し、これまで大手外資企業のグローバルセールスメソッドの浸透、消費財企業のグローバル展開に向けた組織開発他、多くの組織変革に従事。グロービス初の海外法人を立上げ、現地法人の経営を行う。現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。経済同友会の中国委員会副委員長(2018、2019、2020)。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
ディレクター パフォーマンスコンサルタント 
水谷壽芳

 

“CS”から“CX”への変革
 

まず、田渕氏が自社における取り組みについて、次の3項目に則して説明を行いました。
① 市場の変化と組織課題
② 人の価値を最大化する人財育成・組織活性化
③ これからの目指す姿

① 市場の変化と組織課題
  
AIに置き換わる職業への危機感 
田渕氏が所管するコンタクトセンターの市場は、2015年の7,400億円から2020年に1兆154億円まで拡大。同社の売上高も、2017年度の2,423億円から2021年度の3,364億円まで伸びており、11期連続での増収となっています。世界30か国・地域で6万人の従業員を擁するグローバル企業であり、国内においては北海道から沖縄まで全国に2.3万人の従業員が在籍しています。

このように事業が急拡大する中、2014年に発表されたマイケル・A・オズボーンの『雇用の未来―コンピュータ化によって仕事は失われるのか』において、AIに置き換わる職業として「コールセンターオペレーター」が上位に挙げられました。「これを見た瞬間、我々の事業はどうなるのかという危機感を覚えました」と田渕氏は打ち明けます。

  “金太郎飴”からCX創出人材へ 
これを機に、自社のサービスを再検討。それまでは、平準的で標準化され、安定的に運用される“汎用量産型”のサービスモデルによる“CS”(顧客満足)を追求していました。これからは、商品・サービスの購入前後におけるあらゆる接点で顧客にどんな体験を提供し、どんな心理的価値を感じてもらうかを重視する“顧客別カスタマイズ型・課題解決型”のサービスモデルによる“CX”(顧客体験価値)が求められると結論。したがって、人材も“金太郎飴”からCXを創出できることへのスキルチェンジを図る必要性が浮上したのです。

                    出典:トランスコスモス株式会社

「そこで、CSからCXに変革するために我々は何をしなければならないのかを考え直さなければならないと考えました」と田渕氏。そして、なりたい姿の“Vision”、使命・存在意義の“Mission”、行動・考え方の“Value”から再定義。「経営層から現場まで共有・理解した上で事業運営に当たらなければ変化のスピードに追い付けないと考えました」と田渕氏は言います。「コミュニケーションの力で人の幸せと豊かな社会の懸け橋になる」というVisionの下、コミュニケーションの力で何ができるのかを個々の従業員が考えてチャレンジすることが重要であると打ち出したのです。

                    出典:トランスコスモス株式会社

② 人の価値を最大化する人財育成・組織活性化
  外部のプログラムやサーベイの導入 

「変化していく中で、人材が一番重要であると認識しています」と田渕氏。その人材の価値を最大化するために必要なことは何か。まずは上層部の意識変革が必要と考え、外部の知見を取り入れながら“他流試合”を行い、自らの考え方と世の中のギャップや自らのポジションを認識する機会を持つことにしました。そこで、2018年からGLOBISのミドル・マネジメント・プログラムの受講と、プロファイルズ社のCheckPoint360°サーベイを本部長以上に導入。2019年にはGLOBISのエグゼクティブ・マネジメント・プログラムの導入や、CP360°の部長以上への拡大、およびProfile XTを課長以上に実施。2021年にはCP360°を課長以上、PXTをマネージャーにも実施するなど順次拡大し、これまでにCP360°は128名、PXTは480名に実施しています。

                    出典:トランスコスモス株式会社

  経験と勘に頼った人事からデータの活用へ 
360°サーベイでは顕在化している領域を、PXTは潜在化している領域をそれぞれ測定するもの。「国内2.3万人のメンバーの潜在能力をいかに早くキャッチするか、リーダー層の顕在化している能力をいかに評価するかという観点で導入を図りました。これによって、自己流のマネジメントを見直し、事業戦略に基づく人的資本の最適化を行っていくことが重要だと認識しています」と田渕氏は言います。田渕氏には、自分自身も属人的な人材の登用や配置を行ってきたという反省がありました。

「従来のように経験と勘に頼った人事ではビジネスのスピードに追い付けず、データの必要性を実感しています」と田渕氏。

360°サーベイとPXTを活用し、本部長や部長の状況を見る人財ポートフォリオの作成、パフォーマンスが高い組織とそうでない組織における上司部下のフォーメーションの違いの分析、配置転換や組織編制に繋げています。

「先々で状況が変化した際に、今からデータを持っておかないと何が適正なのかが計れないとの考えがありました」と田渕氏は説明します。

③ これからの目指す姿
 「SUPPモデル」 
まずは、Mission・Vision・Valueに基づいて行動する人材の育成を最重要のテーマに挙げています。この浸透を図る共有(Share:耳で聞く)、理解(Understand:頭でわかる)、自分ごと(Personalize:体が動く)、実践(Practice:腹落ち)の「SUPPモデル」において、自分ごと化するプロセスを重視。このため、360°サーベイ結果を自己開示して対話し、率直なフィードバックを歓迎することにより、お互いを理解し認め合うことを通じて組織としてどう成長していくかを考える機会を設けています。

                    出典:トランスコスモス株式会社

ここで田渕氏は自らの360°サーベイ結果を開示。「最初はサーベイのコメントを素直に受け入れられない部分もありましたが、対話を通じてどんな組織にしていくべきかを語り合いながら、ありたい姿に向けて取り組んでいくと、翌年、翌々年とスコアが向上しコメントもどんどん変わっていきました」と田渕氏は話します。

                    出典:トランスコスモス株式会社

コンタクトセンター事業のありたい姿とは、「革新的・先進的なサービスと私たちの事業の原点でもあるコミュニケーションの力によって顧客体験価値を高め、地域と社会に貢献する」「多様性をもったすべての人とのつながりを大切にし、人の価値を最大化させ社員全員が自己実現を果たしワクワク働き成長する」というものです。

  未来の付加価値人財モデル 
同社では、今後のデジタル化、AI化、効率化の中で、顧客の課題にマッチしたソリューションの提供に繋げるために、どのような付加価値を付けるべくスキルチェンジを図るかという「未来の付加価値人財モデル」を定義。「運用のプロフェッショナル」「コンサルティング」「アナリティカル」「イノベーティブ」の4タイプを抽出しています。PXTを活用し、これら付加価値人財を発掘し育成していくことを検討しています。

                    出典:トランスコスモス株式会社

「顧客に向き合う組織を目指す上で、資産として人財が最重要であり、属人的にならないようデータを活用しながら人財配置の最適化を図っていきます。こうした集団が顧客によりよいサービスを提供できるのではないかと考えています」と締め括りました。

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2022.4.11 EVENT

「ザ・ベスト リージョナルバンク」の実現に向けた事業進化の轍
—経営環境の変化をチャンスとする組織・人事戦略—
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1 Session1』

事業基盤である九州の持続可能な発展に貢献するとともに、すべてのステークホルダーから支持される「ザ・ベスト リージョナルバンク」の実現を目指している、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)。4銀行のグループ統合やデジタル技術を駆使した事業の高度化などを実現しています。中でも、日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」の設立や、“人生100年時代”に合わせた金融サービス「投信のパレット」など、先進的なサービスは従来の金融サービスと一線を画しています。今回のセッションでは、こうしたグループ統合や新サービス誕生秘話、そしてその背景にある失敗を恐れない企業風土の形成や人事施策などについて、同社取締役として事業成長を牽引し、2022年4月1日にFFGおよび福岡銀行のトップに就任される五島久氏にお話を伺いました。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 
 
♢ゲストスピーカーのご紹介♢


株式会社ふくおかフィナンシャルグループ取締役執行役員
株式会社福岡銀行取締役専務執行役員
五島 久氏 
(Goto Hisashi)
1985年、九州大学・法学部を卒業後、㈱福岡銀行へ入行。
人事部・副部長、総合企画部・部長、営業推進部長などを経て、2017年に同行の常務執行役員並びに
㈱ふくおかフィナンシャルグループ・執行役員に着任後、現職に至る。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
ディレクター パフォーマンスコンサルタント 
水谷壽芳

 
 
<前編>
「シングルプラットフォーム・マルチブランド」の経営スタイル
 

まず、水谷は五島氏にFFGが2007年の設立以来築いている独自の経営スタイルについて尋ねました。五島氏は、まずFFGの沿革を説明。2007年4月に福岡銀行(創業1877年)と熊本銀行(創業1929年)の統合に始まり、同年10月に長崎の親和銀行(創業1879年)を経営統合。2016年4月にデジタルを活用した様々なサービスを提供する「iBank」事業をスタート。2019年4月には長崎の十八銀行を経営統合し、2020年4月に十八銀行と親和銀行が合併し十八親和銀行が誕生。2021年5月に「みんなの銀行」サービスを開始。こうしてFFGは現在、4つの銀行を傘下に置いています。「設立から14年が経過し、経営は少しずつ進化しています」と五島氏は話しました。

次に五島氏はそのFFGの経営スタイルを説明。グループ経営理念「高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、未来志向で高品質を追求し、人々の最良な選択を後押しする」や、コアバリュー「いちばん身近な銀行/いちばん頼れる銀行/いちばん先を行く銀行」などの下、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行の3行を顧客接点としつつ、FFGが一つのプラットフォームで商品・サービスを提供する「シングルプラットフォーム・マルチブランド」という経営スタイルを取っています。「マルチブランド」は、地方銀行としてそれぞれの地域社会や地域の顧客との関係性を重視し、地域に密着して営業を展開する姿勢を示しています。一方、グループ経営をより効率的・効果的に進めるため、各行のシステムや事務などのインフラを共通化するとともに、企画機能をも一体化させる「シングルプラットフォーム」を構築。

「足腰は一つ、上半身は各地域で活動するといった経営スタイル」と五島氏は説明しました。

これを受け、水谷は「地域とのエンゲージメントを維持しつつ、スケールメリットを出す秀逸な経営モデル。これを実現させていくところにFFGならではの強みがあると思います」と述べ、これを支える要素について五島氏に尋ねました。

                  出典:ふくおかフィナンシャルグループ

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「失敗を恐れない」といった組織文化と新サービス
 

五島氏は、「各行がオリジナリティは持ちつつ、インフラはあたかも一つの銀行のように機能させるべく、FFGと各行の間でノウハウや意識の共有することが非常に重要」と指摘。そのため、統合直後から役員層から若手まで延べ1,000名を超える人材交流を積極的に実施してきたと話しました。

ここで水谷は、FFGのブランドブックに記された「失敗を恐れない」といった組織文化の強さに言及。これを受け、五島氏はブランドブックを持ちながら、組織文化づくりの基盤となる考え方を全社員で共有していることを説明。「この中で、『失敗を恐れない』ことが強調されています」と話しました。

★FFG統合報告書/組織文化つくりの記述があります:
https://www.fukuoka-fg.com/investorimage/ir_pdf/tougou/202110/all.pdf

水谷は、こうした組織文化の中で生まれた新しいサービスとして、「投信のパレット」について尋ねました。

五島氏は「独自開発のシステムで、国内の約4,800本の投資信託を公平中立に評価・分析し、優良な投信を組み合わせながらお客様のニーズに最適な資産運用プランを提案、その後きめ細かくフォローアップしてお客様の資産運用を長期に渡って支えていくサービス」と説明。続いて、「人々の最良の選択を後押しする」という経営理念、「お客様本位の営業」という営業理念のもと、“人生100年時代”に必要な資産づくりという背景・ニーズに対応する開発目的に言及。「現場の担当者の間には、『投信を売ったのはいいが本当にお客様の役に立っているのか』『銀行本位でやっていることではないのか』との本音がありました。私自身も自信を持ちきれないところでしたので、真にお客様のためになるサービスを開発しようと始めたのがこのプロジェクトです」と話しました。

                    出典:ふくおかフィナンシャルグループ

水谷は2020年2月にサービスを開始したこの「投信のパレット」の取引残高が1,700億円、顧客数3.3万人に及ぶという反響の大きさを紹介した上で、「新規事業は簡単ではない中、社員によく伝えていることがあると伺いました」と話を振りました。

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“企業の目的”と“個人の目的”を繋ぐリーダーの役割
 

これに対し、五島氏は、「“システム×商品・サービス×人”の大きな要素がうまく連動することでいいサービスができ、お客様が満足し、従業員の『これでいいのか』との不安も払拭でき、成果が上がって収益に繋がり、次の投資に回せるという、まさしく『論語と算盤』のような世界ができると思います」と話しました。続いて、自社がこれまで社会インフラとして様々な金融サービスを提供し地域を支えてきた志について社員に話しているとした上で、“企業の目的”と“個人の目的”について言及。企業の目的は、世の中に善をなし利益を上げ続けるという好循環を目指す存在意義の追求にある一方、個人の目的は社会で役に立ち個人として成長することにあり、「この両者を併存できるように繋ぐことがリーダーの役割」と指摘しました。「一人ひとりの従業員も、会社にやらされているのではなく、自分のやりがいや生きがいを得るために仕事に向き合うことが大事であるという話をよくしています」と話しました。

                   出典:ふくおかフィナンシャルグループ

 この話を受け、水谷は「その話は最近よくスポットが当たっている事柄」とした上で、以前は会社が従業員を働かせるという関係性にあったところから、今では会社は働くインフラを提供し、従業員は持てる能力を発揮するというWin-Winの関係にあると指摘。そして、HRDグループが公開した論考・「経営戦略策定の手引き(2022年度版)の中でも、企業と個人の目的をすり合わせる必要性について書かれていることに触れ、五島氏が実践していることについて尋ねました。
(HRDグループ・論考「経営戦略策定の手引き(2022年度版):https://www.hrd-inc.co.jp/file/wp/wp_vol.pdf )

五島氏は、お客様本位の営業と持続的成長のために収益を上げ続けなければならないジレンマは誰しもにあり、従業員も“論語か算盤か”との二者択一的になりがちな難しい問題であるとした上で、「だからと言って目をつぶっていていいわけではなく、あえて認識しながら少しずつ歩みを進めていくことが大切という話をしています」と述べました。

「同じ方向に歩みを進めつつ、それぞれの立場で解釈を深めていくことで組織文化がより深まっていくように思います」との水谷の投げかけに対し、五島氏は「会社と個人の目的が結びついた時に、関わる全員がより幸せになれると思うからこそ、難しい問題ですがしっかりやっていきたいと思います。人事制度や風土づくりはその延長線上にあり、ダイバーシティインクルージョンとしても一人ひとりを理解し、活躍のフィールドを整備することが大事であると思います」と答えました。

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2021.11.18 EVENT

経営の未来を創る人材データ活用
新しい時代における組織・人材戦略を先駆者と共に考える
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day2』

HRテクノロジーという言葉が市場に認知され始め、ピープルアナリティクスに取り組む企業が増えつつある中、経営/事業に役立つ真の意味でのデータドリブンHRを実践できている企業は極めて少ないのが実情です。そこで、本セッションでは事業構造の根本的な変化が到来する時代において、戦略を実行に繋げるデータドリブンな組織・人材戦略によって事業発展に貢献してきた先駆者とのディスカッションを通じ、新しい時代の組織・人事戦略を考察。経営者のためのデータドリブン人事の時代の到来を見通すセッションとして、ゲストスピーカーとして、株式会社ブレインパッドの東一成氏をお招きして実施されました。

セッション動画はこちら

 

★ゲストスピーカーの紹介★

株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス 本部 本部長
東 一成氏
Kazunari Azuma

大学卒業後、鉄道系の情報システム会社に勤務の後、外資系のアナリティクスツール会社にてプリセールス、プロフェッショナルサービスの部隊でデータマイニング、BI、BSCなどの導入支援を担当。
その後、海外から機械学習システム、MA、分析プラットフォームなどの日本市場への展開を支援し、ビジネス立ち上げ、プリセールス、トレーニング・導入支援、サポート、日本語化などを担当。
現在もMA、拡張分析、ソーシャルメディアアナリティクス、分析プラットフォームに関する国内外のソフトウェアの展開や調査を行っている。
過去にテレコム通信、空港、百貨店、小売・流通、通販、カード、証券、商社、サービスなどの様々な業種への機械学習やMAなどの分析システム導入の経験・実績を持つ。

株式会社ブレインパッド
https://www.brainpad.co.jp/

 

事業におけるデータ活用の広がり


データ活用を“DX”の話題の観点で考える

まず、水谷が「バリューチェーン」の図を用いて、購買、製造、出荷・物流、マーケティング・販売、サービスの各事業活動におけるデータ活用の広がりを説明。そこで、東氏に「企業における代表的なデータ活用事例はどんなものがありますか?」「その際に活用されている新しい技術は?」と質問。

これを受け、東氏はまず、データ活用について国のDXに関わるレポートなどを基に、まずはシステムの話から入りました。

出典:株式会社ブレインパッド

同レポートには、「企業のDXには、いろいろな形のシステムが必要」と記載されています。そのシステムとは、社内情報の記録・維持・管理が目的の「SoR」(System of Record)。人・企業・集団を繋げる仕組みの「SoE」(System of Engagement)。そして今言われているのは、「SoI」(System of Insight)。大量のデータが蓄積されているSoRとSoEから、AIの活用によって意思決定の“支援”のための新たな洞察を導出するシステムです。マーケティングにおいては自動化が進んでいますが、営業における優良顧客とのリレーション構築や、人材育成など人間の内面を理解しての意思決定は自動化が困難。そこで、意思決定に役立つ何らかの洞察を得るために必要とされているものです。

データ活用における機械学習のバランス

この流れで、東氏はデータ活用における機械学習のバランスに言及。データと機械学習の知識や精度が重要な「当たればよい」天気予報や顔認証から、「当てることへの比重が高い」レコメンドなどのリアルタイムパーソナライズ、「当てるだけでなく、その理由も重要」な広告などのターゲティング、そして、確率より「むしろ理由が重要」な退職など人事領域の分析まで、データ活用の目的はグラデーションになっています。「こうなると、AIも通用しない領域があることがわかるようになってきました。このように、広範な領域においてデータが活用されるようになった今、どういった目的でデータを活用するのかをより明確にしてツールを用いる必要があると言えます」と東氏は話しました。

出典:株式会社ブレインパッド

ここで水谷は、東氏の作成資料にある「実はこの(理由が重要な)分野に注目しています」とのコメントについて質問。東氏は「マーケッターや経営者に『このユーザーに来月DMを送信すると商品を買う確率が高い』と説明しても、『すぐやろう』という人はいません。『なぜなのかを知りたい』という人ばかり。そこをうまく説明できないと、社内にこの結果を展開し人を動かすことができないからです。広告でターゲティングされる“理由”がわからなければ人は納得できないのも同様です」と説明しました。水谷は、「そうした領域では、データに現場の業務知識や説明力がより色濃くブレンドされる必要があるのだと思います。そこでは、企業やマーケッターの経験や価値観がより重要になるということでしょうか?」と質問。「いきなり人事データを渡されて『いい社員を探して』と言われても、探せるものではありませんね。理想とされているハイパフォーマーは誰かを聞いてからでなければ、データ分析してもわけがわからないと思います」と東氏は回答しました。

HR領域におけるデータ活用の実態

次に、水谷はHR領域におけるデータ活用の実態を説明。まず、米国のHRテクノロジー市場の傾向を示し、「事業戦略の実現を担う人事戦略に活用されていくとの見通しがポイント」と話しました。日本では、2019年度で約1,119億円の市場があり、現段階で449種類のサービスを確認。2020~23年の年平均成長率は13.7%という成長市場であることが説明されました。

そこで、HRテクノロジー活用領域を整理。求人、採用、配置・登用、組織・人材開発、労務・評価に分類したところ、求人領域で最も適応が進み、配置・登用と組織・人材開発という高度な機能が必要な領域は、今後加速化すると分析しました。

また、現在の人材データ分析としては、管理職比率や労働時間などの単純集計や指標把握、属性ごとのグループ間比較や経年比較に留まるケースが大半であることを示しました。

ここで、水谷は東氏にHRテックついてどう捉えているかと質問。東氏は、HRテックベンチャーが伸びている現状認識や、自社の提供しているMAツールが人材紹介会社に活用されていることに触れ、「たくさんの企業とたくさんの人材のマッチングや、付随して日々発生する連絡業務を、データやツールを活用して効率化させたいとのニーズがあります」と話しました。

本対談の全内容をご覧いただきたい方はこちら

株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス本部 本部長 東 一成氏

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