HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

" 組織戦略 " に関する記事
2022.4.27 EVENT

組織文化の変革と、そこで求められるリーダー像とは
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session4』

経営環境の変化の中でも、他社との差別化を図り組織を継続的に成長させるための重要な要素は、“人”です。
世界のCEO・経営幹部に対する調査GLF(※)から得られた洞察をもとに、変化の時代に求められているリーダー像と、戦略を加速させる組織文化について、プラクティカルな事例を交えながら議論を進めていきます。

※ GLF・・・グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト
MSC社のパートナー企業であり、世界中の組織に対して優れたリーダーの採用、選抜、育成を支援しているDDI社が、1999年から隔年で実施している世界規模のリーダー調査で、日本ではMSC社が主体となって実施しています。
9回目となる最新の調査は、HR業界の著名なアナリストであるジョシュ・バーシン氏と協働で行い、世界50カ国以上、24業界から2,102人の人事担当者と15,787人のリーダーの回答を検証しています。
                                                  ※GLFはこちらからダウンロードできます。 

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。



◇ゲストスピーカー◇


株式会社マネジメントサービスセンター
代表取締役社長
遠山 雅弘
(Tohyama Masahiro)
早稲田大学第一文学部卒。株式会社帝国データバンクを経て、株式会社マネジメントサービスセンター入社後、役員や事業部長などのエグゼクティブクラスの選抜・育成に関するグローバルプロジェクトに数多く携わる。2019年より現職。提携先のDDIとの連携を深め、企業戦略に基づくタレントマネジメントのコンサルティングに従事。現在、経営陣をリードし、企業の人材戦略・育成分野において、企業の成長を支援し続けるHRパートナーとしての企業価値の創造に取り組む。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
執行役員 シニアコンサルタント
久保田 智行

 

事業環境の変化と、それに伴う組織・人材課題

HRDグループは、様々な専門性を持つパートナーと共にお客様のリーダー育成を支援しています。
本セッションは、30年以上、パートナーシップを組んで共に取り組んでいる株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)より、代表取締役社長の遠山雅弘氏をお招きし、お話いただきます。

まずモデレーターが、本セッションの背景となる事業環境の変化と、それに伴う組織・人材課題について説明。事業環境の変化としては、破壊的新技術の動向や高まる地政学的リスク、強化される政府規制などによる高まる一方の不確実性を指摘。その背景の中で、人事制度を適合させるための4つの方針として、

   事業戦略・組織戦略と統合された流動的な人材戦略の立案・実行
   人材マネジメントのパーソナライズ化とマイクロフィードバック
   人材マネジメントの確実性を上げるためのデータ活用
   経営層のリスキリングをきっかけとする「学習する組織文化」の醸成
   ⇒戦略にアラインする人材の特定、個々人の測定、アダプティブな育成施策の提示が必要

との提言を提示。
この4つの方針を推進させていく上で、HRDグループの心理学・統計学を駆使したアセスメントツール(DiSC/ProfileXT/CheckPoint360)と、経営/組織/人事に関して高い専門性を持つパートナー企業との協働により、お客様を支援していることに触れ、遠山氏のプレゼンテーションに移りました。

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大規模調査に基づくリーダーシップの現在と未来:今後10年間で最も変化すること

遠山氏はまず、MSCを紹介。人材アセスメントを中心にコンサルティング、リーダーシップ開発などを手掛け、年間600社以上・80%以上が継続利用の企業と取引し、過去55年でのべ150万人以上の育成支援を手掛けていること、また世界最大手のリーダーシップ・コンサルティング企業である米DDI社と協働で93か国での多国籍プロジェクトを実施していることに触れました。

続いて本題に入り、「大規模調査に基づくリーダーシップの現在と未来」について説明を開始。まず、DDI社と協働して行っている「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」を紹介しました。1999年にスタートし9回開催したグローバルで最大規模のリーダーシップ調査で、2014・15年は「VUCAと戦略人事」、2017・18年は「デジタル・リーダーシップ」をテーマとして実施。コロナによるパンデミックの渦中である2020年に調査を行ったGLF2021においては、世界1万5,787人のリーダー(うち日本は1,043人)、2,102人の人事担当者(同89人)が回答しています。

遠山氏は、調査項目の「今後10年間で最も変化すると考えることはどれですか?」の結果について説明。
グローバルと日本企業のCHROの結果を下記のとおり示しました。

               出典:株式会社マネジメントサービスセンター

グローバルではリスキルが最も変化すると考えられているのに対し、日本では最も変化しないと考えられており、遠山氏は「こうした結果が現在のグローバルと日本の格差となって表れているのではないでしょうか」と指摘。日本では、アウトソーシングやパートタイムが最も変化すると考えられており、「標準化できる仕事にはなるべく固定費をかけず、正社員はクリエイティブな仕事に集中させていこうとする姿勢が示されていると思います」と解説。久保田は「組織を変化させていく具体策として、アウトソーシングやパートタイムが位置付けられているのではないでしょうか」とコメントし、遠山氏は「環境変化や戦略のアップデートに合わせて組織を流動化しやすくする狙いがあると考えられます」と応答。また、「リーダーになる意欲を持つ人材の低下」がグローバルでも日本でも共通している課題として挙げられています。日本の特徴としては、「従業員の忠誠度(の低下)」が挙げられ、遠山氏は「ロイヤリティの形が変わってきているのがうかがえます」とコメントしました。

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2022.4.20 EVENT

流動性組織:未来の企業競争力は「流動性」が決する
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session1』

変化への耐性は組織のリキッド化(流動性・柔軟性の高さ)によってもたらされるという長年の学術研究の成果を解説します。さらに、研究成果に加えて、数々のFortune500企業のトップマネジメントに対するコンサルティングの実践経験も踏まえて、日本企業に必要な改革の処方箋を提示します。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 

 

◇登壇者の紹介◇
 

マイアミ大学ハーバートビジネススクール副学長、マーケティング学部長
アルーン・シャーマ教授
(Arun Sharma)
グローバル市場のトレンド、市場構造、マーケティング戦略を主な研究領域としている。ビジネススクールでの教育・研究の傍ら、アクセンチュア、アメリカンエクスプレス、AT&T、アウディ、HP、IBM、マスターカード、ペイパル、P&G等、様々なグローバル企業への豊富なコンサルティング経験を有する。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
取締役
韮原 祐介(Nirahara Yusuke)

 

ディスラプションへの備えとしての流動性
ディスラプションを防ぐ流動性

まず、韮原が本プログラムのDay1を振り返り、「事業環境の不確実性が高まる中、企業のミッション、ビジョン、バリューに基づき、組織や人材をいかに素早く市場環境に適応させていけるかが問われる中、登壇各社におけるEverything DiSCProfile XTCheckPoint360°の活用事例などを聞くことができました」と概括した上で、不確実性の高い経営環境に対応するための流動性組織(Liquid Organization)の研究で知られる本セッションの登壇者、アルーン・シャーマ教授を紹介しました。

次に、シャーマ教授はプレゼンテーションの前に背景を説明。企業間および国家間競争に興味を持つ中、2018年頃からディスラプション(破壊)の問題が深刻化。複数の国家や企業の関係者から要請を受け、1年ほどを費やしてディスラプションの類型を提示したと言います。「すると、そうしたディスラプションを防ぐ方法を問われ、本日のテーマである“流動性(Liquidity)“の概念に到達しました」と述べました。
「流動性」は国家と企業の双方に通用する概念ですが、本セッションでは企業について扱います。

ここからシャーマ教授はプレゼンテーションに入りました。

まず、研究方法として数多くのCEOやCFO,業界の専門家などと調査研究を行ってきたことに触れ、「現在はグローバルな医療機器会社とディスラプションへの対処法について議論しています」とコメント。また、これまで15回来日し、大企業だけでなく中小企業にも訪問したと言います。

組織における速度、柔軟性、加速(と減速)と両利き


本題に入り、流動性組織とは何かについて「流動性とは、組織における速度、柔軟性、加速(と減速)、そして両利きのことを指します」と説明。どれだけ速く製品を開発できるか。どれだけ素早く方向転換できるか。そして、速度と柔軟性の違いについて、一つの例を示しました。

14年前、携帯電話市場は14%のシェアを持つノキアが支配。2番目はサムスン、3番目はブラックベリーでした。現在はサムスンがトップシェアを握り、ノキアやブラックベリーの電話はもう見かけることはありません。重要な点は、ノキアは週に数台の新機種を導入していても、柔軟性がなく事業全体の方向を変えることができなかったこと。スピードだけでなく、柔軟性も必要なのです。

速度と柔軟性に続く3つめの要素は、スケーラビリティ(拡張性)。どれだけ速く、新たな立ち上げや、逆に規模の縮小ができるか。例として、アメリカ市場におけるトヨタを取り上げました。ベストセラーは「カムリ」でしたが、消費者ニーズは急速にSUVに移行。現在最も売れているトヨタのSUVは「RAV4」ですが、その移行は困難でした。トヨタだけでなく、大半の自動車メーカーはベストセラー車種のスケールダウンとSUVのスケールアップができなかったのです。

この加速と減速をどれだけ速くできるかが重要」と指摘します。

最後に、両利きであること。
現在の顧客からどれだけ多くを得るかという“Exploitation”(深化)と、新たな顧客をどれだけ探るかの“Exploration”(探求)です。

流動性のある例・ない例


こうした流動性は、迅速な対応を可能にし、組織を行きたい方向に動かすことができますが、阻害するのは組織間の“壁”。製造とマーケティングは通常話し合う必要がなく、間に高い壁ができてしまいます。「しかし双方で、より深い会話ができれば、こうした壁がなくなり企業はより流動的になります」と指摘します。

次に、流動的ではないものを例示。プラハのトラム(路面電車)は電線が必要で、一路線しかなく、非常に固定化されています。
一方、ニュージーランド航空の場合。カタール航空がマイアミに運航を開始すると、ニュージーランド航空の当初の現地スタッフは1人であったところ、ダラスと兼務の0.5人となりました。なぜもっと人が必要ではないのか。チェックインや貨物の受け取り、機内食、燃料サービスのすべてが外部に委託されています。そして、当日のスタッフや機長、副操縦士、フライトクルーは翌日に帰る。「簡単に言えば、ニュージーランド航空はほぼ7日で飛行を開始できる。これが流動的ということです」と言います。

こうした流動性のある企業は収益が高く、成長も速く、レジリエントであるという特徴があります。
「コロナ禍でも生き残った企業はより流動性が高かった」と指摘。流動的な企業には戦略的思考と革新性があり、顧客満足度が高く、エンゲージメントの高い顧客を獲得していて、こうした顧客が高い収益をもたらしているのです。

次に、流動的でない4社として、GM、RCA、シアーズ、ノキアを例示。
GMは、日産やホンダの高品質によって攻撃され、今ではトヨタがGMより多くの車を販売しています。RCAは米国で最大のテレビのブランドであったものが、ソニーの小型化技術に攻撃されて消滅。今度はソニーがサムスンやLGに攻撃されています。かつての世界最大の小売業者、シアーズは、すでに存在していません。ノキアもアップルに襲われて存在をなくしています。

「これら4つの企業に共通しているのは、流動的ではなく、方向を素早く変える能力を持っていなかったことです」と指摘します。

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2022.4.20 EVENT

事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session2』

まだ出口の見えないパンデミック、不安定な地政学的状況、デジタル技術の進展によるディスラプター(破壊者)の脅威など、企業経営における不確実性が益々高まっています。こうした不確実な環境を企業が生き抜くためには、明確な戦略と刻々と変化する外部環境・内部環境に応じた流動性の高い組織と人材作りが必須となります。本セッションでは、まず経営戦略の50年史を振り返り、いま話題となる “両利き経営”や“パーパス経営”などといった経営思想のパラダイムの背景について解説することから始めます。その上で、不確実性の高い環境下で流動的な組織をいかに作るか、適応力の高い人材をいかに作ればよいのかについて解説します。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

講師
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
取締役
韮原 祐介 (Nirahara Yusuke)

 

まず、韮原は基本となる考え方として、事業×組織×人材の各戦略が統合された経営戦略を提起。
経営者が人事を、人事が経営を語る統合が企業成長のカギとなることを示し、セッションに入りました。

 

経営戦略論の歴史と現在
 

“ポジショニング” “ケイパビリティ” “イノベーション” “両利き” 各重視の論調

1960年代から経営戦略にも科学を持ち込むべきとの潮流が特に強まり、80年代にかけてアンドルーズの「SWOT分析」、BCGの「PPM」、マイケル・ポーターの「ファイブ・フォース」など、「儲かる市場で儲かる手法を行使すべき」という“ポジショニング”を重視する論調が主流を占めました。

80年代に入ると、マッキンゼーの「7S」、BCGの「タイムベース戦略」、ハマーの「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」、ハメルの「コア・コンピタンス経営」といった企業の内部環境を重視する“ケイパビリティ”指向の論調が起こりました。

その後、どちらが正しいかとの論争が続き、90年代後半にはミンツバーグの「コンフィグレーション戦略」という中間的な論調が登場します。

またほぼ同時期に、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」、2005年代頃にはキム/モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」といった“イノベーション”重視の論調が起こります。

2010年頃になると、マグレイスの「競争優位の終焉」、BCGの「戦略パレット」、最近になってオライリーの「両利きの経営」を重視する論調に流れてきています。

戦略パレット」は、予測可能性および改変可能性の高低を組み合わせるなどした5通りのアプローチを状況に応じて適合させる戦略。
両利きの経営」は、“破壊的イノベーションを持つ新規事業”(知の探索)と“既存事業の持続的イノベーション”(知の深化)の双方を追求する戦略です。

経営戦略論の変遷の背景

以上の経営戦略論の変遷には背景があります。ケイパビリティ派の登場の背景には、60年代後半からの内部環境を重視する日本企業の躍進があります。イノベーション派の登場の背景には、“盛者必衰”をもたらす破壊的技術の出現があります。両利き派登場の背景には、金融危機やGAFAの躍進が挙げられます。
「そして最近ではパンデミックが起こり、不確実性が極めて高い状況が今後の経営環境の特徴と言えます」と韮原は指摘します。

ここで韮原は、それぞれの経営戦略を実践している例として、USJの立て直しに成功した森岡毅氏のケースを取り上げました。“ポジショニング”としては、ハリウッド映画から総合エンタテインメントへのポジショニング変更、“ケイパビリティ”では逆向きジェットコースターや戦略人事強化、“イノベーション”としてはVRアトラクションや沖縄テーマパーク構想におけるブルーオーシャン戦略、“両利き”としてはハリーポッターへの大型投資や地磁気センサーを用いたO2Oマーケティングなど。加えて、数理・統計学を用いた需要予測を行うことによる不確実性の緩和施策を挙げています。

経営戦略の4ポイント

以上を踏まえて、韮原は経営戦略を策定する上で押さえるべき4つのポイントを指摘しました。

勝つための戦略的ポジショニングも、それを実行する組織・人材も、双方ともに重要であること
競争優位は持続しないため、新事業創出と既存事業の改善の両利きが重要であること
市場の不確実性が高いため、新事業創出に当たっては探索的に実験しながら試すことも考慮すべきであること
 (ある程度の失敗は許容する必要があること)
数学・統計学などを駆使しながら、定量データによる市場分析を綿密に行うことで、事業の成功確率を飛躍的に
  高めることができること

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