HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論

HRD株式会社 - Human Resource Development

" 人材戦略 " に関する記事
2022.4.20 EVENT

事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session2』

まだ出口の見えないパンデミック、不安定な地政学的状況、デジタル技術の進展によるディスラプター(破壊者)の脅威など、企業経営における不確実性が益々高まっています。こうした不確実な環境を企業が生き抜くためには、明確な戦略と刻々と変化する外部環境・内部環境に応じた流動性の高い組織と人材作りが必須となります。本セッションでは、まず経営戦略の50年史を振り返り、いま話題となる “両利き経営”や“パーパス経営”などといった経営思想のパラダイムの背景について解説することから始めます。その上で、不確実性の高い環境下で流動的な組織をいかに作るか、適応力の高い人材をいかに作ればよいのかについて解説します。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

講師
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
取締役
韮原 祐介 (Nirahara Yusuke)

 

まず、韮原は基本となる考え方として、事業×組織×人材の各戦略が統合された経営戦略を提起。
経営者が人事を、人事が経営を語る統合が企業成長のカギとなることを示し、セッションに入りました。

 

経営戦略論の歴史と現在
 

“ポジショニング” “ケイパビリティ” “イノベーション” “両利き” 各重視の論調

1960年代から経営戦略にも科学を持ち込むべきとの潮流が特に強まり、80年代にかけてアンドルーズの「SWOT分析」、BCGの「PPM」、マイケル・ポーターの「ファイブ・フォース」など、「儲かる市場で儲かる手法を行使すべき」という“ポジショニング”を重視する論調が主流を占めました。

80年代に入ると、マッキンゼーの「7S」、BCGの「タイムベース戦略」、ハマーの「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」、ハメルの「コア・コンピタンス経営」といった企業の内部環境を重視する“ケイパビリティ”指向の論調が起こりました。

その後、どちらが正しいかとの論争が続き、90年代後半にはミンツバーグの「コンフィグレーション戦略」という中間的な論調が登場します。

またほぼ同時期に、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」、2005年代頃にはキム/モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」といった“イノベーション”重視の論調が起こります。

2010年頃になると、マグレイスの「競争優位の終焉」、BCGの「戦略パレット」、最近になってオライリーの「両利きの経営」を重視する論調に流れてきています。

戦略パレット」は、予測可能性および改変可能性の高低を組み合わせるなどした5通りのアプローチを状況に応じて適合させる戦略。
両利きの経営」は、“破壊的イノベーションを持つ新規事業”(知の探索)と“既存事業の持続的イノベーション”(知の深化)の双方を追求する戦略です。

経営戦略論の変遷の背景

以上の経営戦略論の変遷には背景があります。ケイパビリティ派の登場の背景には、60年代後半からの内部環境を重視する日本企業の躍進があります。イノベーション派の登場の背景には、“盛者必衰”をもたらす破壊的技術の出現があります。両利き派登場の背景には、金融危機やGAFAの躍進が挙げられます。
「そして最近ではパンデミックが起こり、不確実性が極めて高い状況が今後の経営環境の特徴と言えます」と韮原は指摘します。

ここで韮原は、それぞれの経営戦略を実践している例として、USJの立て直しに成功した森岡毅氏のケースを取り上げました。“ポジショニング”としては、ハリウッド映画から総合エンタテインメントへのポジショニング変更、“ケイパビリティ”では逆向きジェットコースターや戦略人事強化、“イノベーション”としてはVRアトラクションや沖縄テーマパーク構想におけるブルーオーシャン戦略、“両利き”としてはハリーポッターへの大型投資や地磁気センサーを用いたO2Oマーケティングなど。加えて、数理・統計学を用いた需要予測を行うことによる不確実性の緩和施策を挙げています。

経営戦略の4ポイント

以上を踏まえて、韮原は経営戦略を策定する上で押さえるべき4つのポイントを指摘しました。

勝つための戦略的ポジショニングも、それを実行する組織・人材も、双方ともに重要であること
競争優位は持続しないため、新事業創出と既存事業の改善の両利きが重要であること
市場の不確実性が高いため、新事業創出に当たっては探索的に実験しながら試すことも考慮すべきであること
 (ある程度の失敗は許容する必要があること)
数学・統計学などを駆使しながら、定量データによる市場分析を綿密に行うことで、事業の成功確率を飛躍的に
  高めることができること

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