HRD株式会社 - Human Resource Development

" バーチャル環境 " に関する記事
2021.3.12 EVENT

ラーニングのオンライン化のその先、3つの方向性 ~変化が必要なこと(STOP)/新しく始めること(START)/変わらないこと(KEEP)~

ReThink Day3 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。 

ReThink第3回目の本日は、ユームテクノロジージャパン株式会社の小仁様と株式会社シェアウィズの辻川様をお招きし、「ラーニングのオンライン化のその先、3つの方向性」というテーマでご対談をいただきます。ナビゲーターは、HRDグループの久保田智行が務めます。

 
☆ゲストスピーカーのご紹介☆
 
小仁 聡  
ユームテクノロジージャパン株式会社ビジネスプロデューサー
株式会社ラーニングシフト 代表取締役
大学卒業後、(株)ビジネスコンサルタント、アルー(株)、(株)ファーストキャリア、(株)セルムを経て、株式会社ラーニングシフトを設立。100年時代の学びをアップデートするべく、HRテクノロジーを活用した事業開発、研修・組織開発コンサルティングを提供。UMUの国内での拡販に初期メンバーとしても参加。現在、企業のラーニングのオンラインへのトランスフォーメーションを支
援している。DiSC認定コンサルタント。
 
【UMUに関するお問い合わせはこちらまでお寄せください。】Email: cs@umu.co

 

辻川 友紀 
株式会社シェアウィズ 代表取締役
1984年生まれ。京都大学大学院生命科学研究科修了。P&Gジャパン(株)を経て、2012年に(株)シェアウィズを設立。「学習コンテンツの流通を最適化し、学ぶ希望が見つかる場所をつくる」をミッションに掲げ、社会人向けのオンライン動画学習サービスを提供。個人向けの学習コンテンツプラットフォームShareWisの他、研修事業者、教育事業者等を対象にした、法人向け学習コンテンツ配信システムWisdomBaseを展開している。

【シェアウィズ社へのお問い合わせはこちらまでお寄せください。】Email: support@share-wis.com

 

オンライン化によって、教育プロセス全体の設計と実践が可能に

久保田:新型コロナの影響で、教育や学びが一時止まってしまい、その後オンライン化が進みました。しかし、教育については、以前から変化や革新が求められていました。新型コロナの影響により急激な変化が余儀なくされましたが、もし新型コロナが収まったときにどうなるのか。本日お招きしているおふたりは、新型コロナの前から教育や学習の変化を見据え、実践されてきました。さらに今は、未来を見据えていらっしゃると思うので、是非おふたりの知見を共有していただければと思います。早速ですがラーニングの変化について、小仁さんの所感をお話しいただけますか。

小仁:今年は、多くの企業様がオンライン化に踏み切りました。来年度からはどうなるのか、ということについて情報提供をさせていただきます。本日のテーマであるラーニングのオンライン化は、今から2年前、もともとは東京オリンピックを見据えた準備が進められていました。私たちが提供するラーニングプラットフォーム「UMU(ユーム)」も、今回のコロナ禍の中で、一気に受講者が増えました。日本国内において、アプリの企業ユーザー登録も9000社に到達しています。そんな状況下において、私たちが実感したニューノーマル時代の学習トレンドについてお話ししたいと思います。

2020年度はオンライン化の年になりましたね。ここで言うオンライン化というのは、これまで主流だったeラーニングだけでなく、Zoomなどを活用した、オンライン研修と学習という領域まで波及したという意味です。いつでもどこでも、どんなときでも可能になりました。しかし厳密に言うと、オンラインと一言でいっても色々なものがあります。

「オンラインの多様性」:出典:UMU Technology Japan Inc,

軸で分けると、上が双方向で下が一方向。右と左が同期、非同期ですね。Zoomによるグループミーティングは、右上のオンラインクラスルームに該当します。この領域は共有体験を実現し、即時フィードバックがあり、対話を通じて学ぶことに向いています。一方で、ウェビナーは一方通行ですが、拡張性が高いですし、記録・保存して二次利用ができます。先ほどのオンラインクラスルームでは参加者のプライバシーや機密性の高い情報を含めた様々な声が入っているので、他では利用できません。

そして左側の非同期では、オンデマンドは設計が不要なので、コスト面でメリットがありますし、これに双方向性を取り入れたのがeラーニングです。自分自身のペースで学習できたり、多くの学習機会があったりするので、全員がアウトプットできます。集合研修は、ぼーっと受けていても受講になりましたが、オンラインではそれができません。

こういったものの中から、効果、効率、コストのバランスを考えながら最良のものを選択するということが、今年、様々な企業様が模索されたところだと思います。

それでは、対面集合型、そしてオンラインの研修や学習が、来年度どのようになっていくか。私たちが考えるキーワードは、「ブレンディッド・ラーニング」です。やはり学習には目的があるので、最適な形で学習方法を組み合わせることがポイントになります。

これからの学習フォーマットは、「教室内でのトレーニング」「オンラインでのライブ研修」「オンライン自己学習」の三つに分類されていきますが、どれもメリットとデメリットがあります。例えば、教室内のトレーニングはその場での参画度はとても高いのですが、アウトプットは設計によっては難しいですね。私はオンラインでのライブ研修が大好きですが、チャットで呼びかけると、全員が投稿をしてくれるので、むしろ情報が多いのではないかと思います。テーマによって、この3つをどのように組み合わせていくのかということがポイントだと思います。

「今後の3つの学習フォーマット」:出典:UMU Technology Japan Inc,

教育のオンライン化最大のメリットは、教育プロセス全体の設計と実践を可能にしたことにあると思います。従来の研修はイベント色が強く、本当に身についているのかどうかが疑問でした。フォローでもう一度集合研修をするのは交通費や宿泊費がかかりますよね。ここで有効なのがブレンディッド・ラーニングです。やはり「知っている」を「できる」にするためには大きな壁があり、定着化や現場で使ってみてなんぼの世界です。オンライン化によって、やってみたものをしっかりとフィードバックしてコメントをしたり、他の人と共有したりすることが可能になり、学び方も大きく変わりました。

従来型のeラーニングはコンテンツが多く、少しテストをするくらいのものでした。今の「マイクロ・ラーニング」では、短いコンテンツを学んだら都度、実際に話すのか、試験を受けてみるのか、あるいは自分の言葉にしてみます。そして、もう一度フィードバックを受けます。このサイクルを実行するには、コスト面を考えると、どうしてもオンラインを使わざるを得ません。むしろ、オンラインを使うことによってのみ可能になります。来年度の学びのスタイルは、事前にオンラインで学習し、その後、集合研修を行い、事後にオンラインでフィードバックをするという流れになると考えます。

私たちは、これを「パフォーマンス・ラーニング」と呼んでいますが、成果が上がるための設計があって初めて活きてきます。なので最悪の設計をデジタル化すると、最悪の研修になってしまいます。よって知識やハンズオン(実際に手などを動かすもの)、ソフトスキルや理念浸透など様々なテーマに応じて、どうしたら効果的に教えられるのか、どうしたら効果的な練習ができるのか、どうしたら評価できるのか、それをブレンディッド・ラーニングで集合研修と自己学習、オンラインのライブ研修を組み合わせながらやっていくということが、来年度の研修の在り方になっていくと考えています。

「オンライン化のその先は『ブレンディッドラーニング』」:出典:UMU Technology Japan Inc,

<<目次へ戻る>>

2021.2.3 EVENT

リアルからバーチャルへ、変わる『職場』の再定義

~データから見える真実と向き合い、新たな組織マネジメント手法を見出す~

ReThink Day2 イベントレポート

HRDグループが毎年開催しております「Assessment Forum Tokyo」、今回はオンラインに形を変え、コロナ禍に向き合う新しい未来のための価値あるコンテンツを提供する場として開催されました。 経営戦略やDX、グローバル人事など、より広い視点から組織・人材マネジメントについて問い直し、再出発するための一連のデジタルイベントとして多く方のご参加を賜りました。

ReThink第2回目は、Virtual Workplace Lab.の代表であり、株式会社エスノグラファーの代表でもある神谷俊様をお招きしております。「リアルからバーチャルへ変わる職場の再定義」をテーマにお話をいただきます。 HRDグループの久保田智行がモデレーターを務める、対談形式で進めてまいります。

 
☆ゲストスピーカーのご紹介☆

神谷 俊氏
Virtual Workplace Lab. 代表
株式会社エスノグラファー 代表取締役
法政大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。エスノグラフィーという調査方法を専門技能として、企業や地域などの分野でフィールドワークを実践。2020年5月、ポストコロナ時代の「職場」の在り方や働き方を探求することを目的に研究プロジェクト Virtual Workplace Labを設立。従来の職場環境が、バーチャルな環境にシフトすることによって生まれる効果や不整合について研究知見を提供。丹念な文献リサーチと企業調査を繰り返し、実践的なノウハウの提供を推進している。

神谷氏へのご質問は、下記までお寄せください。
https://www.virtual-workplace-lab.com/contact

バーチャルシフトが進む中で“起こっていること”

久保田神谷さんも本日、約半年ぶりに東京に出られたということですが、多くの方々が新型コロナの感染拡大により、働き方が大きく変化したと実感されていると思います。
バーチャルシフトは日本だけではなく、人類全体の実験だと思います。新型コロナが治まった時にどうするのかという点については、現時点において、組織によって考え方が分かれていると思います。バーチャルシフトというのはメリットもデメリットもありますよね。本日は、その点をなるべく言語化して、明確にしていきたいと考えています。組織社会学的なアプローチで知見が豊富な神谷さんをお招きできて、本日はとても嬉しいです。

神谷さんはこの春にVirtual Workplace Lab.を立ち上げて、バーチャル時代の組織について研究されています。本日はそのデータもたくさんご用意いただいております。まずは、バーチャルシフトの特徴や定義づけをお願いします。

「これまでの職場の特殊性」:出典:Virtual Workplace Lab. 

神谷株式会社エスノグラファーという、リサーチとコンサルティングビジネスの会社を経営しています。このエスノグラファーという会社は、私が研究者のときに、文化人類学や社会学のエスノグラフィーという調査方法を専攻していたので、その調査方法を用いながら地域や企業の活動、商品開発をしていこうということで立ち上げた会社です。定量的なアンケート調査も行いますが、基本的には現場やフィールドに行き一社員としてお仕事をさせていただいたり、ひとりの研修受講者としてその研修に参加しながら、他の社員や受講者の動きを観察するという質的な調査を中心にビジネスを展開しています。

しかしコロナウィルスの感染拡大により、全面的に皆さんがリモートワークに移行しましたよね。その中で私も現場に行くわけにいかないので、オンライン環境でのエスノグラフィーであるバーチャル・エスノグラフィーを始めました。すると、上半身だけスーツを着て会議に参加をしたり、後ろで子供が騒いでいると音声を消したり、あるいは背景を全てブラックアウトにして家庭が見えないようにしたりといったような、一見すると矛盾しているような不都合な状態というものがたくさん見受けられました。これは何とかした方がいいと考え、4月にVirtual Workplace Lab.というプロジェクトを立ち上げた次第です。

久保田緊急事態宣言で、皆さんが家に留まっている最中でしたね。

神谷そうですね。3月頃から全面的にリモートに移行すると思いましたし、それまで、海外に比べて日本はリモートの導入率が圧倒的に低かったのです。企業では全体の15%ほどしか導入していませんでしたし、導入している企業の中でも数%の社員しか実際にリモートワークを利用したことがないという状態でした。社会的に働く上での制約とでも言いますか、例えばお子さんがいて、なかなか働く時間が十分に取れないといった方に向けての制度としてのリモートワークという位置づけになっていました。なので、これは適用するのが難しいだろうと思い、適用を支援するために立ち上げたプロジェクトがVirtual Workplace Lab.です。

このプロジェクトの基本的な概念はバーチャル・ワークプレイスです。海外では当たり前のように研究されている領域なので、オンライン上の職場での研究文献を読み込んでいます。海外では、90年代以降からバーチャルチームの研究は進んできているので、その辺りの知見をインプットしつつ、日本のリモート環境におけるHRM(人的資源管理)の役割、つまり、人事がオフィスではない環境下でどうやって社員を支援できるのか、または能力開発ができるのかといったところを定義していきます。さらにリモートワークに移行する企業の多くは問題を抱えているので、その部分の解決コンサルティングも行っています。

では、リモートワークの推進背景、バーチャルシフトの本質部分についてお話したいと思います。バーチャルシフトとは何かというと、「リアルからバーチャルに移行すること」ということが最もシンプルな説明ですね。オフィス環境からどこでも働けるような環境にシフトしていくことです。このバーチャルシフトを今後も続けていくのか、とよく聞かれますが、私は今後も継続的に進むと思っています。理由は、日本政府がそれを支援しているからです。日本の労働人口が1990年代からどんどん減少していく中で、生産性や一億総活躍と皆さん言われ続けていますよね。その国が抱えている大きな人的資源の問題とリモートワークというのは、とても相性がいいです。

今回の新型コロナウィルスによって皆さん強制的にリモート環境に追いやられたわけですが、そこで得た学習機会は大切にしなければなりませんし、それを活用しなければ、高齢化社会の中での日本のビジネスというのは持続的ではないと思います。なのでバーチャルシフトはまだ続くと思います。
また世界的な潮流として、マッキンゼーが指摘しているウォー・フォー・タレント(人材獲得競争)がスタートしています。優秀な人材をいかに獲得していくかということで、バーチャルシフトが重要になってきています。例えばとても優秀なエンジニアが沖縄でダイビングをしながら働きたいと言ったときに、企業はその人材をとれるかが重要です。リモートワークを採用していれば難なく獲得することができます。しかしオフィスに来てもらわなければならないという前提になると、採用は難しくなります。

久保田それは国をまたいだときにも言えますね。

神谷そうですね。GoogleやFacebookなどは従来からバーチャルチームの運用をしていますが、彼らがバーチャルチームを取り入れている理由は、市場を全世界で見ているので、世界中から優秀な人材を調達してプロジェクトチームを作るためです。なので中国、日本、アメリカ、イギリスといったところで点在している社員が、チームを組んでプロジェクトを進めるといったことも可能です。社会的な背景やビジネス効率の両方を踏まえても、リモートワークはとても相性がいいですし、それを戦略的に進めていく時代が来ていると思います。

実際にアメリカのガートナーは、「2021年までに中堅と大手企業の4分の1がバーチャルな環境へのシフトを成功させる」と言っています。全員がオフィスに集まって合意形成の会議を行い、それで意思決定をしていくというスタイルではなく、それぞれのチームが現場で判断して意思決定を行うという、セルフマネジメントを中心とした考え方で分散型の意思決定が進んでいくと考えられます。そしてリモート環境が整備され、オフィスの意味が変わってきます。仕事をする場所がバーチャルになるのであれば、オフィスは新たな意味を持ってくるので、その辺りの再設計が進められるということが、新型コロナの前である2019年から言われています。

過去の研究を見ていくと、リモートワークの導入メリットについて、このように言われています。まずは時間的なコスト削減です。もちろん移動時間などが削減されるので、時間的なコストダウンは有益になります。また距離のコストダウンです。出張やお客さん先の訪問などが無くなるので、その辺りのコストも削減されます。そして自律性やセルフマネジメントの向上です。現場が自主的に判断するという能力や問題解決の力が身に付きます。

それからタレントマネジメントの効率化もあります。ここでいうタレントはとても優秀な人材のことを指しますが、先ほど沖縄でダイビングをしながら仕事をしたいという人の例をあげましたが、そのような優秀な人材を時間や場所の制約に囚われずに、プロジェクトにアサインしたり採用することができます。もちろん採用力が上がりますし、知識共有が促進されます。オフィスでは皆さん黙々と仕事をしているので、なかなか情報の共有は進みませんでしたが、バーチャルではチャット上でどんどん情報の共有がされます。

「リモートワーク導入のメリット」:出典:Virtual Workplace Lab. 

久保田リアルな職場の方が、会話の中で情報共有ができるという意見もありますよね。両面があるということでしょうか。

神谷知識の質にもよると思いますが、メディア上に掲載されている情報や論文の情報など、バーチャルに置かれている知識の共有というのは、オンラインの方が共有されやすいです。しかし現場で培ったノウハウや営業経験から得た知見などは、おそらくリアルの方が共有されやすいと思います。総論的に見ると、情報共有が促されやすいという研究結果があります。
そして創造性の向上です。これは日本企業においては微妙なところがありますが、オンラインでは意見を出しやすいです。自分の意見をチャットなどで書き込みやすいので、様々な意見の有益な衝突が起こります。そのコラボレーションの中から創造性が生まれやすいと言われています。

そして皆さん気になるところだと思いますが、ネガティブなものもたくさんあります。先ほど知識の共有のところで、知見やノウハウが共有されにくいという話がありましたが、やはり意図しない情報は入りにくいです。自分が探したり検索することで得られる情報は周囲と共有しやすいですし、自分の仕事に関する情報というのは入ってきやすいのですが、例えばオフィスを歩いていると「最近何をやっているの?」と話しかけられるところから始まる、偶発的な情報共有があります。それが低下することによって、学習レベルも低下すると言われています。

そして家で仕事をしているので、特に若手の方でワンルームに住んでいる方が非常に感じやすいのですが、孤独感を感じたり、あるいは子育てをしている方が仕事中に子供の面倒を見たりすると、罪悪感を感じるケースも報告されています。そうして心身が弱まってしまうので、健康レベルが低下してしまいます。また、エンゲージメントが低くなりやすいです。分散して働いているので組織を感じる機会が少なくなり、組織に対するエンゲージメントが低下しやすくなります。

「リモートワーク導入のリスク」:出典:Virtual Workplace Lab. 

久保田新入社員の中には、入社後ほとんどオフィスに来ていなくて、顔を合わせていないという人も多いと思いますが、それで新入社員のエンゲージメントに影響が出ているという話はよく耳にします。

神谷新入社員は従来であれば、現場での相互作用、例えば先輩社員や上司、同期とのコミュニケーションの中で組織への適応をしていきます。しかしそのコミュニケーションがある程度制限されてしまい、働いている実感が持てません。また、企業が新入社員への仕事をバーチャルで生み出すことが出来ておらず、雑用をお願いしてしまうケースが多いです。それでやりがいを感じられず、当然周りから褒められるケースも少なくなるので、承認されずに孤立化するというケースも増えています。

そんな中で会社を辞めたいという気持ちも出てきますし、上司の管理レベルも低下します。部下が今、どんなことでトラブルを抱えているのか、どんなことで悩んでいるのかがとても分かりにくいです。オフィスにいれば、朝出社してきたときの顔を見てなんとなく察することが出来ますし、「ざわざわしている」といったようなノイズから何かを感じることも出来ます。しかしオンラインではそれが出来なくなるというデメリットがあります。結果的に人事評価の質の低下となり、適切に評価が出来なくなったり、反対に部下は上司にアピールする機会が減るので、昇進昇格が停滞します。

また、ワーク・ファミリー・コンフリクトという概念がありますが、仕事と家庭がコンフリクトします。これは大きな問題だと思いますが、やはり家庭は家庭でとても大きな仕事量があります。しかし、それとは別に仕事もあるので、それぞれが同じ空間で行われるとせめぎ合いが起こります。例えば仕事でイレギュラーが発生して緊急対応をしなければならなくても、それが子供を迎えに行く時間と重なったとすると葛藤が起こります。どちらを取っても罪悪感は残ります。このようなコンフリクトは様々な状況で発生します。

久保田今までは場が違うので、そこで切り離されて責任も明確になっていたけれども、同じ場にいるとリアルになりますね。

神谷やはりバーチャルの特徴は、時間と空間が融合してくるということです。仕事の空間はオフィスで、仕事の時間は定時などと定まっていたものが、家庭の空間と時間軸がミックスしてきます。その矛盾がありますね。本来であれば、家庭というのは仕事を忘れて家事や育児に勤しむ場なのに、そこで仕事を行うことによってコンフリクトが起こります。

リモートワークという働き方にはメリットとデメリットの双方がありますが、これからの日本を考えると、やはり労働人口が減少していく中で、どのように生存戦略を作っていくかが求められます。その点において、リモートワークというのはとても重要なキーになってきます。一方でデメリットもたくさんあるので、バーチャルシフトをいかに円滑に進めていくかということが、非常に重要なポイントになってきます。

《目次へ戻る》