HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論

HRD株式会社 - Human Resource Development

" カルチャー変革 " に関する記事
2022.4.11 EVENT

「ザ・ベスト リージョナルバンク」の実現に向けた事業進化の轍
—経営環境の変化をチャンスとする組織・人事戦略—
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1 Session1』

事業基盤である九州の持続可能な発展に貢献するとともに、すべてのステークホルダーから支持される「ザ・ベスト リージョナルバンク」の実現を目指している、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)。4銀行のグループ統合やデジタル技術を駆使した事業の高度化などを実現しています。中でも、日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」の設立や、“人生100年時代”に合わせた金融サービス「投信のパレット」など、先進的なサービスは従来の金融サービスと一線を画しています。今回のセッションでは、こうしたグループ統合や新サービス誕生秘話、そしてその背景にある失敗を恐れない企業風土の形成や人事施策などについて、同社取締役として事業成長を牽引し、2022年4月1日にFFGおよび福岡銀行のトップに就任される五島久氏にお話を伺いました。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 
 
♢ゲストスピーカーのご紹介♢


株式会社ふくおかフィナンシャルグループ取締役執行役員
株式会社福岡銀行取締役専務執行役員
五島 久氏 
(Goto Hisashi)
1985年、九州大学・法学部を卒業後、㈱福岡銀行へ入行。
人事部・副部長、総合企画部・部長、営業推進部長などを経て、2017年に同行の常務執行役員並びに
㈱ふくおかフィナンシャルグループ・執行役員に着任後、現職に至る。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
ディレクター パフォーマンスコンサルタント 
水谷壽芳

 
 
<前編>
「シングルプラットフォーム・マルチブランド」の経営スタイル
 

まず、水谷は五島氏にFFGが2007年の設立以来築いている独自の経営スタイルについて尋ねました。五島氏は、まずFFGの沿革を説明。2007年4月に福岡銀行(創業1877年)と熊本銀行(創業1929年)の統合に始まり、同年10月に長崎の親和銀行(創業1879年)を経営統合。2016年4月にデジタルを活用した様々なサービスを提供する「iBank」事業をスタート。2019年4月には長崎の十八銀行を経営統合し、2020年4月に十八銀行と親和銀行が合併し十八親和銀行が誕生。2021年5月に「みんなの銀行」サービスを開始。こうしてFFGは現在、4つの銀行を傘下に置いています。「設立から14年が経過し、経営は少しずつ進化しています」と五島氏は話しました。

次に五島氏はそのFFGの経営スタイルを説明。グループ経営理念「高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち、未来志向で高品質を追求し、人々の最良な選択を後押しする」や、コアバリュー「いちばん身近な銀行/いちばん頼れる銀行/いちばん先を行く銀行」などの下、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行の3行を顧客接点としつつ、FFGが一つのプラットフォームで商品・サービスを提供する「シングルプラットフォーム・マルチブランド」という経営スタイルを取っています。「マルチブランド」は、地方銀行としてそれぞれの地域社会や地域の顧客との関係性を重視し、地域に密着して営業を展開する姿勢を示しています。一方、グループ経営をより効率的・効果的に進めるため、各行のシステムや事務などのインフラを共通化するとともに、企画機能をも一体化させる「シングルプラットフォーム」を構築。

「足腰は一つ、上半身は各地域で活動するといった経営スタイル」と五島氏は説明しました。

これを受け、水谷は「地域とのエンゲージメントを維持しつつ、スケールメリットを出す秀逸な経営モデル。これを実現させていくところにFFGならではの強みがあると思います」と述べ、これを支える要素について五島氏に尋ねました。

                  出典:ふくおかフィナンシャルグループ

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「失敗を恐れない」といった組織文化と新サービス
 

五島氏は、「各行がオリジナリティは持ちつつ、インフラはあたかも一つの銀行のように機能させるべく、FFGと各行の間でノウハウや意識の共有することが非常に重要」と指摘。そのため、統合直後から役員層から若手まで延べ1,000名を超える人材交流を積極的に実施してきたと話しました。

ここで水谷は、FFGのブランドブックに記された「失敗を恐れない」といった組織文化の強さに言及。これを受け、五島氏はブランドブックを持ちながら、組織文化づくりの基盤となる考え方を全社員で共有していることを説明。「この中で、『失敗を恐れない』ことが強調されています」と話しました。

★FFG統合報告書/組織文化つくりの記述があります:
https://www.fukuoka-fg.com/investorimage/ir_pdf/tougou/202110/all.pdf

水谷は、こうした組織文化の中で生まれた新しいサービスとして、「投信のパレット」について尋ねました。

五島氏は「独自開発のシステムで、国内の約4,800本の投資信託を公平中立に評価・分析し、優良な投信を組み合わせながらお客様のニーズに最適な資産運用プランを提案、その後きめ細かくフォローアップしてお客様の資産運用を長期に渡って支えていくサービス」と説明。続いて、「人々の最良の選択を後押しする」という経営理念、「お客様本位の営業」という営業理念のもと、“人生100年時代”に必要な資産づくりという背景・ニーズに対応する開発目的に言及。「現場の担当者の間には、『投信を売ったのはいいが本当にお客様の役に立っているのか』『銀行本位でやっていることではないのか』との本音がありました。私自身も自信を持ちきれないところでしたので、真にお客様のためになるサービスを開発しようと始めたのがこのプロジェクトです」と話しました。

                    出典:ふくおかフィナンシャルグループ

水谷は2020年2月にサービスを開始したこの「投信のパレット」の取引残高が1,700億円、顧客数3.3万人に及ぶという反響の大きさを紹介した上で、「新規事業は簡単ではない中、社員によく伝えていることがあると伺いました」と話を振りました。

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“企業の目的”と“個人の目的”を繋ぐリーダーの役割
 

これに対し、五島氏は、「“システム×商品・サービス×人”の大きな要素がうまく連動することでいいサービスができ、お客様が満足し、従業員の『これでいいのか』との不安も払拭でき、成果が上がって収益に繋がり、次の投資に回せるという、まさしく『論語と算盤』のような世界ができると思います」と話しました。続いて、自社がこれまで社会インフラとして様々な金融サービスを提供し地域を支えてきた志について社員に話しているとした上で、“企業の目的”と“個人の目的”について言及。企業の目的は、世の中に善をなし利益を上げ続けるという好循環を目指す存在意義の追求にある一方、個人の目的は社会で役に立ち個人として成長することにあり、「この両者を併存できるように繋ぐことがリーダーの役割」と指摘しました。「一人ひとりの従業員も、会社にやらされているのではなく、自分のやりがいや生きがいを得るために仕事に向き合うことが大事であるという話をよくしています」と話しました。

                   出典:ふくおかフィナンシャルグループ

 この話を受け、水谷は「その話は最近よくスポットが当たっている事柄」とした上で、以前は会社が従業員を働かせるという関係性にあったところから、今では会社は働くインフラを提供し、従業員は持てる能力を発揮するというWin-Winの関係にあると指摘。そして、HRDグループが公開した論考・「経営戦略策定の手引き(2022年度版)の中でも、企業と個人の目的をすり合わせる必要性について書かれていることに触れ、五島氏が実践していることについて尋ねました。
(HRDグループ・論考「経営戦略策定の手引き(2022年度版):https://www.hrd-inc.co.jp/file/wp/wp_vol.pdf )

五島氏は、お客様本位の営業と持続的成長のために収益を上げ続けなければならないジレンマは誰しもにあり、従業員も“論語か算盤か”との二者択一的になりがちな難しい問題であるとした上で、「だからと言って目をつぶっていていいわけではなく、あえて認識しながら少しずつ歩みを進めていくことが大切という話をしています」と述べました。

「同じ方向に歩みを進めつつ、それぞれの立場で解釈を深めていくことで組織文化がより深まっていくように思います」との水谷の投げかけに対し、五島氏は「会社と個人の目的が結びついた時に、関わる全員がより幸せになれると思うからこそ、難しい問題ですがしっかりやっていきたいと思います。人事制度や風土づくりはその延長線上にあり、ダイバーシティインクルージョンとしても一人ひとりを理解し、活躍のフィールドを整備することが大事であると思います」と答えました。

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2021.12.9 EVENT

ポストコロナの働き方と職場・チームのゆくえ 「心理的安全性」で日本企業の足腰を強化する『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day4』

 

 

 

★ゲストスピーカーの紹介★

早稲田大学准教授
村瀬 俊朗氏
Toshio Murase

1997年の高校卒業後、渡米。2011年にUniversity of Central Floridaから産業組織心理学の博士号を取得。Northwestern UniversityおよびGeorgia Institute of Technologyで博士研究員(ポスドク)として就労後、シカゴにあるRoosevelt Universityで教鞭を執る。2017年9月から現職。専門はリーダーシップとチームワーク研究。2019年から英治出版オンラインで「チームで新しい発想は生まれるか」を連載中。『恐れのない組織』(エイミー・C・エドモンドソン著、野津智子訳、2021年、英治出版)の解説者。 

 

 

いま、組織・チームにどのような変化が起こっているのか~組織文化の変革 イノベーションと心理的安全性

 

新しいものを生み出す際には“挑戦”が必要

まず、久保田がDX・社会の変化と求められる組織の在り方について、世界経済フォーラムやマッキンゼー、経済産業省のレポートから、「変化対応組織に求められるのは『チームレベルの文化の変革』であり、その鍵として『心理的安全性』の確保が挙げられている」ことを紹介しました。 

ここで久保田は村瀬氏に「そもそも『チーム』とは何か?いま起こっている変化をどのように捉えたらよいか?」と投げかけ、村瀬氏の講演に繋ぎました。 

村瀬氏はまず、「コロナ後の様々な変化に対応し、創造性や付加価値を発揮させイノベーションを起こすためには、組織・チームとして何を意識しどのように動けばいいのか、その観点における『心理的安全性』について話していきたい」と前置きしました。 

次に、現在の経済環境の不透明さに触れ、マッキンゼーのレポートなどから世界市場はさらに激化し不安定となり、主要事業のビジネスモデルを大きく変える必要性に言及。 

そこで、amazon創業者の「実験的挑戦は開発にとって必要悪であり、失敗と開発は表裏一体」といった言葉を紹介し、新しいものを生み出す際には“挑戦”が必要であり、即ち失敗を受け容れることの必要性を話しました。 

この流れで、一般的な改革がうまくいくのは30%以下で、DXによって改革に成功した企業は16%といった、イノベーションには失敗が付き物であることを示す調査結果に触れました。 

イノベーションは出合ったことのない組み合わせで起こる 

ここから、イノベーションに関する考察に入りました。「人間が課題解決を図る際、頭の中ではいろいろな情報を組み合わせています」と村瀬氏。この組み合わせがイノベーションの“種”となることを、トランクにキャスターを“組み合わせ”たことでスーツケースが発明された例を取り上げました。これで人は重い荷物を持って運ばなくても済むようになったのです。 

アイデア探索に求められる「高い頂を探索する」概念を説明した後、新幹線のパンタグラフにフクロウの羽根の端部の形状を取り入れることで、風切り音などの騒音を30%減少させた事例を紹介し、「このように、イノベーションとは出合ったことのない組み合わせを見つける模索の旅」と説明しました。 

次に、そうした発想をどのように行うかについて、「専門性の多様性」と「価値の実現力」という2軸の図で解説。出合ったことのない組み合わせの模索において、専門性の多様性が高度であればあるほど、価値の実現力としての失敗からメガヒットまでの振れ幅が大きいこと、逆に慣れ親しんだ情報の組み合わせでは、結果の予測がつき、成果物としては大成功にも大失敗にもならないゾーンに落ち着くことが説明されました。つまり、「イノベーションとは、我々が出合ったことのない組み合わせでしか起こすことはできず、それは膨大な失敗を伴うものである」と整理しました。 

“連携”による創造性の発揮

そこで、こうしたイノベーションを起こしていくうえでの「チーム」の重要性に話が移りました。複数の視点の衝突が思い込みを崩し新しい思想を獲得する糸口となることや、こうした組み合わせの幅が増えると失敗も増えるが成功度も高まること、個人よりチームのほうが複眼的に組み合わせの弱みを把握し失敗を防ぐことにも繋がることを指摘。チームワークこそが創造性の装置であることを説明し、チームの多様性が新規事業の収益性を高めたとのBCGのレポートにも触れました。 

ここで、「チームとは何か」を考察。「価値のある目標や目的を共有する運命共同体」「目標・目的達成のために、情報共有や作業連携が必須」「メンバーの業務は互いに依存する」「メンバーの役割が決まっている」という定義を説明しました。 

こうしたチームをうまく活用することで創造性を発揮させやすくなるものの、そこでは“連携”による創造性の発揮が困難になると言います。人には仲間と部外者を分ける心理的作用が働き、知らない人、知らない知識を持っている人とはうまく作業ができない習性があるからです。エンジニア部門とマーケティング部門の分断例が示されました。 

また、アイデアの価値は一目ではわかってもらえない“自前主義”の問題もあります。Twitter社で最初にハッシュタグを提案したエンジニアに対して「そんなもの使われない」と言われたケースや、アート作品の価値はよくわからないものという例が話されました。 

また、コーラと無名のドリンクの写真を並べ、どちらを選ぶかを問うとたいていがコーラを選ぶという、「馴染みやすさは心地よさ」という心理に触れ、「新しいものはよくわからず、馴染みのあるものに引っ張られて創造性がうまく働かない」というメカニズムについて解説しました。 

早稲田大学准教授 村瀬 俊朗氏

“多様な意見の表出”が重要 

そこが、チームをつくっても新しいものを生み出せない弊害になるとした上で、“連携”に代わる“多様な意見の表出”を通じた創造性の発揮の必要性について話しました。 

ここでようやく心理的安全性が登場。なぜならば、チームとしてイノベーションを起こすメカニズムから説明したほうが、心理的安全性についての理解が深まるからです。 

多様性のあるチームをつくっていろいろな意見が出されても、反発されたりするとスタックしてしまうものの、心理的安全性が担保されていることにより“多様な意見の表出”が行われ、イノベーションの創出に向かいやすくなるということです。 

ここで心理的安全性について解説。「学術界では20年以上前から発表されていた理論で、Googleのプロジェクトが取り上げたことからビジネス界で一気に広まったものです。Googleは「心理的安全性」が創造性を向上させる重要なメカニズムであることを明らかにしました。 

イノベーションに不可欠な“多様な意見”を言ったとしても、疑問視や冷笑されるといった雰囲気がないことが重要であり、そのことでチーム内に多様な観点が共有されることがイノベーションへの第一歩となるからです。

 

イノベーションのプロセスに必要な「安心感」と、「声を上げる」“技術” 

もう1点重要なこととして、「失敗と改善」について話しました。ユニリーバの粉末状の洗剤の製造工程で、原料の液体を噴出し熱風乾燥させる際のノズル穴が目詰まりしない形状を模索するのに、45世代のモデルと449回の失敗を重ねた例を挙げました。 

次に、心理的安全性を発見したエドモンドソン教授が、様々な失敗が起こる病院でデータを取ったことに触れました。病院での失敗は、患者の命に直結することから責任逃れのために隠ぺいに結び付きやすい。しかし組織で同様の失敗が続けて起こるのは、個人ではなく組織に問題がある。これが隠蔽されると組織として改善する機会が失われる。そこでエドモンドソン教授が病院の心理的安全性と事故の相関関係を調査すると、心理的安全性が高まると事故の報告件数が増え組織が共有することで事故の減少に繋がったことから、心理的安全性の重要性が立証できたわけです。 

「では、心理的安全性が担保されれば声を上げさえすればいいかと言えば、一概にそうとも言えません」と村瀬氏。実際の伝達や、心理的安全性の確保、良いチームワーク実行には“技術”が必要だからです。同じ「声を上げる」のでも、何を誰にどのように伝えるかで伝わり方は全く変わります。 

また、イノベーションを創造するプロセスでは感情のぶつかり合いも起こります。自分主体で考えることで他者を攻撃するようなことがあれば、心理的安全性は破壊されてしまいます。そこで、感情が高ぶった時は冷静に「相手の世界観が違う」と捉えたり、自らの感情が高ぶっていることの理由を振り返る“技術”が必要です。 

そこで重要となるのが、リーダーの責務。メンバーが知りたいチームのとってのゴールやミッションの重要性を伝え、外からはわからないイノベーション創出活動を守ることが求められます。 

チームワークは、システムとして行動⇒分析⇒学習⇒行動、のサイクルを回して行っていくもの、と整理して第1部の講演を終えました。

リーダーの責務 

ここで久保田は視聴者から質問を受け付けた後、村瀬氏に「心理的安全性は最近よく聞く言葉ですが、安易に使われ誤解されているケースもあるのでは?」と質問。村瀬氏は「心理的安全性はあくまでもシステムの一部。『何でも話せる組織をつくろう』ではなく、何のための組織であり、その目的を達成するためにいろいろな議論が行えることが重要であり、そのために心理的安全性が重要であるという理解が必要。心理的安全性を維持するのは簡単ではないので、そこがしっかり共有できていないと中途半端に終わる」と指摘しました。 

ここで、視聴者の「リーダーが手一杯の時にそれができる余地はあるのか?」との意見に対し、村瀬氏は「先のことを考える必要から、リーダーはその時間を捻出する努力が必要。プレイングマネージャーが仕事をメンバーに任せ切ることができず、時間が捻出できないケースが多い。時間をつくることはリーダーの重要な業務と認識すべき」と指摘しました。 

また「心理的安全性のほかに大切なことは?」との視聴者からの質問に、「メンバーの間にゴールや役割分担、優先順位が不明確で納得し切れていない場合が多くあります。ゴールに向かう上で、メンバーの意識が拡散的にならないようそこを明確にすることがリーダーの責務」と村瀬氏は回答しました。 

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2021.12.9 EVENT

マイクロソフトはいかにしてカルチャー改革を実現したか 新しい時代における組織・人材戦略を先駆者と共に考える『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day3』

環境変化が更に加速する2020年代。企業が直面する変化の第一は、テクノロジーの進化があります。そこで、このセッションではデジタル・テクノロジー企業の雄であるGAFAMのそれぞれの人事戦略から、人材を活かすマネジメントを掘り下げました。優秀な人材をいかに惹きつけて、育てているのかについての共通事項を考察。特に、マイクロソフト社の人材マネジメントについて、ゲストスピーカーによる同社の最新人事施策の紹介と考察から、これからの日系企業における人事戦略の方向性についての議論を行いました。

セッション動画はこちら

 

 

★ゲストスピーカーの紹介★

日本マイクロソフト株式会社 人事本部
HRコンサルティンググループ マネージャー
堀江 絢氏
June Horie

2009年家族と来日、専業主婦、大学職員、人材アセスメント会社のコンサルタントを経て、大手グローバルスポーツメーカーに転職、主に組織開発、人材育成とタレントマネジメントの業務を担当。2020年2月に日本マイクロソフトに入社、中途新入社員のオンボーディング、新卒社員研修、マネージャー能力開発などのプログラムをリードしながら、社員とマネージャーにコンサルティングとコーチングを提供する。

GAFAMのビジネスモデルと人事戦略


必要なスキルの変化

まず、水谷が企業におけるマクロ環境やデジタル化、サスティナビリティ、働き手におけるライフシフトやキャリア観の多様化、必要なスキルの変化といった環境変化を概観。「双方に大きな影響を与えているのは、デジタルの進化」と整理しました。

この流れで、2000年と2020年の時価総額ランキングを比較。2000年に1位であったゼネラル・エレクトリック(GE)は100位未満となり、GAFAMがベスト10に顔を揃えていることが紹介されました。GAFAMのビジネス内容を整理し、サービス領域は異なるものの、“プラットフォームビジネス”“生活に浸透”“ビッグデータ”という共通点があることが説明されました。

次に、視点を変えて働き手に求められるスキルに言及し、Day1でも紹介された「高度な認知スキル」「社会的・感情的スキル」「技術的スキル」の重要性を再確認。「デジタルスキルとともに、これら3スキルの需要が高まっています」と話しました。加えて、GAFAMにおけるリスキル投資を説明。Microsoftの失業者2,500万人への無料プログラム提供や、日本マイクロソフトにおける人材育成施策などが紹介されました。

GAFAM同士の学び

ここで、水谷は堀江氏に「マイクロソフト社における日本市場の位置づけは?」「GAFAM同士で学びあう、というケースはありますか?」と質問。

1つめについて、堀江氏は「Microsoftにとって日本は大きな戦略的マーケット」と前置きした上で、決算期である7月にオンライン行われた全社イベントのエピソードに触れ、「CFOのプレゼンテーションには何か所も日本マイクロソフトの名前が出てきて、そのパフォーマンスの高さが協調されました」と紹介しました。

2つめについては、Microsoftグローバルの全マネージャーに向けたトレーニングで、Googleによって広められた「心理的安全性」がテーマに取り上げられたことが話されました。

次に堀江氏は、GAFAMにORACLEを加えた6社のカルチャーの風刺画を示し、Microsoftは事業部門がサイロ化し、それぞれがピストルを向け合っている様を紹介。「昔のこういうカルチャーは良くないと認識し、カルチャーを変えてビジネスの成長に繋げてきました」と話しました。

出典:日本マイクロソフト株式会社

ここで水谷は、マイクロソフト社に注目する理由として「歴史がある」「苦難の克服」「(組織人事については)知られていない」と説明。堀江氏のプレゼンテーションに繋げました。