組織文化の変革と、そこで求められるリーダー像とは
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session4』

「ビジネス・ドライバー」に必要な「サクセス・プロフィール」
「こうした状況で、漫然と全方位で対応するのは難しく、注力すべき課題と伸ばすべきスキルの優先順位を考えましょうというのが我々の提案です」と、遠山氏は事業の目標と組織としての価値づくりといったビジネスの優先事項に向かうために乗り越えるべきリーダーシップの課題(ビジネス・ドライバー)は何で、その課題に対応してリーダーとして成功する要件(サクセス・プロフィール)を揃える必要性に言及。
続いて、主なビジネス・ドライバーの例として、“SHAPE THE FUTURE” “EXECUTE” “ELEVATE PERFORMANCE” “GROW THE BUISINESS”の4領域・計29項目を示しました。
「組織および戦略によって異なるリーダーとしての優先課題はどこにあり、それに対応できるどんな人材をどう揃えるのかを考えるためのツールです」と遠山氏はコメントし、ビジネス・ドライバーの事例を説明。

<ビジネス・ドライバー 例1>
これまで以上に、業界シェアの拡大やグローバルを含めた新たな市場への進出、類似または異なる事業への参入などをスピーディーに進める。資金的な裏付けは十分にある。
⇒企業再編や買収による成長が重要な柱
♦ビジネス・ドライバー:「新組織の結合」
♦求められるコンピテンシー:戦略的方向性の設定、変革リーダーシップ、チームリーダーシップ
<ビジネス・ドライバー 例2>
同業あるいは他業界において価値の高い豊富な資源を持つ有力企業との協力関係を築き、市場機会の創出やビジネス戦略の実行につなげる。
⇒一定の分野において外部とのアライアンスを進めるのが重要
♦ビジネス・ドライバー:「戦略的ビジネス提携の構築」
♦求められるコンピテンシー:起業家感覚、戦略的影響力、人脈の構築、ビジネス手腕
<ビジネス・ドライバー 例3>
これまでは、個別の大口の顧客数社との緊密な作り込みで安定的な売上を上げてきたが、利益が低迷。これからは、直近の市場動向を踏まえた対応、およびマーケットで何が起こるか、何が必要とされるか、10年先を見越して企業の利益を向上させる仕組み作りが必要。
⇒モノづくりのデジタライゼーションを推進し、ニーズの個別化にもスケールで対応する戦略
♦ビジネス・ドライバー:「高利益の事業成長の推進」
♦求められるコンピテンシー:起業家感覚、ビジネス手腕、財務感覚、業務運営上の意思決定
続いて、ビジネス・ドライバーによってリーダーシップと戦略をリンクさせ、戦略的優先事項⇒求められる組織文化⇒ビジネス・ドライバー⇒コンピテンシーという流れで整理する必要性を示しました。
次に、ビジネス・ドライバーに結び付くサクセス・プロフィールとして、何を知っているか(知識)、何ができるか(コンピテンシー)、どのような人か(個人特性)、何をしてきたか(経験)の4要件を提示。
「ビジネス戦略と人事施策の連動の一つのあり方」として、このビジネス・ドライバーとコンピテンシーは経営幹部、マネジャー、一般社員の各階層にも適用すべきと指摘します。また、サクセス・プロフィールの整理と診断が必要であることや、ビジネス・ドライバーに関するリーダーの準備度を明らかにする効用に触れ、プレゼンテーションを終えました。

最後に久保田は、遠山氏にHRDグループと30年間パートナーシップを組み、今後も協働していく理由を尋ねました。遠山氏は、「自社もアセスメントを持っていますが、お互いの持つツールの強みを補完し合えることが大きいと思います」と回答し、DiSCをはじめとするHRDグループのアセスメントツールの有効性に言及し、本セッションを終了しました。