「変化の激しい時代に一歩先の価値を提供し続ける組織であるために」そこでなぜDiSC®を導入したのか。
NECソリューションイノベータ東海支社の事例から考える

支社長が自ら率先して作った「取扱説明書」―DiSC®はあくまで楽しめるものに
こうして、浅川氏は、DiSCを東海支社全社員に導入する決断をします。DiSCの結果をひとつの共通言語にして、コミュニケーションを促進していく。それが管理職と現場の意思疎通につながればと考えたのです。
加えて、導入した2020年はコロナ禍で社員コミュニケーションも大きく減少していました。そのフォローアップとしての狙いもあったといいます。
東海支社で最初にDiSCアセスメントを行ったのは、浅川氏をはじめとする幹部クラスでした。そして、アセスメント結果をもとに自身で作成したプロフィール「東海支社幹部の取扱説明書」を支社内に公表。
取扱説明書といっても、堅苦しいものではありません。「DiSCスタイルから分析した私の特徴」や「私とよい関係を築くコツ」といった欄とともに、「マイブーム」や「欲しいモノ」など、DiSCとは関係ない自己紹介の要素も含まれています。
「取扱説明書をつくったのは、DiSCをあくまで楽しく、柔らかな取り組みにしたかったからです。DiSCのアセスメントはひとつの参考であり、コミュニケーションの糸口です。この結果が支社としての人物評価に関連することはありません。支社幹部が最初にくだけた内容の取扱説明書を公開することで、支社内にその方向性を示せればと考えました」
取扱説明書の冒頭に「マイブーム」などの仕事と関係しない項目が来ているのも、そんな気持ちの表れ。浅川氏は「結婚式でよく新郎新婦がこういったプロフィールを公開しますよね。そのイメージです」と笑顔を見せます。

続いて、2020年下期には、先行して各事業部から1部門ずつ「DiSC理解ワークショップ」を実施。さらに、DiSCを活用したマネジメント研修なども行い、組織づくりに生かす流れを作りました。2021年上期には、支社の全社員が「DiSC理解ワークショップ」を修了したといいます。
結果分析も行っており、支社全体で一番多かったのはCスタイル。この結果を組織力強化にどう活かしてしくか現在検討を進めている最中だということです。
DiSCスタイルをもとにした「取扱説明書」については、東海支社全社員分のデータをエクセルにまとめて、公開しているとのこと。浅川氏は「DiSCは絶対的なものではないので、その評価を否定するコメントを説明書に入れてもいいと思います。要は取扱説明書を通して社員同士の相互理解が深まることが狙いです」といいます。
具体的な効果を測定するのはこれからですが、「すでに社員コミュニケーションのきっかけになっている実感があります」と浅川氏。プロジェクトチームのキックオフ資料で自身のDiSCスタイルを伝えるケースもあれば、部門のメンバーがどのスタイルに属しているのか、ドット形式の分布図をつくってチームビルディングに生かすケースも出ています。こういった中で、最終的には管理職と現場の風通しが良くなっていくことを狙います。