「変化の激しい時代に一歩先の価値を提供し続ける組織であるために」そこでなぜDiSC®を導入したのか。
NECソリューションイノベータ東海支社の事例から考える

少子高齢化や地方の過疎化、自然災害の増加や近年のパンデミックなど、私たちは大きな社会課題に直面しています。この状況にどう対処すべきか、その解を持っている人は多くないでしょう。
それはシステムインテグレータの分野でも同様です。「与えられた仕様書に基づいてモノを作る時代は過ぎ、私たちからお客さまに提案する時代になっています。これからの企業は顧客の要望に応えるだけでなく、みずから打ち手を提案し、顧客の課題を見つけて改善することで価値を提供していく必要があります」こう話すのは、NECソリューションイノベータの東海支社長を務める浅川大和氏。とはいえ、自ら行動を変えていくのは容易ではありません。
そこで浅川氏が行ったのが、組織力強化に向けたコミュニケーション改革でした。東海支社の全社員約550名にDiSC®を導入。「DiSC理解ワークショップ」を全員が受講し、自身の「取扱説明書」を作るなど、大規模な施策を行いました。
なぜ組織に目をつけたのでしょうか。浅川氏にDiSC導入の狙いや成果を聞いていきます。
全国に拠点を持つNECソリューションイノベータは、NECのグループ会社としてソフトウェアやサービスを提供してきました。東海支社は、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県を主なエリアとしています。
その東海支社がDiSC®を導入したのは2020年のこと。決断の背景には、冒頭で記した課題意識がありました。浅川氏はこう説明します。
「IT業界全般にいえることですが、いままではお客さまのニーズが明確にあり、その要望に合わせて何かを作るのが一般的でした。しかし、これだけ未来が不確定な時代になると、お客さま自身も自社のサービスやシステムをどうすべきか、答えが見えない状況が増えています。結果、私たちは要望を聞いて作るだけでなく、お客さまのビジネスに対してアイデアを出すことが必要になってきました」
未来が不確定な時代。その象徴として浅川氏がたびたび口にしたのは、地方経済への憂いです。
「大都市への人口集約が進む中で、地方の経済は厳しい状況に立たされています。その中で、地域に根差した企業はどのような戦略を取っていくべきか、企業自身もその答えを探している状況といえるでしょう」
東海エリアは製造業の盛んな地域であり、全国的に見ればまだ状況は悪くないともいえます。しかし、浅川氏は「それでも以前に比べれば変化は加速しており、10年先、20年先はどうなるかわかりません」といいます。
「だからこそ、私たちも地方企業の一員として、お客さまにビジネスモデルやサービス改善の提案を行うなど、コンサル領域の業務が求められています。しかし、いままでこういったプロセスを踏んだ経験は少なく、なかなか実践できていないのが実情でした」
どうすれば顧客自身も気づいていない課題改善や付加価値についての提案ができる企業になるのか。ここで浅川氏が注力すべきと考えたのが「組織力強化」でした。とはいえ、組織の改善と上述の課題のつながりが判然としない面もあるでしょう。浅川氏には、このような考えがあったといいます。
「私たちからお客さま企業に提案する形は、いままでに経験のないものです。私を含め、経営層も管理職もノウハウがない。だからこそ、現場は積極的にアイデアを提案し、管理職もそれを吸収する。一体になって答えを考える組織にする必要があると思いました」
