HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

2021.12.9 EVENT

ポストコロナの働き方と職場・チームのゆくえ 「心理的安全性」で日本企業の足腰を強化する『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day4』

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事例から考察する


チームのパフォーマンスを高めるリーダー像

久保田は、本テーマに該当する事例として、HRDが支援している3社のケースを紹介しました。 

1社目は、メーカーのマーケティングチーム。内部昇格したリーダーが傑出したチームをつくるべく、メンバーが各担当に分かれチームとしての成果が体感しにくい環境の中、足し算でなく掛け算で成果を上げ個人のスキルも伸ばすことを目指しました。そこで、リーダーは全メンバーの前で率直にフィードバックを得る機会をつくり、リーダーがチーム強化と育成にコミット。信頼関係を強化した上で、何をして何をしないのかを全員で決定したという事例です。 

ここで久保田は、1つめの論点として「どのようなリーダーがチームのパフォーマンスを高めるのか?」を視聴者に問いかけました。いくつかの意見を紹介した上で、村瀬氏はその中の「Humble(謙虚)であること」という意見を取り上げ、「そういうリーダーは学習できるということであり、組織をどう変えていくかを考えられる傾向があります。また、“強いリーダー”だとそれまでの勝ちパターンにこだわってしまう場合がありますが、今の時代はいかに環境に適応するかが重要で、多くの人の声に謙虚に耳を傾けられることが求められます」と指摘しました。 

次に久保田は2つめの論点として、「日本企業において『チームを形成する』とはどのようなことを意味するのか?」を村瀬氏に問いかけました。村瀬氏は、「我々はどのように他者と関わっていくかといった技術的なことを教えられていないので、職場で起こっていることだけで自分のスキルを伸ばすのは限界があります。従来は一つの企業内で適応すればよかったものの、今では企業も個人もいろいろなところと協業してパフォーマンスを発揮することが求められます。したがって、どう模索していくかを含め、きちんと(チームビルディング技術の)教育を受けることが大切です」と答えました。 


「オフ・ザ・ピッチ」までケア 

2社目は、三重女子ラグビーチーム パールズ。ヘッドコーチの「スポーツチームの監督・コーチを務めるにあたって、『オン・ザ・ピッチ』と『オフ・ザ・ピッチ』の指導のバランスが重要です。人によって異なりますが、今までの経験上、優秀な指導者は、何らかの形で『オフ・ザ・ピッチ』までケアをしていますね」というコメントを紹介。プロスポーツ選手は、練習時間以外の過ごし方がプレーに影響を与えるので、そのケアも重要というわけです。 

そこで、久保田は「様々な働き方やバックグラウンドの人が集まり多様性が高まる組織において、『オフ・ザ・ピッチ』=職場外・仕事以外の介入がどれぐらい必要なのか」という論点を提示しました。 

これに対し、村瀬氏は「科学的な観点で考えると、人は無意識的に状況を予測して行動しています。協働する場合においては、毎回コミュニケーションすることなく相手の状況を予測して動くことが挙げられます。しかし、リモートワークのサーベイでは、以前よりもコミュニケーションを取っているのに誤解が生じることが多いという結果が見られます。つまり、他者が何をしているかの予測が立たないので、毎回コミュニケーションを取らざるを得なくなっているにもかかわらず不十分であることを示しています。そこで、『オフ・ザ・ピッチ』として、プライベートの部分にまで介入するというのではなく、協働における関連性の高い情報は共有しておくべきと言えます」と指摘しました。

 
クロスファンクショナルなプロジェクトチームの有効性 

3社目は、製薬企業の研究開発チーム。従来のピラミッド型組織では、ドクター資格を持つなど専門性の高いメンバーが多く連携が簡単ではありませんでした。現場への権限移譲を進め機動力の高い、イノベーティブな組織への移行を目指したものの、シニアマネジメント層が現場を信頼し切れず思うように権限移譲が進まないという課題がありました。この解決策として、部門横断的なプロジェクトチームを形成しチーム意識を醸成。部門ごとのメンバーをまとめ、創薬という共通目的に向かうためのリーダーを任命し、信頼に基づく組織マネジメントを促進すべく心理的安全性が欠かせないと判断した、という事例です。 

具体的には、開発部門内の心理的安全性を高めて創造的な組織を形成すべく、「信頼の欠如」⇒「衝突への恐怖」⇒「責任感の不足」⇒「説明責任の回避」⇒「結果への無関心」という構造を、「互いに信頼し正直になる」⇒「建設的な議論を歓迎する」⇒「相互意見が尊重され結果にコミットする」⇒「計画に対し各人が説明責任を負う」⇒「個人ではなくチームの成果を優先する」という構造に変えるというものです。そのために、客観的なコミュニケーションスタイル分析「DiSC®アセスメント」を共通言語として活用しました。 

ここで久保田は、「イノベーションとチーム形態の関係性として、スモールでフラットな組織にするとイノベーションが促進されるのか?」との論点を提示。 

村瀬氏は、「他部門とのコラボレーションを試みる機会は多くても、人の意識には限界があり、どうしても既存や直近の業務を優先してしまいます。そこで、心理的に『がんばろう』と向かわせるのではなく、部門を超えてイノベーション活動を促進する構造をつくり上げることが重要。人は構造に沿って動く面があるからです。クロスファンクショナルなプロジェクトチームは有効と言えます」と話しました。 

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