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2021.3.26 EVENT

DXにおける組織と人材を問い直す ~先進事例から考えるDXに必要な人材の特質と組織戦略~

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コツコツと常に変えていくというカルチャーを作る

韮原関口さんにご用意頂いた資料がまだあるので、そちらをご紹介ください。

関口先ほどと同じような話になりますが、弊社でとったアンケートの真ん中の段に、既存のビジネスを変えていく取り組みについて記載されています。取り組んでいる人も少ないですが、成功率が低く既存ビジネスの変革が苦手という結果がでています。

出典:株式会社ブレインパッド

日本の職種においてトランスフォーメーションの課題が非常に多いと思っています。いろいろなデータ活用などをやっていくと、アジャイルなどの言葉が先走ったので、とにかくやってみようとなりますが、「何がしたい」から始まって結果が出ても、「何がやりたかったのか」「何のためにやったのか」が意外と決まっていなくて頓挫するケースがあります。また、誰にやらせるかも大事な問題で、苦手なので手を出す人がいなかったり、上手くいきそうになるとその成果を取りに来る人がいたりと、人の問題は厄介です。

そしてこれはお伝えしたいことですが、最近経営陣の方々とお話しさせていただく中で本音だと思ったのは、「この過渡期にあぐらをかいてはならない」ということです。

例えば、飲食や旅行も今はGoToの効果である程度は何とかなっています。しかし、いつかは終わります。終わったときに本当にキツイ状況になるので、今のコロナ禍のうちにコスト構造や生産性を劇的に変えておかなければいけないが、それには正直時間がないと思っている、というのは経営陣の本音だと思います。

どうしてもDXというと0→1の人材が欲しいので新規事業のことを言いますが、新規事業の成功確率は低く、それで既存ビジネスをひっくり返すようなものを作れるかというと、そういうわけにもいきません。だから、既存ビジネスをいじりに行く優先度が圧倒的に高くなります。

新しいことをやることが大事となっていることと、本当に経営陣が思っていることのギャップがあると思います。そうすると先ほどの話に戻りますが、やはり欲しい人材は、0→1よりも10→100の事業の変革をする人間です。

出典:株式会社ブレインパッド

Center of Excellenceという言葉がエグゼクティブの集まりで聞かれますが、出来る人にやらせるということです。日本は、すぐに組織を作ってハコを作り、そのハコの中の人がミッションをやるとなっていますが、中には不得意な人もいます。よくお客さんの中にも「全然わからない」と言う人がいますが、なぜそんな人を選んだのかと思いますよね。もっとできる人はいるはずなので、まずはそれをやめたほうがいいと思います。

できる人がやることが勝ちパターンだとしたときに、例えばできる人が世界中に点在しているときはチーミングをした方がいいです。先日資生堂さんの話を聞きましたが、デジタル化の推進チームはアメリカが進んでいるからニューヨークに置くと日本のヘッドクォーターが決めたそうです。できる人にどうやらせるかという組織づくり、会社づくりというのは、チャレンジだと思いました。

韮原今のお話を聞いていて、また昔の資料を思い出しました。先ほどの人材の話ですが、ほとんどがオペレーション人材でイノベーション人材はごくわずかです。日本企業がミスしているのは、普通のオペレーション人材を既存事業で優秀だからという理由で、新規事業やデジタル系のところに配置していることです。そして開拓・変革人材を中で埋もれさせてしまっている、ということを8年前当時も言っていて、人材配置のミスマッチというのは今もあることだと思います。

資質や知識・スキルのポートフォリオで見たときに資質がある人を見出すことが重要だということも、当時から言っています。加えてそこに修羅場経験のようなものを積んでいくので、小結級、社内横綱が生まれます。

出典:経営戦略セミナー「確実な成長を牽引する人材マネジメント」公開資料より

プロファイルズ社やパートナー企業でも、このような可視化の仕方というのはここ数年で定着しています。2012年当時はあまり受け入れられませんでしたが、やはりデータを可視化するということが全産業的に根付いてきて、人材についても、それこそ8年前に話したことはどんどんリアライズしています。

関口今年は、修羅場という言葉をよく使いました。どのような修羅場経験を与える育成プログラムや育成パスを描くか、何をもって修羅場とするのかという定義が難しかったと思います。人材ポートフォリオは、人事のデータや評価データ、教育データをいくらひっくり返しても書けない、ということに早く気付いてほしいですね。

韮原AI企業と謳っている某SIerさんの人事DXについて、役員に話をしに行ってくれないかと言われましたが、まさに勤怠データや採用時のデータをひっくり返してAIを使えば何とかなるという考えで進んでいると聞きました。しかしそれでは絶対に失敗するので、むしろアセスメントや毎月1on1をやってその結果をログしていく方がよっぽど退職の引き止めにもなり、新しいデータを取らなければどうしようもない、ということを紙に書いて持って行こうとしたら、「これは役員には持って行けない」と言われてしまいました。やはり旗を振り始めてしまうと顔に泥を塗れないということになり、まだ何も始まっていないのに数年後には厳しいと見えている取り組みを大手のAI企業が何億円もかけてやっています。アセスメントで新しいデータを取ることや、エクセルで1on1のデータを取っていき、「今月は晴れ・くもり・雨の中でどういう気分だったか」というデータを集めて、晴ればかりの組織なのかくもりがちなのかというように、対話をもっとしましょう、記録を残しましょう、ということです。先ほどのリレーションシップビルダーの教育についても、とてもトラディショナルな営業教育です。私たちもそうですし、聞いていらっしゃる方々が持っているコンテンツを今風にカスタマイズすれば、十分に通用するものがたくさんあると思いました。

 

関口人事データのように年間の目標設定をして、年に一度や二度フィードバックをするデータというのは、バイアスがかかり過ぎているので、地味にファクトを積み上げていきそれを使うことが大事だと思います。人事のデータは主観性が高すぎて人によって物差しがバラバラですが、アセスメントは物差しができているので客観性がとても高いです。

韮原PXTの話がメインになってしまいましたが、やはり変革をする組織を作ったりし、あるいは組織改編をしていく中でのチームビルディングの中にDiSCを盛り込んだりすることも効果的です。関口さんのブレインパッドでも、新しく機能変更したマーケティング本部の中でDiSCを使っていただき、こういう性格だったのかとお互いに知り、チームのパフォーマンスが伸びていくということは、経験してらっしゃると思います。

【DiSC】 心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱されたDISC理論をベースに、1970年代に開発された自己分析ツール。職場で人がどのように自分を認識しどのように行動するかを「D主導」「i感化」「S安定」「C慎重」の4つの行動特性で測定する。著作権はWiley社所有。

【ProfileXT】 
人材が組織内の特定の職務にどれだけ効果的にフィットするかを測定するアセスメント。採用、選抜、育成、マネジメント、戦略的な人員配置に活用できる。著作権はWiley社所有。

では、最後にメッセージをお願いします。

関口DXでブームになりがちですが、コツコツと常に変えていくというカルチャーを作るだけだと思います。今はそれを怠ったので一気に外科手術をしなければならないという状態で、毎日セルフメンテナンスやセルフケアをすることを、企業の中に植え付けていかなければなりません。だからコーチの皆さんの役割はとても重要で、常に変革できる人材を1人でも2人でも出し続けるスキームづくりというのが、本当はDXを動かしていく本質だと思います。また何年か後には、おそらく日本に「なんとかトランスフォーメーション」がくるでしょう。そのときに備えて今やっておきましょう、ということだと思います。

韮原ありがとうございました。

イベント後のコメント

韮原本日はありがとうございました。いかがでしたか。

関口懐かしいなと思ったことがあった一方で、日本企業はこの課題が苦手で、結局10年も同じことをやっている、変えていく人材を作っていくことが企業体質として苦手な文化であると感じました。外の人間がやるだけではダメで、中の人間が自律的に変わることが大事だと改めて思いました。

デジタルトランスフォーメーションですが、人材マネジメントもデジタルトランスフォーメーションしたいですよね。そういう意味では、アセスメントの話もできて、もっと使っていきたいと思いました。データが取りやすい時代になりファクトが取りやすいので、やはり人材マネジメントがより科学的にサイエンスティックに進化していくというのは、もっと進んだらいいなと思います。そこは皆さんのお力を期待しております。

韮原なるほど。何か話し足りないことはありますか。

関口久しぶりに楽しませていただきました。私も、今はビジネスの現場で営業チームやコンサルタントチームを抱えていて、人事のコンサルティングをやっていない立場になり改めて思うことは、人材マネジメントは本当に難しいということです。良い人は世の中にたくさんいるでしょうが、今いる人材をどう活かすのか、スピーディーに変化している中でも活かし続けなければならないというのは大事だと思います。人の変化をどう促すかというのは本当に難しいことですが、難しいというのはできないという意味ではなく、やり方が分からないだけです。だからこそコーチの存在の重要性は増していると思います。皆さん本当に困っていると思いますので、私が事業会社にきて分かったことや苦しみを皆さんにお伝えする機会がありましたら、またお伝えしたいと思います。

韮原やはり日本企業の全体で起きている変化というのは、みんなに同一に来ているので、上司が部下に「やっておけ」と指示をするよりも、上司自身がその変化に対応して新しいチャレンジをしていかなければならなくて、チャレンジしている背中を部下に見せていかないと組織は動かないと思います。しかし、今まで通りの「デジタル化をやりたまえ」「AIをやりたまえ」という指示だと、動かないだろうと思います。

成功している会社のデジタルトランスフォーメーションを手伝ったときに、それをオーダーしたトップはDX以外にもプロジェクトを持っていて、全部でチャレンジをしていて、その弾の1つがDXという感じでした。やはりお手本を示すといいますか、そういうことを経団連規模の大経営者たちがやっていく必要があると思います。

関口まだ小さい会社ですが私も経営者という立場になり、どういう姿を見せるかが大事だと思っています。一番重要なことは、知らないことを素直に知らないと言えることです。そして、分からないけれども必要性があるからやってみる、このステップをカッコつけずにやることだと思います。いろいろな経営者の方と話すと、実は知識がなくて何のことを言っているのか分からないということがあります。しかし、恥ずかしくて分からないことを聞けません。今さら聞けないシリーズのようなものを、分かっていない経営者だけに教えてほしいというニーズはおそらくあると思います。

韮原:それはパンツを脱ぎましょう(笑)という話で、Googleのエリック・シュミットが数年前に退任しましたが、最後の頃には彼は、社内で「今のテクノロジーはもう分からない」と言っていたそうです。Googleの会長が、「今のテックは分からない」と恥ずかしげもなく言えることが大事だと思います。みんなパンツを脱ぎましょうという話ですね(笑)。

関口本当にそうだと思っていて、どんどん恥ずかしくなって脱げなくなってしまいますよね。今だったら脱げるのに、あと1年経つと本当に脱げなくなる、だから早めに脱ぎましょうという話です。

韮原そうですね(笑)。ありがとうございました。

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