HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論

HRD株式会社 - Human Resource Development

事例紹介
2022.2.9 事例紹介

「変化の激しい時代に一歩先の価値を提供し続ける組織であるために」そこでなぜDiSC®を導入したのか。
NECソリューションイノベータ東海支社の事例から考える

少子高齢化や地方の過疎化、自然災害の増加や近年のパンデミックなど、私たちは大きな社会課題に直面しています。この状況にどう対処すべきか、その解を持っている人は多くないでしょう。

それはシステムインテグレータの分野でも同様です。「与えられた仕様書に基づいてモノを作る時代は過ぎ、私たちからお客さまに提案する時代になっていますこれからの企業は顧客の要望に応えるだけでなく、みずから打ち手を提案し、顧客の課題を見つけて改善することで価値を提供していく必要があります」こう話すのは、NECソリューションイノベータの東海支社長を務める浅川大和氏。とはいえ、自ら行動を変えていくのは容易ではありません。 

そこで浅川氏が行ったのが、組織力強化に向けたコミュニケーション改革でした。東海支社の全社員約550名にDiSC®を導入。「DiSC理解ワークショップ」を全員が受講し、身の「取扱説明書」を作るなど、大規模な施策を行いました。 

なぜ組織に目をつけたのでしょうか。浅川氏にDiSC導入の狙いや成果を聞いていきます。

 

 

変化が常態化している時代だからこそ、組織を変える必要がある

全国に拠点を持つNECソリューションイノベータは、NECのグループ会社としてソフトウェアやサービスを提供してきました。東海支社は、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県を主なエリアとしています。

その東海支社がDiSC®を導入したのは2020年のこと。決断の背景には、冒頭で記した課題意識がありました。浅川氏はこう説明します。

「IT業界全般にいえることですが、いままではお客さまのニーズが明確にあり、その要望に合わせて何かを作るのが一般的でした。しかし、これだけ未来が不確定な時代になると、お客さま自身も自社のサービスやシステムをどうすべきか、答えが見えない状況が増えています。結果、私たちは要望を聞いて作るだけでなく、お客さまのビジネスに対してアイデアを出すことが必要になってきました」

未来が不確定な時代。その象徴として浅川氏がたびたび口にしたのは、地方経済への憂いです。

「大都市への人口集約が進む中で、地方の経済は厳しい状況に立たされています。その中で、地域に根差した企業はどのような戦略を取っていくべきか、企業自身もその答えを探している状況といえるでしょう」

東海エリアは製造業の盛んな地域であり、全国的に見ればまだ状況は悪くないともいえます。しかし、浅川氏は「それでも以前に比べれば変化は加速しており、10年先、20年先はどうなるかわかりません」といいます。

「だからこそ、私たちも地方企業の一員として、お客さまにビジネスモデルやサービス改善の提案を行うなど、コンサル領域の業務が求められています。しかし、いままでこういったプロセスを踏んだ経験は少なく、なかなか実践できていないのが実情でした」

どうすれば顧客自身も気づいていない課題改善や付加価値についての提案ができる企業になるのか。ここで浅川氏が注力すべきと考えたのが「組織力強化」でした。とはいえ、組織の改善と上述の課題のつながりが判然としない面もあるでしょう。浅川氏には、このような考えがあったといいます。

「私たちからお客さま企業に提案する形は、いままでに経験のないものです。私を含め、経営層も管理職もノウハウがない。だからこそ、現場は積極的にアイデアを提案し、管理職もそれを吸収する。一体になって答えを考える組織にする必要があると思いました」

支社全体の組織力強化のために、支社幹部から取り組みをスタートし、短期間での共通言語化を図った

 

2022.1.25 事例紹介

「5年で日本一」を目指し誕生した女子ラグビーチーム「PEARLS(パールズ)」
ラグビー界の名将はDiSC®も取り入れる

Mie Women’s Rugby Football Club PEARLSゼネラルマネージャー
三重県ラグビー協会強化委員長 齋藤久 氏  
 

DiSC®の活用はスポーツチームでも進んでいます。そのひとつが、三重県四日市市にある女子ラグビーチーム「PEARLS(パールズ)」です。

パールズは2016年に誕生したチーム。立ち上げからGM(ゼネラルマネージャー)を務める齋藤久氏は、高校ラグビー界の“名将”。長年にわたり三重県で高校教員を務め、ラグビー部監督として2つの強豪校を作り上げました。

そしてパールズの創設にあたり、高校教員とGMという「二足のわらじ」で新たな挑戦をスタート。2020年からは高校教員を辞め、GM一本で奮闘しています。

そのパールズでDiSCを導入したのは、創設から5年経った2021年。どんな狙いがあったのでしょうか。齋藤氏とパールズの歩みや、同氏の考えるチーム論・指導論を交えながら、パールズでのDiSC導入について紹介します。

 

 

最初から「プロチーム」を構想。5年で100社以上の企業から支援

齋藤氏がラグビー監督としてのキャリアをスタートさせたのは、1992年から2016年まで勤務した、三重県の朝明高校時代。当時25歳の彼は、ラグビー部のなかった同校でラグビー同好会を立ち上げ、部へと昇格。以降、大阪・花園で開催される全国大会にチームを6度導きました。

2016年に赴任した四日市工業高校では、翌2017年から3年連続で県大会準優勝の結果を残すなど、こちらでも確かな実績を作りました。

そんな彼に、女子ラグビーチーム「パールズ」創設の話が舞い込んだのは2016年。ちょうど四日市工に移ったタイミングでした。パールズは、5年後の2021年に予定されていた三重国体での優勝を目標に結成。三重県ラグビー協会の強化委員長も務めていた齋藤氏に白羽の矢が立ちました。

この話に、高校教員を続けながら新チームのGMに就任することを決断。前例のない兼業でのチャレンジをスタートしました。そして就任当時、パールズのチームづくりに明確なプランを持っていたといいます。

「5年後の三重国体で日本一を取るためにどんなチームづくりをすればいいか、ゴールから逆算してプランを立てました。そこで考えたのは、アマチュアなチーム経営では5年での日本一は難しいということ。最初からプロチームを作ろうと決意し、スポンサー探しを始めたのです」(齋藤氏、以下同)

企業スポンサーの協力を得て、一定の資金でチーム運営を行う。同時にチームのブランドを上げ、地域からの認知や支援を獲得する。こういったプロチームの経営をしなければ、質の高い選手と指導者は集まらない。そう考えて、教員の仕事のかたわら、協賛を募ることに奔走しました。

とはいえ、女子ラグビーは発展途上の分野。理解を得るのは簡単ではなかったでしょう。地道に企業を訪問する日々が始まりました

「最初は、朝明高校時代に後援会を務めていただいた企業の方などにお話しするところからスタートしましたね。『男子のラグビーも素晴らしいですが、これからは女子ラグビーという未開拓の領域に挑みたいと思います。どうか力になってください』と。学校の先生から営業マンになったわけではなく、高校ラグビーでお世話になった方々に、いままでの延長でお話しするような気持ちでした」

その結果、パールズは5年かけて100社を超える企業と、地元自治体の支援を集めるまでに。オフィシャルスポンサーには、地元の有力企業が名を連ねます。

もちろん、齋藤氏一人の力ではありません。パールズに関わるすべての人の活動が実を結び、支援の輪が拡大したのでしょう。

所属する日本人選手は、地元企業の雇用支援を受けて就職。給料をもらいながら活動しています。そして、外国人選手と監督やコーチはプロ契約を結んでいます。「いまはまだセミプロのチーム」と表現しますが、当初の構想に近いチーム体制が実現しています。

地元・四日市の駅や商店街には、パールズの広告や横断幕も。創設5年で地域の顔になりつつあります。チームの成績も右肩上がりで、毎年2〜3月に行われる全国女子ラグビー選手権では、初年度から3年連続で準優勝。2021年には、コロナ禍で変則的な大会形式ではありましたが、念願の優勝を果たしました。

近鉄四日市の広告 。地元企業や行政、学校と連携した一大事業として展開されている

目標だった三重国体は、コロナによって中止の憂き目に。しかしチームは活動を継続し、今後ますますの成長を目指しています。

「パールズだけでなく、他のチームが強くなることも大切です。それが女子ラグビー全体の盛り上げにつながりますから。そういった意味で、他チームを巻き込んだ取り組みも行っていきたいですね」

2021.6.1 事例紹介

組織開発とタレントマネジメントに活用するDiSC
内製で素早く組織作りの基盤をつくる、成長企業の事例
株式会社Speee様/株式会社ビズリーチ様

HRDグループが主催するアセスメントフォーラムオンライン2020「ReStart」。今回のテーマは「組織開発とタレントマネジメントに活用するDiSC」です。株式会社Speeeの坂本様と株式会社ビズリーチの鈴木様をお招きしてお話を伺います。事業環境の変化スピードがますます速くなる時代に、いかにスピーディーに組織づくりをしていくかということは、大きな課題です。様々なバックグラウンドを持って集まった従業員の間に、いかに短期間でコミュニケーションの共通言語を築き、カルチャーを強化するか。時代の流れをつかみ、成長著しい両社の勢いをそのまま感じることのできる対談となりました。HRDグループの久保田がモデレーターを務めました。

 

☆ゲストスピーカーのご紹介☆

坂本 明美 氏 

株式会社Speee 人事部 部長

新卒でリンクアンドモチベーション入社。クライアント企業のコンサルティング営業に5年従事。2009年株式会社Speee入社。人事全般の立ち上げに従事。現在は全社の組織開発を担当。

 

鈴木 翔 氏 

株式会社ビズリーチ

HRMOS事業部 プロダクト企画部プロダクトマーケティングマネージャー

ソフトバンク株式会社、ワークデイ株式会社を経て、株式会社ビズリーチに入社。人事企画、組織開発、HRIS(人事管理システム)のマネージャーをつとめた後、HRMOS事業部にてプロダクトマーケティングマネージャーを務める。

組織の成長とトップの一言~内製化での導入・浸透フェーズ(株式会社Speee様)

久保田:DiSCアセスメントをコミュニケーションの共通言語として使い、組織文化をつくっていくプロセスを、導入・浸透・活用の三つのステップでお届けします。導入というのは、DiSCとは何かを知って、自分と他者との違いや自分自身は何が欲しいのかを知ることです。浸透のフェーズでは、全メンバーが共通認識を持つようになります。そして活用フェーズでは、ビジネスシーンでの活用を深く知り、行動変容、関係性の変化、成果につなげていきます。それぞれステージが違う2社に事例共有いただきます。

まずは導入から浸透に入るフェーズについて、Speee社の事例を発表いただきます。坂本さんお願いいたします。

出典:株式会社Speee
 
 
 坂本株式会社Speeeで組織開発の責任者をしている坂本明美です。弊社は、7月にJASDAQに上場させていただき、従業員は400名を超えてきている会社です。BtoB、BtoC、MarTechセグメント、X-Techセグメント、デジタルトランスフォーメーション等、9つの事業を幅広く展開しております。400名規模のIT企業の中でも、業種が9つ、新規事業が3つありますので、エンジニアから営業まで非常に職種が多く、今は多岐にわたるスキルセットやスタイルを求めているフェーズです。昔、50~60人くらいの頃にDiSCを実施した際は、Dとiのスタイルの人で8割程度を占めていたと思いますが、今は非常に多様なスタイルが増えてきていて、つくり上げてきたものをどう耕して定着させ深めていくか、そんなフェーズに入ってきているのはDiSCスタイル上からも実感しています。
 

DiSCとは付き合いが長く、以前は、外部講師に来ていただき研修を実施するスタイルでした。毎月やっていたわけではないので、全員の共有言語になりきれないところが反省点としてありました。そして組織が成長し、職種や人も増えて多様化してきた中で、DiSCを軸にそれぞれのスタイルを活かし合う人材育成、組織開発をしていきたいと内製化を進めました。社内にファシリテーターがいることで、「来週このチームで1つやろう」あるいは「DiSCを中心としたペアワークをやろう」など組織内でフレキシブルに取り組めていることができるようになりました。

久保田:DiSCを導入する上で代表の大塚さんはどのように思われていますか。

坂本:1年前、弊社メンバーがDiSC認定ファシリテーター資格を取得するきっかけとなったのは、代表の大塚から久しぶりにDiSCを受けさせたいとチャットで言われたことでした。その際、社内に資格保持者がおらず、DiSCを実施することができなかったのですが、代表がそのタイミングでふと「やろう」と言ったことが再び取り組むことになったきっかけとなりました。他の様々なツールと比較検討しましたが、DiSCはわかりやすく、一度学べば浸透しやすいなど、もっとも優れた点が多く、導入に迷いはありませんでした。

普段一緒に働く部署単位でのワークショップ(株式会社Speee様)

坂本:浸透は現在進行形で、働く仲間とお互いのスタイルを知っておくことが大事なので、各事業・職場単位で、約3時間のDiSCワークショップを開催しています。

出典:株式会社Speee

鈴木:ワークショップでは、意図的に上司部下を組み合わせるのでしょうか。

坂本:グループ構成はスタイル毎ですので、同じグループに新卒と部長や課長がいることもあります。普段から職場の風土として、発言するときには「誰に言うか」より「何をテーマに言うか」を大事にしていますので、組み合わせやチーム分けについてはあまり気にしません。

久保田:ビズリーチさんとアプローチが違うので、面白いことだと思います。その辺りは後ほどお話しいただきます。

坂本:新卒に関しては、担当するメンターとのペアワークを実施します。今年の新卒は、コロナ禍の状況もあり、より手厚くオンボーディングをやりたいと思っていました。ワークプレイスプロファイル、つまり本人のDiSCの結果について詳細にまとめたものを、新卒と最初に業務を教える一番密な人であるメンターと交換し合って、ペアワークで互いの特性の理解を図るものです。

メンターは、熟練の上長というよりは2~5つ上の先輩であることが多く、互いの特性を知る上では、かなりスムーズに初期段階のオンボーディングができたと思います。新卒はまだ一人も辞めていないので、現段階ではオンボーディングはだいぶ効いており、そこでDiSCには非常に頼りになっています。内製で、18名程度で3時間の効果的なDiSCグループ研修を行うためには、どうしたらよいかを考えながら設計しています。

鈴木:なぜ3時間なのでしょうか。

坂本:一般的に外部にお願いすると1日から1日半の研修になりますが、内製だと短時間でも実施できます。3時間という理由は2つあり、1つは午前の3時間、午後の3時間というようにフレキシブルに時間を確保しやすいので、現場の合意を取りやすいことです。私は子供がいて時短勤務でもあるので、その時間内に研修ができるよう設計していることもあります。もう1つは、事前に回答して手に入れたレポートを読み込んで考えてから研修に臨む従業員も多いので、かなりショートカットして効率的に取り組めるから、という理由です。その点は、協力して取り組んでくれている従業員に感謝したいと思います。

出典:株式会社Speee

久保田:坂本さん、導入までの経緯や詳細の共有、ありがとうございました。まず導入して、それから浸透させる、でもそれは、DiSCをやること自体が目的ではなく、組織をつくることがゴールにあり、その先何のためにやっているのか、ということが重要です。ここからは、実際に実践されているビズリーチさんにお話をお願いします。

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2021.5.18 事例紹介

いま、人材育成・研修のプロフェッショナルに求められること
求められるのは「地方局のラジオパーソナリティのスキル!?」
オンライン研修に対応するプロフェッショナル3社による知見共有
株式会社健育社様/株式会社ウィルコネクト様/株式会社メンター・クラフト様

HRDグループが主催するアセスメントフォーラムオンライン2020の中で、具体的なアクションを伴った再出発を考える「ReStart」。今回は「いま、人材育成・研修のプロフェッショナルに求められること」というテーマでお届けします。2020年は企業の人材育成も、COVID-19の影響を大きく受けました。研修の場所が教室からオンラインに変わっただけでなく、学びそのもののあり方も大きく変化しています。そこでこの度、人材育成のサービスを提供するプロフェッショナルの立場である3社によるパネルディスカッション方式で、その最前線を共有していただきました。モデレーターはHRDグループの久保田です。

 

 

☆ゲストスピーカーのご紹介☆
 
河野 貴史 氏

株式会社メンター・クラフト
常務執行役員

川崎製鉄(現JFEスチール)で新素材の材料設計・製造プロセスの研究開発に従事。同社在籍中にMBA(Bond University, Australia)取得。現在は、管理職から中堅社員クラスへのマネジメント研修をはじめとして、 ロジカルシンキング、コーチング等幅広く研修を担当。特に技術・研究者向けにイノベーションを起こしやすくするロジカルイノベーションや、コミュニケーション技術、また技術者のためのロジカルプレゼンテーション、エクセルを活用したビジネス統計分析等。

 
今 聴夫 氏

株式会社ウィルコネクト 代表取締役

株式会社リクルートにてデジタルコンテンツ配信プラットフォームの開発、オンラインゲーム会社の設立、新規事業開発部マネジャーとして情報誌のオンライン化の責任者として従事。2008年より株式会社ネクスト(現株式会社LIFULL )にて経営企画部長、人事部長に従事し、新規事業戦略の策定、人事制度改革や社内大学の立ち上げを行う。2012年、株式会社ウィルコネクトを設立し、企業研修の企画運営、研修プログラムのオンライン化の支援、経営・人事コンサルに従事。米国CTI認定プロフェッショナルコーチ。

 
畑川 郁江 氏

株式会社健育社 代表

外資系製薬会社学術部⾨、マーケティング部⾨勤務の後、2006年9⽉株式会社健育社を設⽴、医療⽤医薬品に関連する雑誌・記事・論⽂、製薬企業の資材原稿作成業務に従事。オンラインによる情報提供活動のニーズから、オンラインMRのためのコミュニケーション研修を開始。アナウンサーと共同で「声を届ける」発声の基礎から、オンライン情報提供の組み⽴て⽅、対話スキルなどを提供。

 

コロナ禍によって人材育成の現場に起こった変化と新しい研修様式(メンタークラフト様)
 

久保田:リモートワークやデジタルトランスフォーメーションが浸透していく中、密を避けるあまりに人との心理的距離まで遠ざけてしまうのは、本来のあるべき姿ではありません。より良い成果創出のために、人事や人材育成のプロフェッショナルとしてどのように支援できるのか、今は立ち止まる時ではなく、それを考えるタイミングだと思います。まずは、新型コロナによって集合研修を選択できなくなった人材育成の現場で何が起こったのか、そしてその状況に対応する新しい研修様式について、まずはメンター・クラフトの河野様にお話をいただきます。

 
 

河野:メンター・クラフトの河野です。よろしくお願いいたします。まずは、新型コロナ発生以降の経緯をご説明します。2020年の1月頃から新型コロナが流行し始め、4月以降になると集合研修はほとんどなくなってしまいました。その後、夏前からオンライン研修が増え始め、オンライン研修の比率が全体の8割を占めるようになりました。オンラインでの研修に取り組み始めた当初は、知識も設備もなくノウハウも蓄積されていなかったので、どうすればいいのかわからず非常に戸惑いました。何もないところで自分たちはどうするのか、お客様にどう対応するのかと非常に悩みましたが、「とりあえずやってみよう」とエンジンをかけたのが2020年3月、4月の頃のことです。

オンライン研修でも集合研修でも、最終的な狙いはどちらも同じです。お客様の経営、人事、ご担当者が考えられている「組織や人材がこのようになってほしい」という目的がありますし、受講者自身が「このスキルを身につけたい。もう一歩成長したい」という思いがあります。それに対して私たちがどのようにして応えられるか、そこが非常に大事なところです。

私たちが大事にしているのは、学びに対してワクワクドキドキすることです。「もっと学びたい、もっとこれを出来るようになりたい」と意欲的に取り組んでいただけるよう、研修を設計しています。具体的には、講師から伝える部分(インプット)を3割、みなさんでディスカッションをして気づきを導き出す部分(アウトプット)を7割としていますが、それをオンライン研修でどのように実現するのか、明確な答えはないながらも、お客様と共に考えながら実行していきました。

出典:株式会社メンタークラフト
オンライン研修で重要な「ディレクター」という存在

河野:オンライン研修で非常に重要なのは、受講者のサポートです。初めて受講する方は「このオンラインソフトはどう使うのか」「どのような機能があり、どのようなことが起こるのか」「普通にログインしてただ受けていればそれでいいのか」と心配する場合があり、そのソフト自体のトレーニングの必要があります。研修の当日にトレーニングすることもありますし、事前にお客様のほうでトレーニングしていただく場合もあります。事前にお客様やエージェントさんと打ち合わせをして設備や状況などの環境整備をしてから入ります。

オンライン研修では、現場対応も重要です。集合研修の場合は、現場で何かが起こったときにも講師が見ているので、その場で受講者と話をしたり事務局と連絡を取り合ったりして対応することができます。しかしオンラインでは、直接対応することはできません。そのために必要なことはいろいろありますが、まずは「ディレクター」の存在が重要になります。例えばZoomで研修を実施しているときに、「画像が映らない」「音声が途切れた」「画像が止まった」「Zoomの部屋から追い出されてしまった」などのトラブルが発生します。それに対して、迅速かつ冷静に対応できる人が必要です。その人は研修内容を知っている必要があり、講師がやりたいことの意図もわかる、そしてオンラインソフトがどのような仕組みで動いていて、どのトラブルのときに何をすればいいのかをきちんと理解しているなど、とても高いスキルが求められます。このようなディレクターは、あらゆる運営システムにおいて欠かせません。

久保田:実際に、ディレクターはどれくらい確保できていますか。

河野:基本的には弊社の中で確保するようにしています。お客様によっては、自社の中にディレクターがいるからやらせてほしいという場合もありますし、エージェントさんにサポートをしていただく場合もありますが、比率で言うと、弊社側で対応するケースが多くなっています。講師の意図をしっかり理解し、スピーディに対応する必要があるので、仮に外部の方がされるとしても、事前にしっかり打ち合わせをしないと意思疎通が難しいと思います。

初期の頃は「必要なものをそろえてとにかくやる」という状況でした。オンライン研修に必要なのはパソコン、ソフト、通信回線です。オンラインでもライブ感を出したいと思っています。テレビのように一方通行ではなく、相手の反応を見てこちらも発信を変えたいので、ホワイトボードの実物を自分の後ろに置いて、書きながら受講者に話しかけたり、場合によってはパワーポイントの上やオンラインホワイトボードに書いてみなさんから意見を募ったり、とにかく行ったり来たりを行います。

オンライン研修と集合研修では、どちらを選ぶべきか悩むお客様もいらっしゃいます。迷われたときには判定表を使い、どちらを選ぶか判定していただくようにしています。この判定表は弊社のホームページに載っています。これをたどっていくと、必要な条件や備品、キーワードも出てきますので、ぜひ参照していただければと思います。

出典:株式会社メンタークラフト

オンライン研修の場合、インタラクティブな時間が必要である一方で、参加者の表情が読み取りづらいため、講師側のファシリテーションスキルに加え、プログラム自体も変更する必要があります。理解を深めるために、基本的に時間をかけて行う必要があり、集合研修と比べて2割ほど中身を減らすのがベターです。また研修当日も丁寧にインストラクションをして、相手からの反応を受け止めて、それにリアクションをすること、そして突発トラブルにも落ち着いて対応することが大事です。

久保田:河野さん、ありがとうございました。では次に、バーチャルでの人材育成のメリットとデメリット、さらには今後の人材育成のあり方について、今さんからよろしくお願いいたします。

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2021.4.27 事例紹介

バーチャルワークプレイスにおけるEverything DiSC®による組織文化形成/GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社様

HRDグループが主催するアセスメントフォーラムオンライン2020「ReStart」。今回のテーマは「バーチャルワークプレイスにおけるEverything DiSC®による組織文化形成」です。急激に職場がバーチャル化する今、組織とそこで働く人の関係性も大きく変化しています。GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社の田中様に、新型コロナの前から先行してリモートワークを推進し、イノベーティブな組織カルチャーの醸成に取り組むなかで、Everything DiSCを有効活用している事例を共有していただきました。モデレーターはHRDグループの久保田が務めました。

 

 

☆ゲストスピーカーの紹介☆
 
 
 田中 里子 氏 
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
HR戦略室室長 兼 CCO室室長
 
ITベンチャー(エンジニア/人材開発/ マネジメント)、インフラ業界(企画開発/人事)を経て、2015年にGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社に入社。現在はHR戦略室および、「CCO(Chief Culture Officer)室」で、CCOやメンバーと共にグループ横断の組織文化を創り、醸成していくことを目指す社内プロジェクトに従事。
 
 
事業からではなく、文化・カルチャーから変えていく

田中:私どもGMOグローバルサイン・ホールディングスは、コトをITで変えていくというミッションのもと、今課題になっている電子印鑑をはじめ、セキュリティ、クラウドインフラなどのサービスやソリューションを提供しています。元々はGMOクラウドという社名でしたが、年(2020年)9月に社名変更をしました。ホールディングスという社名からもお分かりかと思いますが、私どものグループ会社は何社かグローバルにございまして、そこで今、カルチャー変革に関する取り組みを行っています。

私は、普段はいわゆる人事の仕事と、CCO室で室長をしております。CCOというのは、チーフカルチャーオフィサーです。CCOやメンバーと共にカルチャー形成に取り組んでいます。組織文化は、意図せずとも自然にできていくものです。時代、事業、環境の変化に柔軟に対応していけるように、そして、なくてはならない会社として存続させていくために、事業からではなく、文化・カルチャーから変えていこうという取り組みを行っています。

本日はカルチャー変革への道のり、組織マネジメントにEverything DiSCを実際どのように使っているかを、3つのパート、つまり、カルチャー変革の取り組み、具体的な使いどころ、今後の取り組み、に分けてお話をしたいと思います。

まず、カルチャー変革の取り組みについてお話しいたします。

プロジェクトチームを立ち上げたのは2019年。今年で2年目、2021年が最終年となります。実際には、最初から「カルチャーを変えよう」とやっていたわけではありません。人事や事業の課題に取り組むなかで、人事主導で進めるのではなく、会社全体でカルチャー変革という名のもとで進めた方が良いのではという話に至り、どんどん巻き込んで大きくなった結果、準備の2年間も含めて全体で5年間におよぶプロジェクトとなりました。

私たちが目指すのは、2022年までに従来の企業文化から新しい企業文化に変えていこうというものです。文化というのはなかなかつかみにくく、見える化しづらいところがありますが、7Sという、元々はマッキンゼーのフレームワークを使い組織のカルチャーを共通言語化しています。さらに企業文化におけるパートナー、すなわち社員が新しい組織文化のなかでどうあってほしいか、新たなパートナー像を定義しています。

7Sのフレームワークを使った実際の定義を一部ご紹介します。

まず価値観ですが、私たちがいちばん大切にしているミッションやビジョン、バリュー、コトをITで変えていく、ビジョンはone&1st、バリューはワクワク、という言葉を掲げています。組織構造については、ここがDiSCの使いどころなのでキーワードにもなりますが、上下関係を伴う階層がない組織ということを、はっきりとうたっています。マネジメントがなくなるとは決して思っていませんが、マネジメントだけをする管理職はなくしていく構造です。ピープルマネジメントは、できるだけセルフマネジメントや仕組みに置き換えることを考えています。社風・スタイルは、価値観や理念を共有するパートナーの多様性を相互に受け入れていく、このようなカルチャーの全体像となっています。

出典:GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社

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