HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

2022.4.22 EVENT

個のキャリア自律が組織の未来を創りだす
–海外駐在員のキャリア開発から学ぶ人材マネジメントのこれから–
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session2』

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<後編>
コンフォートゾーンに安住している日本の弱み

       グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 代表取締役 福田 聡子氏

次に、福田氏がプレゼンテーションを行いました。

まず、IMDによる国別の競争力ランキングを取り上げ、2021年度は日本が31位と過去最低レベルにあることに言及した上で、本題に入りました。
福田氏は、年初での多くのクライアントとのやり取りの中で、経営者の年頭の訓示に最も頻出したキーワードが
自律」であると紹介。「自社を創業した20年以上前から、日本を含めたグローバルで活躍するのに不可欠のキーワードが『自律』であると捉えてきました」と言います。

       出典:グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社

現在は“VUCA”の時代であること、ジョブ型の雇用環境による個別化、“100年ライフ”による就労期間の長期化といった変化の中にこそチャンスがあり、“自律”はそれを自ら取りに行くものとしても重要であると指摘。その中で、「経営者などからは、個人はジョブ型としての働き方の中で、主体的に世界中の多様な価値観を持つ専門家のもとに行き、ネットワークを構築して新たなビジネスを探すといったことが期待されていると思います」と話します。

しかしながら、現在の日本企業においては、メンバーシップ型により同じ価値観を共有するコンフォートゾーンに安住している傾向を挙げ、「(高度成長期の)以前は強みであったところが、変化の時代は弱みと化し、それがIMDのランキングにも表れていると思います」と指摘します。
この要因はステレオタイプの採用や日本的雇用慣行にあるとして、このことによって個人として現状を打破していく動きに繋がっていかないと言及。これを前提とし、「自立を促すための3つの可視化」に触れました。

その1つめは「現実の可視化」。現状の把握と、自分なりの未来予測です。2つめは「自分自身の可視化」。
3つめは「社員の可視化」で、2つめと3つめの中で、PXTを活用する機会があります。「これらの背景には、『100年ライフ』があります」と福田氏。健康寿命が延び、定年延長が行われ、「若い」「老い」の概念が変わりキャリアパスのバリエーションが増加。40歳は折り返し地点となり、アンラーニングとリスキリングが求められていると指摘します。

      出典:グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社

ここで福田氏は、スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱する、「キャリアは100%意のままにコントロールできない。8割は偶然の出来事によって決まる」という計画的偶発性理論を紹介。この理論は、自らが良い偶然の出来事を引き寄せるように働きかけ、積極的にキャリア形成の機会を創出するところに意義があると説明しました。

このように、人生で良い偶然を起こしていくために必要な思考・行動特性を、福田氏は“gALf”(ガルフ)および“パーソナル・グローバリゼーション”というフレームワークによって提供していることを紹介。
メガバンクで400名の社員が参加するなど、好評の声が寄せられていることに触れました。

       出典:グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社

最後に福田氏は、X社の事例として、70歳が定年となった時代における50代社員の自立をテーマに、チャレンジ制度の年齢撤廃やリスキリングプログラムメニューの拡充といった新人事制度が導入され、PXTを用いたキャリア研修の実施により、キャリア形成の個別化を支えている旨を報告。「これまで周囲のことを考えるばかりで自分がどうしたいかを考えたことがなかったという人に、戦略的に考える機会を提供できました」と成果を語りました。

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“Like”より“Able”

ここで福島は、 “gALf”の頭文字である“Grid”(やり抜く力)、“Able”(できること)、“Like”(好きなこと)、“foresight”(先見性)において、これまでは“Like”を仕事にすることが大事との考え方があったものの、それより“Able”のほうを重視すべきと聞いたことが「目から鱗が落ちる思いがしました」とコメントし、福田氏に説明を求めました。

福田氏は、「好きなことを仕事にして成功している人は少ないのが現状で、それよりも目の前のことをしっかりできるようにして、周囲から認められ、自信となり、好きになってパッション化していくというキャリアを描いている人が多くいます。変化の時代、なりたい像がわかりにくくなっている中、自身を把握しながらそのようにキャリアパスを回していくという考え方が有効と思います」と回答。「できることを増やし、偶発的なことを必然的なものにすることで、チャンスが訪れるということ」と福島は応じました。

この話を受け、武井氏は「自社も“gALf”を導入し、現状の自分の行動特性と、過去の業績や評価を振り返って、“できる”ことをベースにありたい自分に結び付けることを行い、各自が意義を感じていました」とコメントしました。

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「自己の相対化」はキャリア観を醸成する

次に福島は、前日のセッション でトランスコスモスの田渕氏がPXTで自らを理解しリーダーとして変化し成長できたとの発表を例に、人が変化し成長していくには自己理解が重要である理由について両名に問いました。

武井氏は、「ありたい自分を考える時に、自分が何者なのか、どういう行動特性があるのかといった理解がなければうわべだけの願望となり、ありたい姿に向けての行動が続かないと感じます」と回答。

福田氏は、「自分らしさをどう生かしていくかがキャリアそのもの。自分らしさが言語化できていない状態でキャリアを考えてもぼやけてしまう」と指摘しました。そこで、“ほかにはない自分”を把握するためにも、PXTのようなデータで客観視することや、苦手な人や海外の人などいつも接していない人とあえて話すことで、自分を相対化する努力を続け幸せな状態を探すことが重要と話しました。
「自分を相対化するというキーワードが興味深いです」と福島が応じると、福田氏は「海外のビジネススクールでの経営者育成プログラムで、周囲の人と相対化させ、そこからトランスフォーメーションが起こる例が非常に多くあります」と返しました。

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学びへの好奇心、混乱に飛び込む勇気

ここで福島はまとめとして、「個々の人材がキャリア自律を果たしていけば、組織の未来は明るいと思います」とコメント。
ではどうしていけばよいのか。
福島は、リスキリングし変化していくことが求められる中、本人がそのことを“腹落ち”しなければいいものにはならないと指摘した上で、機械学習の専門家のであるトム・ミッチェル教授のコメントを紹介しました。「これから子供が学ぶべきものは、リベラルアーツ、チームコラボレーション、そして“Learn how to learn”、つまり学び方を学ぶこと」という内容です。「常に学習し続ける力を支えるのは、好奇心ではないかと思います」と福島は述べ、自分を相対化する機会をつくる好奇心の重要性に言及しました。

参考
HRDグループ企画特別対談:AI時代に求められる人事の在り方とは
https://www.hrd-inc.co.jp/topics_3.html


最後に福島は両名にキャリア自律に対するコメントを求めました。

武井氏は、「これまでの自分と現在、これからの時代を取り入れながら、ありたい自分とあるべき自分を相対化し、将来像を決めて腹落ちし、環境が変われば変えていくことも含みながら、自分で責任を持ち自らをプロデュースしていくことがキャリア自律だと思います」とコメント。

福田氏は、接点のある海外のビジネススクールの教授が卒業生に向けた言葉、”Look for Chaos”「混乱を探しに行き、自らを鍛えよ」とのアドバイスを取り上げ、「整っている環境にいることに感謝しながらも、混乱に立ち向かうチャレンジをすることで自律という概念が芽生えてくると思います」と述べ、本セッションが終了しました。

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