HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論

HRD株式会社 - Human Resource Development

2022.4.20 EVENT

流動性組織:未来の企業競争力は「流動性」が決する
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session1』

Share This Post

質疑応答


■ダイナミックな学習を促進するための具体的な方法■
次に韮原は視聴者からの「ダイナミックな学習を促進するための具体的な方法は?」との質問を取り上げました。

シャーマ教授は、「日本は幸運だと思います。従業員のエンゲージメントが非常に高いからです」と発言し、
こう続けました。

「ダイナミックな学習は従業員毎に行われる必要があり、会社が学習するリソースを十分に提供するのではなく、学習志向のある従業員を支援することが効果的です。米国ではオンライン教育の導入が奨励されています。最も重要なのは、社外の学習志向の高い人材を探すこと。一生一つのことしかしていない人物はベストではありません。生物学や工学を学び、マーケティングの世界に来た人材ははるかに優れていると言えます。流動的で、何かのスペシャリストであり続けようとはしないからです。頭が良いだけでなく、丸みを帯びた経験のある賢い人材が必要なのです。1年休んで日本の端から端までトレッキングするような人は、良い候補者と言えるでしょう。なぜなら、学習志向を持っているからです。得てして人事ポリシーが一貫して一つのことを学びたい人に対してのものになっていますが、私はより多くのことを学ぶ人材を見つける必要があると提案しています」

■心理的データ可視化の有用性■

この回答を受け、韮原は次のようにさらに質問を行いました。

「トランスコスモスの幹部の方が、360度サーベイにおける直接的なフィードバックに当初は戸惑ったものの、自身を鼓舞し変化しようと努めた結果、スコアが年々改善したことを本カンファレンスで話して下さいました。部下と対話し、自己を変えようとする気持ちが重要と仰っていました。今、心理的安全性が経営哲学のパラダイムになっていて、エグゼクティブが社員の感情面を問題にするようになっています。私たちは、こうした360度サーベイや個人のパーソナリティ特性を明らかにするアセスメントを提供していますが、こうした心理的データの可視化は、変革を起こしていくのに有用でしょうか?」

シャーマ教授は、「絶対に有用です」と回答。「学習能力や意志は、フィードバックを得てまた戻って学習することで能力が伸びるからです。例えばビル・ゲイツは現代をリードする思想家です。彼は毎週1、2冊の本を読み、毎年1、2週間本を読む休暇を取っています。1995年にインターネットに関する予測について書き、マイクロソフトをインターネットの世界に進出させ、実際に変えていくことでインターネットの成長にも繋がりました。彼は3、4年前、次のディスラプションの脅威はパンデミックであると書きました。この予測も当たりましたが、彼の思考能力の高さを表しています。異なる領域から学び、新たなコンテキストに当てはめ、人々について学ぶことは、流動性にとって非常に重要なことです」

■流動性はトップダウン■

次に韮原は、参加者の「流動的な組織になるためには、人材に対してプロモーションしていく必要があると思いますが、合っていますか?」との質問を取り上げました。

「そのとおりです」とシャーマ教授。「流動性に関する大きな問題は、トップダウンのプロセスであること。非常に簡単なプロセスです。リーダーが流動性を信じていなければ、会社は流動的になりません。HRが知っていても、CEOが知らなければ流動性は起こりません。ボトムアップではないのです。ですから、そのコメントは絶対的に正しいです」と回答し、さらに続けました。

「流動的であることは、専門家にとってはストレスをもたらします。25年車の小さな部品を設計していたとして、ほかの部品を設計せよとなれば、ストレスをもたらします。こうした専門家からゼネラリストへのシフトは、組織内のストレスを起こします」

■流動的な組織とフラットな組織の違い■

韮原はもう一つ「流動的であることと、フラットな組織であることはどう違うのでしょうか?」との質問を取り上げました。

シャーマ教授は、流動性組織、アジャイル組織、フラットな組織の3つを示し、比較しました。
流動性組織はすでに理解されているとして、アジャイル組織は(製品開発などの)デリバリーについてのみに焦点を当てて、人材やインフラなどは考慮していないもの。フラットな組織は、トップから最下層までのレベルの数が少ないことを指していますが、社員がどう組織化されるかには言及していません。階層の数を減らしても、なお階層的である場合があります。ヒエラルキーがあるのに階層だけは少ないという状態になりがちです。

「一方で、入社したばかりの人が運営するなど、階層的な境界を完全に破壊しているチームは興味深いです。入社したばかりの副社長がCEOにチームの成功のために何をすべきかを伝えるといったことが、流動性組織の目指すところです」と話しました。

■B to Bに優位性がある日本■

最後に韮原は「日本に住んでいると、高齢化社会で人口が減少して経済は停滞し、人々は日本が沈んで行っていると感じるようです。その日本について良いことも話されて嬉しく思いました。最後に日本の視聴者にメッセージをお願いします」と求めました。

これに対し、シャーマ教授は次のように話しました。

「日本はB to Bのビジネスでは優位性があると思います。ブランドが見えないから気づいていないかもしれません。高級車向けの黒の金属塗装ができるのは、ある日本の会社だけ。こうした例はたくさんあります。懸念されるのは、4、5社のB to C企業が牽引力を失っていること。組織のスピードが、消費者の嗜好の変化に追いついていないということだと思います。
平面型テレビが登場した時、2つのできることがありました。LCDかプラズマを選択することです。日本企業はプラズマを選び、5,000億円を失いました。これを機に、巨大なテレビメーカーが衰退したと思います。
重要な点は非常にシンプル。もっと流動的であったならば、素早くLCDや有機ELに移行でき、市場を掴めたはず。それが本来あるべき姿です。良い例としては、ソニーの『PS5』の組織があります」

韮原が日本企業の流動性を高める支援に関わる意向を尋ねると、シャーマ教授は「喜んで」と応じ、本セッションを終えました。

※シャーマ教授によるアドバイザリやコンサルティングのご相談はHRDグループまでお問合せ頂ければ対応致します。

⇒TOPへ戻る

前のページ 1 2 3 4
Share This Post

RELATED ARTICLES