HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

2022.4.20 EVENT

流動性組織:未来の企業競争力は「流動性」が決する
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session1』

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成長スーパーサイクルと組織に流動性が必須な理由

成長のスーパーサイクル

次に、成長のスーパーサイクルについて。
世界の成長率は、5~6%から今後7~10年で8~10%に伸びます。前回のグローバル成長スーパーサイクルは米、日、独の3か国で出現し、いずれも製造業にスケールがあり、驚異的な方法で成長したのです。ポストコロナの成長スーパーサイクルにおいては、節約率が爆発的で資産価格は高く、需要は供給を大きく上回って石炭などの基本的なものが不足。「ポストコロナの成長は流動性がもたらすと考えています」と言います。

OECDは、G7の中で成長する国は唯一、米国であると言っています。流動性指標であるビジネスのしやすさは成長と相関しており、次の成長スーパーサイクルでは流動性のある国がより速く成長していきます。
企業も同様ですが、その流動性が現在最も打撃を受けているのは、地理的な流動性。顧客と物理的に会えない中でどう効率的に働くかという問題があります。

流動性が必要な3つの理由

次に、「なぜ流動性なのか」について。

最大の理由は、「我々は今ディスラプションの時代にあるから」とシャーマ教授。
企業はより速く破壊されるようになってきています。S&P500社の平均年齢は、60年から12年に減りました。

2つめの理由は、スケール。
ある日本の小規模企業は、非常に流動性が高く、製品や生産方法を素早く変更しています。規模が大きくなると、資産は増えても速度は遅くなる。より大規模な企業は、速度が遅くなって迅速に対応できなくなります。パナソニックなど日本の大手消費者向けブランドは、流動性の高いBtoCの領域には見られなくなってきています。ソニーの「PS5」は成功していますが、電話やPCは市場に浸透していません。一方、流動性がさほど求められないBtoBにおいて、支配的な日本企業の状態は今後も継続するでしょう。

3つめの理由は、専門化。
顧客や機能の専門化が挙げられます。専門分化すると、速度と柔軟性が低下します。
ある国では、肉や魚などの約60%がスーパーで売られ、約40%がレストランを通じて売られていました。コロナ禍によって突然、全ての需要はスーパーに集中したのです。全てのサプライヤーとレストランは全ての需要が消えてしまった事態にどう対処していいかわかりませんでした。「彼らはスーパーのようにはなれなかったことが、私が説明しようとしていることです」とシャーマ教授。柔軟性があれば、需要のシフトに気づけたでしょう。

固定化した組織と流動的な組織

流動的な組織の理解のため、まず固定化した組織を見てみます。
通常、垂直方向に顧客対応部門、水平方向に機能領域があります。新たな顧客領域が出現した場合には、垂直方向に新たな組織をつくります。新たな機能対応が必要となれば、水平方向に新たな組織がつくられます。

この組織は、機能的な境界などの問題を抱えています。マーケティングの近くにはカスタマーサービスがありますが、通常は話し合うことはありません。顧客にも境界があり、それぞれの顧客領域ごとにスペシャリストがいますが、顧客領域間で話し合うこともありません。

階層的な境界もあります。自分のすぐ上か下の者としか話をせず、複数階層を上下することはしません。「科学的管理法」で知られたフレデリック・テイラーは「何をする必要があるかを決定し、それを行うだけ」と言っています。つまり、単なる労働とみなし、働いている人の洞察を活かせないわけです。
これに対し、日本企業の凄さは“Kaizen”、継続的な改善活動が行われているところ。労働者が生産プロセスにインプットを提供できるのです。

最終的な企業間の境界において、日本ではサプライヤーが購入者と密接な関係を持っているため問題はより少なくなりますが、それ以外の世界では大きな問題となっています。そこで、いくつかの企業は“ガス状の組織”に転換し、共通目的に沿っている限りそれぞれがやりたいことができるようにしました。しかし、ガス状の組織にもディレクションが必要とされたために、うまく行かなかった企業もありました。

流動性組織は、階層ではなくチームを組成します。中心にいるコーディネーターがコントロールし、それぞれのチームがタスクを実行します。「特にB to C の製品の場合はこうしたチーム体制が非常に重要」と言います。
チームは、マーケティング、財務、製品設計などのメンバーで構成されます。

流動的な組織の4つの要素

新規および既存ビジネスを検討するとします。あるチームは新規、あるビームは既存のビジネスに取り組みます。
この組織構造の良さは、既存ビジネスがうまくいかない時、(新規ビジネスを一時的に棚上げして)もっとチームを投入できるところ。逆のケースもあります。一直線の機能的な責任を持っていないからです。
「状況に応じて、コーディネーターがそれぞれの側に移動することがより興味深い」とシャーマ教授は言及します。

流動的な組織には、次の4つの要素があります。

 –1つめは、流動的なデリバリーと、その品質、スピード、革新性。
 –2つめは、レベルや機能、顧客のそれぞれの種別の間を素早く移動できる流動的な人材。
 –3つめは、柔軟性や拡張性のある流動的なインフラ。
 –4つめは、地理の流動性。顧客や従業員とコンタクトするのにどれがけ流動性があるかということです。

縦軸の新製品と既存製品、横軸の新規顧客と既存顧客によるアンゾフのマトリクスがあります。既存製品の既存顧客への販売は「市場浸透」、既存製品の新規顧客への販売は「新市場開拓」、既存顧客への新製品の販売は「新商品開発」、新規顧客に新製品を販売することは「多角化」です。流動性が低い場合は、市場浸透しかできません。逆に流動性が高ければ、新製品開発を通じてビジネスを成長させることができます。

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