HRDNext経営戦略策定の手引き事業×組織×人材の戦略統合による新時代の企業成長論
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HRD株式会社 - Human Resource Development

2022.4.20 EVENT

流動性組織:未来の企業競争力は「流動性」が決する
『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session1』

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変化への耐性は組織のリキッド化(流動性・柔軟性の高さ)によってもたらされるという長年の学術研究の成果を解説します。さらに、研究成果に加えて、数々のFortune500企業のトップマネジメントに対するコンサルティングの実践経験も踏まえて、日本企業に必要な改革の処方箋を提示します。

セッション動画はこちらよりご覧いただけます。

 

 

◇登壇者の紹介◇
 

マイアミ大学ハーバートビジネススクール副学長、マーケティング学部長
アルーン・シャーマ教授
(Arun Sharma)
グローバル市場のトレンド、市場構造、マーケティング戦略を主な研究領域としている。ビジネススクールでの教育・研究の傍ら、アクセンチュア、アメリカンエクスプレス、AT&T、アウディ、HP、IBM、マスターカード、ペイパル、P&G等、様々なグローバル企業への豊富なコンサルティング経験を有する。

モデレーター
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
取締役
韮原 祐介(Nirahara Yusuke)

 

ディスラプションへの備えとしての流動性
ディスラプションを防ぐ流動性

まず、韮原が本プログラムのDay1を振り返り、「事業環境の不確実性が高まる中、企業のミッション、ビジョン、バリューに基づき、組織や人材をいかに素早く市場環境に適応させていけるかが問われる中、登壇各社におけるEverything DiSCProfile XTCheckPoint360°の活用事例などを聞くことができました」と概括した上で、不確実性の高い経営環境に対応するための流動性組織(Liquid Organization)の研究で知られる本セッションの登壇者、アルーン・シャーマ教授を紹介しました。

次に、シャーマ教授はプレゼンテーションの前に背景を説明。企業間および国家間競争に興味を持つ中、2018年頃からディスラプション(破壊)の問題が深刻化。複数の国家や企業の関係者から要請を受け、1年ほどを費やしてディスラプションの類型を提示したと言います。「すると、そうしたディスラプションを防ぐ方法を問われ、本日のテーマである“流動性(Liquidity)“の概念に到達しました」と述べました。
「流動性」は国家と企業の双方に通用する概念ですが、本セッションでは企業について扱います。

ここからシャーマ教授はプレゼンテーションに入りました。

まず、研究方法として数多くのCEOやCFO,業界の専門家などと調査研究を行ってきたことに触れ、「現在はグローバルな医療機器会社とディスラプションへの対処法について議論しています」とコメント。また、これまで15回来日し、大企業だけでなく中小企業にも訪問したと言います。

組織における速度、柔軟性、加速(と減速)と両利き


本題に入り、流動性組織とは何かについて「流動性とは、組織における速度、柔軟性、加速(と減速)、そして両利きのことを指します」と説明。どれだけ速く製品を開発できるか。どれだけ素早く方向転換できるか。そして、速度と柔軟性の違いについて、一つの例を示しました。

14年前、携帯電話市場は14%のシェアを持つノキアが支配。2番目はサムスン、3番目はブラックベリーでした。現在はサムスンがトップシェアを握り、ノキアやブラックベリーの電話はもう見かけることはありません。重要な点は、ノキアは週に数台の新機種を導入していても、柔軟性がなく事業全体の方向を変えることができなかったこと。スピードだけでなく、柔軟性も必要なのです。

速度と柔軟性に続く3つめの要素は、スケーラビリティ(拡張性)。どれだけ速く、新たな立ち上げや、逆に規模の縮小ができるか。例として、アメリカ市場におけるトヨタを取り上げました。ベストセラーは「カムリ」でしたが、消費者ニーズは急速にSUVに移行。現在最も売れているトヨタのSUVは「RAV4」ですが、その移行は困難でした。トヨタだけでなく、大半の自動車メーカーはベストセラー車種のスケールダウンとSUVのスケールアップができなかったのです。

この加速と減速をどれだけ速くできるかが重要」と指摘します。

最後に、両利きであること。
現在の顧客からどれだけ多くを得るかという“Exploitation”(深化)と、新たな顧客をどれだけ探るかの“Exploration”(探求)です。

流動性のある例・ない例


こうした流動性は、迅速な対応を可能にし、組織を行きたい方向に動かすことができますが、阻害するのは組織間の“壁”。製造とマーケティングは通常話し合う必要がなく、間に高い壁ができてしまいます。「しかし双方で、より深い会話ができれば、こうした壁がなくなり企業はより流動的になります」と指摘します。

次に、流動的ではないものを例示。プラハのトラム(路面電車)は電線が必要で、一路線しかなく、非常に固定化されています。
一方、ニュージーランド航空の場合。カタール航空がマイアミに運航を開始すると、ニュージーランド航空の当初の現地スタッフは1人であったところ、ダラスと兼務の0.5人となりました。なぜもっと人が必要ではないのか。チェックインや貨物の受け取り、機内食、燃料サービスのすべてが外部に委託されています。そして、当日のスタッフや機長、副操縦士、フライトクルーは翌日に帰る。「簡単に言えば、ニュージーランド航空はほぼ7日で飛行を開始できる。これが流動的ということです」と言います。

こうした流動性のある企業は収益が高く、成長も速く、レジリエントであるという特徴があります。
「コロナ禍でも生き残った企業はより流動性が高かった」と指摘。流動的な企業には戦略的思考と革新性があり、顧客満足度が高く、エンゲージメントの高い顧客を獲得していて、こうした顧客が高い収益をもたらしているのです。

次に、流動的でない4社として、GM、RCA、シアーズ、ノキアを例示。
GMは、日産やホンダの高品質によって攻撃され、今ではトヨタがGMより多くの車を販売しています。RCAは米国で最大のテレビのブランドであったものが、ソニーの小型化技術に攻撃されて消滅。今度はソニーがサムスンやLGに攻撃されています。かつての世界最大の小売業者、シアーズは、すでに存在していません。ノキアもアップルに襲われて存在をなくしています。

「これら4つの企業に共通しているのは、流動的ではなく、方向を素早く変える能力を持っていなかったことです」と指摘します。

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