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2021.2.2 EVENT

ポストコロナの組織・人材戦略を見通す

~戦略人事の新たな役割と経営戦略を組織・人材戦略に落とし込む方法~

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戦略の力を人と組織の力にロスなく変換する

韮原デジタル変革に取り組むという中期戦略や事業戦略であったり、その戦略の実行段階において、組織が相変わらずそのままだったり、あるいはなんの権限もない準備室があるだけというようなケースは往々にしてあります。さらに、「全社的にやる」という社長の大号令はあるものの、実際に改革が進まない。そういった企業内の変革を促すような本質的な課題を解決するために必要な研修を実施している会社は、日本企業の中ではほとんどないと思いますが、佐藤さんはどうお考えでしょうか。

佐藤おっしゃる通り、上から下にストンと落としている会社は多くはありません。10年以上前から課題が顕在化していて、残念ながら今もその課題が残り続けている領域だと理解しています。
では、何が阻害要因となっているかというと、一般的なキャリアパスだと思います。そもそも、人事部門の顧客は社内のフロント部門だと思いますが、そこを十二分に理解した人がきちんと腰を据えて人事を担当していることが重要です。しかし、多くの企業では、人事は専門職として職人的にずっと人事を務めあげる場合と、反対にローテーションをする中で人事も経験する2つのパターンがあります。これでは、専門職で上がってきた人は顧客の現場感が分かりませんし、ローテーションの人は腰掛けになって本腰が入りません。

弊社のクライアントでも何社かいらっしゃいますが、本当にフロントの一線で部長や本部長を経験した人が人事部の本部長になり、現場のニーズを理解したうえでやっていくような人材交流が必要だと思います。人事の詳細な方法論に関しては部下のスペシャリストがやればいいのですが、どのようなニーズがあり、どのような優先順位でどこまでやるのかというところを、顧客部門を熟知した人事リーダーが担うというケースは、比較的うまくいきやすいです。
もう1つの阻害要因は、誤解を恐れずに言いますと、人事には人を大切にする方が多いので、メンテナンス寄りの方が多いです。一方で経営者は数字にこだわる方が多くいらっしゃいます。要するにパフォーマンス型の方が多いのですね。このPとMでプロトコルが合わなかったり、確信犯で社長の言っていることとは違う運用をして、戦略と人事が断絶するケースがあると思います。

韮原やや脱線しますが、有名なベンチャー企業の社長さんが、「新入社員は朝誰よりも早く来て新聞を読んでいたら、上司から声がかかってチャンスがもらえる」と言ったことがあったそうです。その会社が、組織を大きくしていく段階で優秀とされる人事担当を外部から採用したら、社長が推奨しているため本来の就業時間外に会社が呼び出していることになると言われ、渋々撤回させられたそうです(笑)。バランスの難しい話ではありますが、人事は牽制役でもありながら一方で同時に、組織の向かうべき方向へ上手に導く牽引役にもなる必要があります。

経営戦略から人材戦略としての育成までという部分をきちんと繋げて話せることができ、かつ牽制役でもあり牽引役でもある人事が、経営者や事業責任者との間に立てる存在として必要です。しかし、そんな理想的な人事だけではありませんから、コンサルティングなどの外部からの支援も必要とされているはずです。外部から組織や人材の強化を支援している方々には、まさに大きなチャンスなのではないかと思いました。

佐藤そうですね。私はチャンスとして捉えたいですし、捉えてほしいと思っています。経営者であれ、人事のヘッドであれ、人事のスタッフであれ、変化する局面では、新しいものを作り成果が出るように調整し、成果が出たものを定着させていくということが必要です。これができれば新しい環境に早く順応できて、会社全体が高いパフォーマンスを出せます。
戦略という無機質なものをきちんと人に伝えて、人が動いて、成果を出して業績に反映させるためには、人事はとても重要だと思います。担い手というのは組織であり人です。この重要性は変わらない中、戦略はどんどんと変わっていきます。そこにどうやって柔軟に対応していきながら、きちんと戦略の力を人と組織の力にロスなく変換していき、そして成果に繋げていくというところは、腕の見せ所だと思います。 

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