HRD株式会社 - Human Resource Development

2021.2.2 EVENT

ポストコロナの組織・人材戦略を見通す

~戦略人事の新たな役割と経営戦略を組織・人材戦略に落とし込む方法~

Share This Post

 

組織への従順性や対人能力が高くなくても、価値の高い人材が増えていく

韮原10年ほど前に外資系のコンサルティングファームで、組織・人事部門の立ち上げを経験しました。当時の経営アジェンダは、デジタル化ではなくグローバル化で、グローバル競争に巻き込まれる中で、いかに新規事業を生み出すかというテーマでの組織と人材の課題に取り組んでいました。イノベーションの必要性が盛んに議論されたのも同時期のことではなかったかと思いますが、当時の我々の講演資料には、「これからはイノベーション人材とオペレーション人材だ」と書かれています。メンテナンス人材については、その当時、我々は気づきませんでしたが、佐藤さんのおっしゃる通りだと思います。

一過性のイノベーションではなく、常に経営アジェンダに沿ったイノベーティブな新規事業を生み出せるような人材だけでなく、デジタルテクノロジーを使って新たなオペレーションを作り出すイノベーション人材も必要ですよね。当時はグローバル化と新規事業創出の話をしていましたが、今はデジタル化の話をしている。結局は、普遍的にイノベーティブな人材が必要なのではないかと感じました。

佐藤おっしゃる通りで、普遍化しつつあるというのが正しい表現だと思います。事業にはライフサイクルがありますよね。ライフサイクルが終盤になってくると、新しく盛り立てるためにはリノベーションが必要です。もしそれが難しいのであれば、イノベーションで新しい事業を作らなければなりません。このライフサイクルというのは、ひと昔前は会社の寿命は30年という言い方をしていたので、30年に1回イノベーションを起こせば十分でした。ところがどんどんライフサイクルが富士山型やペンシル型といって短縮していく中で、イノベーションの頻度が高くなっていきました。頻度が高くなるということは、それだけ人が必要になるということです。

まさに私もPXTを使い、企業にイノベーション人材がどれくらい必要なのかを測ったことがありますが、イノベーション人材の資質にフィットしている方はだいたい1~2%しかおらず、その1~2%の人に依存してもよいのかという問題があります。またその1~2%の人も資質だけでは不十分で、スキルを付けていくような経験をさせて育成する必要があります。よって、まずは資質のある貴重な人材を見抜いて、きちんと経験をさせて育成をし、イノベーションできる人を増やしていかなければ、今後の経営環境の変化が激しくイノベーションが求められる環境下で、勝ち続けることは難しいと思います。

韮原そうですよね。社内の中から見出して登用することもそうですし、外部の人にも魅力を感じてもらい、その中から見抜いて会社に来てもらうということも重要ですね。

佐藤人材の流動化はこれからどんどんと進むと思います。流動的になると、現在のように1時間の面接による対話だけで、その人がイノベーション人材かどうかを見抜くのが難しくなってきます。従来はSPIのようなペーパーテストを行う会社も多くありましたが、資質面の見極めのためにアセスメントを導入する会社も増えてくると思います。

韮原最近でも、オンライン面接で候補者を見抜ききれないという声は上がっています。オンライン面接で採用したものの、緊急事態宣言が明けて実際に会ってみると、思っていた人と少し違ったという声を耳にしました。それをAIで何とかしようと言われても、専門家の私から見ても効果に疑問に感じます。何十年も改善し続けていて、何千万人も受けているというようなDiSCやProfileXTのようなアセスメントの知見は、十分に実証済みのものとしてもう一度掘り起こされてもいい技術だと思います。

外部の採用をしていくという段階で、明らかに組織従順性が低い人というのは、社外から見ても採用しづらいですよね。しかしイノベーション人材として採用するときに、必ずしも組織のルールに従いにくいけれども、そういう人を敢えて採用していくというチャレンジも必要です。そのためにはアセスメントのような測定指標があり、そのスコアという理由があってはじめて、外の異分子的な人材や、社内のパフォームしづらいポジションにいる方も、光り輝いてくると思います。

実際に、私が支援してきたデジタルトランスフォーメーションで成功を収めてきた方には、現業の仕事はかなりおろそかにしている方がいらっしゃいます。しかし一点突破のプロジェクトには熱を燃やして取り組んでいて、連続で社長賞をとっていたりするけれども、現業も含めた全体的な査定は必ずしも良くなかったりします。そのような本当に尖っている人が、2015年頃から本格化したAI活用や、その後のデジタルトランスフォーメーションを成功させた走りの人だったように思います。

佐藤現在も過去も、事業や企業は人の集合体です。ビジネスを行う中では「対人」という観点で、その能力が高い人が比較的価値も高いです。コミュニケーション能力と表現をされますが、乱暴な言い方をしますと、デジタル化が進むと人と接することなく良いソフトウェアが作れたり、ハードが設計できるようになります。
ですから、経営者からすると、組織への従順性や対人能力が高くなくても、価値の高い人材が増えてきます。そのような人材をどのように見極めて、なおかつ組織に迎え入れていくのかが、今後は求められてくると思います。 

《目次へ戻る》

前のページ 1 2 3 4 5 6 次のページ
Share This Post

RELATED ARTICLES